mixiユーザー(id:14438782)

2016年12月19日23:28

452 view

川崎喰い

 蒲田駅前のホルモン焼き屋だったかで、店頭に川崎喰いについての説明があり、そこに「労働者の街川崎では、刻んだキャベツの上に焼き肉をのせて食べるのが云々」などと記述されていた。

 ここでちょっと引っかかるのは、一般的なイメージとして川崎を労働者の街とされるのは受け入れなければならないところだろうけど、蒲田に言われる筋合いはねーよ、ということだったりする。
 川崎と蒲田と鶴見は、多摩川と鶴見川で分けられた東海道沿いのひとつながりの地域であり、他からはどっちもどっちと思われつつ、互いに見下し合っているのではないかというのが、私の印象ではある。京阪神といいつつ、京都と大阪と神戸はあまり仲がよくないとはたまに聞くことだけど、それの低レベル縮小版である。

 実際、先日、ちょっと蒲田で飲んでいたら、カウンターの隣の大阪弁を話している二人連れが、JRの内側(内陸の意か?)より外側の方が家賃が安いという話題から、いっそ川崎はということになり、
「便利なんだけどなー、治安とかなー」
 と言っていた。いやいや、さして変わらんだろ。

 そんな川崎喰いについて、職場の川崎在住者に尋ねたところ、若い同僚は聞いたことはあるが、どういうことかは知らないと言っていた。それより上になると、聞いたことはなかったが、説明するとそうやって食べるとのことだった。
 ネットにもそんな記述があったのだけど、考えてみれば当たり前のことながら、川崎民が自分たちの食べ方を川崎喰いと認識するはずもなく、よその人間から見た川崎での食べ方ということのようである。

 そして、実際にこの食べ方は川崎においてかなり一般的らしい。そこで思い出すのが、『孤独のグルメ』のつるやの回である。あの時、五郎さん(というか、限りなく松重豊)はたしか、山盛りのキャベツに驚きつつ、ふつうに焼肉と交互に食べていたけど、上にのせてかきこめばご当地マナーになっていたのだった。

 伊集院光が駆け出しのころ、川崎駅前のさいか屋だったかに常設のステージがあって、そこでアイドルのライブをやっていると、仕事にあぶれた人たちがやってきて、ちょっと異様な雰囲気になったという。
 そのころは朝から駅前にいわゆる手配師とよばれる人たちがいて、請け負った人数を集めては、その先の川崎港へ送りこんでいたらしい。そして、職を求めてそこへやってくる人たちがどこが暮らしていたかというと、昨年に火事があって現在は年金生活者が多く生活していることで話題になった、日進町あたりの簡易宿泊所、つまりはドヤ街である。先のつるやは、まさにそのあたりにある。

 今、駅前は小奇麗なバスターミナルになって、音楽の街川崎として、週末はミニ・コンサートやライブなども催される。ああいう手間のかかることをよく自治体の活動としてやるよなと感心していたけれど、あれ自体、かつての雰囲気を払拭するためのけっこう攻撃的な企画であることに気づいて、見方が変わった。

 焼肉を食べる機会があったら、「川崎喰いっていうんだぜ」と上記の食べ方を同席者の前で実演してみてほしい。少しはウケて間が持つかもしれない。もちろん、単純にひかれてシラけることも大いにありうるが、その場合の責任はとれない。とる方法もない。

2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年12月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

最近の日記

もっと見る