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2017年05月06日17:07

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歌枕紀行「青龍寺」

天気もよいので、北摂でプチハイキングをしてきました。茨木・高槻あたりは意外に山深く、あまり知られていない古刹も点在しています。この頃は山深いのをよいことに、高速道路や住宅建設で、風景の破壊がすさまじい・・・

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◎與諸友遊攝州青龍寺(友人たちとともに、摂津国の青龍寺に遊ぶ)

   晨興尋古寺 寺靜正端屠
(朝はやく起きて古寺を訪ね、静かな境内でじっと座っている)

   雁叫秋雲外 鐘鳴暮雨初
(秋雲のかなたに雁(カリ)が鳴き、夕暮れ時の雨のなかに鐘が響きわたる)

   逢僧談妙理 禮佛慕真如 
(住僧とお会いして、仏教の奥深い真理を語り合い、御本尊を礼拝して、真如をお慕い申し上げる)

   風渡菊籬馥 月明林逕踈
(風が吹きわたって、菊の垣根が芳(カグワ)しく、明月が照らして、落葉のしいた小道が見やられる)

   窮通心底識 名利夢中虛
(人にはそれぞれ運不運があり、この世の名利など、夢のように虚しいものだと悟った)

   信宿催歸駕 來遊是只且
(二泊して帰る予定なので、気ままに遊ぶのもほんの一時である)


【藤原敦光】1063-1144、学者・藤原明衡の子。父と同じく文章に秀でて、堀河・鳥羽・崇徳天皇の教師をつとめた
【青龍寺】茨木市の大門寺か。北摂のほかの古寺と同じく、開成皇子(*桓武天皇の兄)の創建と伝わる。空海もしばらく修行していた
【禮佛】大門寺に平安時代の木造の如意輪観音が残る
【真如】俗世で汚れる以前の清浄無垢な姿

                                       (『本朝無題詩』633・藤原敦光)



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