連休は台湾へ行ってきた。
中央尖山(3705m)登頂と中央尖渓の沢登りだ。
日本山岳会関西支部が中心の企画で、わたしも混ぜてもらった。
4月29日(土)
中部空港から台北へ。
桃園国際空港で、台湾人の黄さんや許さんが出迎えてくれる。
今回の日本からのメンバーは7人、名古屋×2人、大阪×2人、熊本×3人だ。
その他に大阪から4人の女性、というかオバチャンたちが南湖大山に登るため途中までいっしょに行動する。
14時過ぎ、各地からの飛行機が到着してメンバーが揃った。
ワゴン二台に乗り込み出発する。
まずは桃園市内でお昼ごはん。
わりと高級っぽいレストランで、台湾遡渓協会の偉い人のごちそうになる。
昼間からビールを飲み、台湾人も混じえて賑やかな感じだ。
食事が終わると台湾遡渓協会の偉い人とは、ここでお別れ。
大阪の女性がお礼にお土産を渡していた。
よく見ると両口屋是清の饅頭だった。
なんで名古屋のお菓子を買ってきたのか?
訊いてみたら「いちばん美味しくて好きやねん」とのことだった。
これでは台湾人が誤解しちゃうじゃないか。
大阪のお菓子はめちゃ美味しいなあ、と。
ちゃんとタコ焼きか粟おこしを持ってきてほしい。
車三台に分乗して山へ向かう。
東海岸の宣蘭市内に入った頃には日が暮れた。
街から外れて西へ。
標高が上がり、田舎になっていく。
山奥の細く暗い国道を走る。
海抜1000メートルを越えたところに集落があった。
南山村という小さな村で中央山脈の登山基地になっている。
ここはタイヤル族という原住民が住んでいる。
昔は独特の言語や風習を持つ人たちだった。
いまはファミリーマートもあるし、お土産屋さんもある。
ごく普通の田舎だ。
午後8時過ぎ、今夜は南山村の民宿でお泊り。
山小屋のような雑魚寝の部屋で、一泊500台湾ドルだ。
日本円で1800円くらい。
夕飯も食べないで酒盛りが始まった。
今回は7日間山を登る予定だ。
荷物も20キロ以上でザックに詰め込むのも一苦労する。
酔っぱらいながらも明日の準備で頭を悩ませていた。
4月30日(日)
5時起床、6時過ぎに出発。
朝ご飯は民宿の階下にある食堂で饅頭を食べた。
登山口まで車で30分ちょっと。
山道の峠を越したところだ。
7時過ぎに歩きだす。
日本人が11人、台湾人が5人だ。
人数が多いから賑やかだ。
とくに大阪のオバチャンたち4人は元気が良い。
車の中でも大声でお話し、山の中でもはしゃぎまわっていた。
オバチャンたちのコース、南湖大山は普通の登山道を歩く。
しかもポーターさんを雇って、自分たちは軽い荷物だけ。
だから気楽なのだろう。
花が咲いている度に立ち止まり写真を撮っている。
最初はキャベツ畑の中の道を登る。
100メートルほど高度が上がると登山道になる。
8時30分、勝光山(2285m)という、なだらかなピークに到着。
そこから少し下ると林道に合流した。
車が通れないほど荒れているけど、歩くには快適な道だ。
10時30分、歩道登山口に到着。
ここから本格的な登りが始まる。
急坂を登っていく。
20キロの荷物は重い。
この時期の台湾は、もう夏と同じ。
気温が高くて汗が体中から滲み出てくる。
11時30分頃、稜線に上がる。
景色が開けたところがあった。
青空の下、雪山山脈が見えた。
いちばん高い雪山主峰は3886メートルだ。
富士山より100メートル高い。
しばらくのんびりと休んでから、また緩やかな登りを歩いて行く。
樹林帯の中、セミの鳴き声が聞こえる。
台湾のセミはストロークが長い。
いつまでたっても音が途切れない。
最初に聞いたときは、どこかでサイレンが鳴っているのかと思った。
12時30分、多加屯山頂上(2795m)に着いた。
本日の最高地点だ。
といっても笹の葉に囲まれて見通しがきかない。
それでも草をかき分けると南湖大山と中央尖山が見えた。
あんなところまで登るのか。
多加屯山からまた300メートルほど下りていく。
南湖大山への峠に来た。
2時30分だった。
ここで大阪のオバチャンたちとお別れだ。
オバチャンたちは先の登りを歩き、雲崚山荘に泊まる。
わたしたちは沢沿いに降りていって南湖渓小屋へ行く。
記念撮影して握手して、お互いのぶじを祈る。
オバチャンたちはお別れにお菓子をたくさんくれた。
荷物がいっぱいで、あまりもらいたくなかったけどありがたかった。
中央尖山グループだけになってみると、どうも寂しい。
日本人が7人、台湾人が3人。
人数としては多いのだけど。
黙々と下っていく。
沢筋の急な下りだ。
倒木や岩を乗り越え、飛び降りて行く。
300メートル下ったところで南湖渓本流に出た。
16時、沢を渡渉したところに小屋がある。
小屋といっても、かなり古く、かろうじて建物の形を残しているボロ屋だ。
屋根にビニールシートが張ってあるので雨漏りの心配だけはなさそうだけど、梁が折れていていつ崩壊してもおかしくない。
まあ一晩だけだから我慢しようと、それぞれが寝床を作った。
台湾人たちは河原の方でタープを張っている。
タープというのはテント代わりの大きなシートだ。
広げて木に吊るして雨よけにする。
気温の高い台湾では、テントよりも軽くて涼しくて便利なものだ。
落ち着いたら焚き火を起こす。
火でお湯を作り、夕食だ。
酒をチビチビと飲みながら、明日からのことを考える。
今回は未記録の沢登りだ。
なにがあるのかわからない。
心配だけど、期待も高まる。
とりあえず暗くなってきたから寝よう。
19時過ぎに就寝。
明日は5時起きで7時出発だ。
(つづく)
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