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2016年12月13日08:55

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疾走しない辺土からの失踪

今日は遅い時間から雨が降るらしい。
毎日土手を歩いている。時間にして10分かそこら。日本のスタンダードなソレがそうであるように、川側の斜面には草木が茂っている。幅10数メートルの河川敷の後、川面へと落ちる。土手は大雨増水から居住区を守る働きもしている。その守られているエリアは昔からの市街地。その街がどのくらい前から街だったのは不明だが、寺が多く、それらの傍らには広めの墓地が広がり、メインなお堂の屋根のデカさからして、ソウトウの昔からそこに人々の営みはあるのだろう。毎朝その営みを守って来た土手の斜面を登り、その上辺を歩く。その道は一応舗装されている。途中までは車の走行すら許されている。が交通量は多くない。朝っぱらから夜中まで、「痩せたい」「長生きしたい」さまざまな理由で走ったり歩いたりしている人々がいる。そこを車で走行するのは危なく、かつその道は途中で終わっているため(道のど真ん中に3本のポールを刺され忽然と終わっている、そしての傍らにはUターンのできるスペースが確保されている)その道を行く理由もあまりない。ちなみに、自分がその土手を歩くのは、通勤のためなの。ほぼ決まった時間歩いていると、とある小柄なおじいさんに出くわす。見た目は何の変哲もない土手のおじいさんなのだが、そこそこ本格的なクロスロードバイクに乗り(GIANT SCAREな感じ)傍らを疾走する。その間挨拶など交わしたりするのだが、例えば今日のように、明けたばかりだというのに、夜の仄めかしを含んでいるような、空の案配の日には、その理由などを口走ってくれる。今日は雨が降るらしい。

そのおじいさんに触発されたというわけでもないのだが、いい自転車でも買おうかと思っている。個人的な事情でプライベートではいつも車に乗れるというわけではなく、また悪意を感じるほどの、バスすらロクすっぽ走っていないため、自転車が主たる交通手段だったりする。そんなわけなのでソコソコちゃんとした自転車に乗っている。その(従来のものとの差額としての)ソコソコというののも金額といっても、いわゆるママチャリからそいつに乗り換えたときは世界が変わった気がした、ものすごく特殊な使命や属性が己に憑依したかのごとく。始めてクノックスを穿いた時の十数倍。はじめて自転車乗った瞬間(3歳だったが覚えている)程ではないが、そしてはじめてめて新幹線...とかリニアとか、ジェットコースターとかスピード系の「おったまげた」というより、はじめて観覧車..な感じ。それまでは地名でしか知らなかった遠い街やら日が沈んでく山の稜線やらというのが浮かびあがってくるような感じ。忙殺されているこの季節にはソノ手の爽快感というのが欲しくなってしまう。

ボーナスも出たので買おうかなあ、などと考えてはいるのだが、今のところ、日々の疾走感より休みのそれに意識を持って行かれている。つまり、自由な時間に自由な場所にとにかく行きまくる。外国やらサーフィンやら夏フェスやら四国八十八箇所やら。どうもそのあたりが骨の髄から男子だなあ、とあらためて思うのだが、純然たる感覚としての心地よさというのをどうも後回しにしてしまう。想像力が貧困なのか即物的なのか、わかりやすく消費のシーンやらロケーションがイメージできるモノにお金と時間を簒奪される(というか己が好んでPETしてるのか)。可能性がそこにあるのにヒトはそこを素通りできない...からギャンブルにハマることとは対照的なのだが、まあ、それで焚きつけられるから、という意味では同じ。いい自転車を買った方がメンタル的にも健全な消費という感じもするのだが、やはり買わないだろう。それでも、ジェット機に乗り、新幹線に乗り、分かり安い疾走感を買い倒す。

ということで、とりあえず週末には大阪へ行く。中途半端な場所だなあ、と毎回思うのだが、毎年、少なくとも1回はその地に行っている。それもこの時期、年末も押し迫った12月の中旬〜下旬。そこへ行って何をするというわけでも無く、新世界あたりをふらついているだけ。通天閣や阿倍野ハルカスに登るわけでも、串カツを喰らうわけでもない。なんとなく付近の心和むアーケード街を歩いたり、昼間っから銭湯に(純然タル銭湯です念のため)入ったりする。それとなく有名な寺院(四天王寺やら)に行ってみたり、動物園に行こうと思い入り口で思いとどまってみたり、素うどんを食べたりする。すると、往来は忙しないが、この季節というのも意外とのどかだなあ、と感じる。忙しい時というのはセブンイレブンの看板の赤と緑の色使いにすら悪意を感じてしまうのだが、さまよった挙げ句辿り着いた深夜の薄暗いシャッター商店街で出くわすと仕事帰りの赤提灯的なやさしさで滲んで見えることすらある(酒を飲まないのでよくわからないが)。年末の大阪。日々の土手からは遠く離れている。が、帰ってくればなんとなく、そんな年末も悪くないと思える不思議な場所だ。
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