きょうはもう一つ。
山��邦紀さんの一連のツイートがすてきだったので、メモ。
わたしは「高橋和巳」という人も、「高橋たか子」という人も知らないのだけれど、読んでいてワクワクした。
まず、宇宙に向けられる通信、無線のメッセージ、っていうのが気に入ったし、
後半の「可哀想な人」っていうのもよくわかる。というより、なんだか男の人とつきあうたびに感じていることの気がする。
これって辛辣なのかな . . . 愛がこもっているようにも思えるのだけれど。
「タコ壷」がしっかりイメージできたら、通信のくだりは、もっとわかるかな。
「タコ壷」からは、「たこつぼ型心筋症」や失恋の胸の痛みくらいしか連想できない。
＠ kuninori55 3月14日 01:31 http://fb.me/81baycpOF
拙作オールラッシュに向けての編集が、ひとまず終わったので、本屋に寄ったら「高橋和巳」という特集本が出ていた。（河出書房新社）...
「世界とたたかった . . . 文学」というサブタイトルはどうかと思うが、以下、1968年の秋山駿によるインタビュー（『三田文学』)より。
「ドストエフスキーが、書いている時におよそ予想もしなかっただろう、日本のある場所、高橋なら高橋という小さいタコ壷の中で彼の作品がポッと火花を発するわけですね。同じように、どっかにそういうタコ壷があって、僕のタコ壷から宇宙に向けてパッと発した通信がどっかの星にポンと当たって、それが何年か経って地球に帰ってきてべつのタコ壷でポッと受取られるかもしれないというふうに考えることで、自分をなんとか保っていこうという…」
これに対して秋山は「アマチュアの無線ですね（笑）」と返しているが、わたしは「邪宗門」のラスト近く、壊滅した教団から発せられる無線のメッセージを想起した。この世の中にキャッチしてくれる人間はいないだろう、にも関わらず発される電波に共感する。
ショーペンハウエルや埴谷雄高について多く語った高橋和巳のインタビューが「リアリズムの系統でなくとも、『ゼーロン』という作品を書いた牧野信一、あの人の作品は好きですね、あの人のは何か憂鬱なものですね」で終わっているのは嬉しかった。
夫人の高橋たか子の『人間として』高橋和巳を弔う特集号（71年）に寄せたエッセイは、資質や思想をもっともよく知る人の回想として感銘深い。
当時発表された別の文章の「可哀想な人」(不正確だが、目の前のカツ丼か何かを、女房もお腹が空いてるかもしれないなどと思いつきもせず、一人で食べてしまう様子への評言）という辛辣な言葉が強く印象に残っていたので、これを読んでちょっとホッとした。
もっとも、この追悼エッセイも、よく読めば「可哀想な人」と言ってるのだけれど。
後年、作家として大成し、亡くなった高橋たか子だが、この評言が影響してか、わたしはひとつも読んだことがない。
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