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2016年09月09日01:07

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サミュエル・フラー 「裸のキッス」

みてしまった、「裸のキッス」(64)。

製作・監督・脚本 サミュエル・フラー

冒頭のコンスタンス・タワーズの暴力場面。
ほんとに、殴るところから始まっている。
手に持っているものはよくわからない。
殴る彼女の顔のアップ。
ようやく、ハンドバッグらしいことがわかる。

カット割りも細かくて、「あっ」という瞬間に、彼女のブロンドヘアーが頭から吹っ飛び、
丸坊主に。カツラだったんだ。

殴られている男の顔はよくわからないが、耐え切れず床に倒れる。
男の財布から札を取り、自分の割り前だけはもらう、と言って余分な札はくちゃくちゃに丸めて
去っていく女。

この場面の異様さに、圧倒されていると、「3年後」
次は、とある町にバスが到着して、コンスタンス・タワーズが降りてくる。
その美しい容姿に惹かれて、追いかける男は、公園で彼女と話しをする。
次のカットは、ことが終わった後の部屋。
彼女は美しい髪を「やっとここまで伸びた」と何度も何度もとかす。
男は警官で、商売をするなら、隣町の店に行けと言う。

この警官の男は、最初は好意的だったのに、関係を持った後は、
彼女がまるで「性悪女」であるかのように扱う。

我々も最初の激しい気性を見ているため、彼女がどんな人か、よくわからないままであり
ひょっとしたら、「悪い女」なのかも、という気持ちも持ったまま、彼女の行動を見続ける。

普通の映画であれば、虐げられた女性の心情をしっかりと描いて
女性に対して共感を抱けるようなかたちで映画づくりをするものだが、サミュエル・フラーは
そうはしない。
映画はエモーションだ。

女は、身体障がい者の子ども病院に看護師として勤め始める。
今でいう、理学療法士や教師みたいな感じの仕事である。
カメラは一人一人の子どもの顔をしっかりととらえる。
海賊ごっこの場面では、障害がなくなって広場をかけまわる描写まである。

もう一つ、町一番の有力者の男性と知り合った彼女が、ヴェニスの町の話しを聴いて
ヴェニスのゴンドラに揺られる妄想の場面もある。

こうした描写は、この時代の映画には珍しいのでは、
2000年台ぐらいの映画には、妄想の場面は、けっこう流行っていたように思うが。

コンスタンス・タワーズが美しい。
彼女がアップになる場面では、紗にかかった映像になることもある。
カメラはスタンリー・コルテス。
オーソン・ウェルズの「偉大なるアンパーソン家の人々」(42)、チャールズ・ロートンの「狩人の夜」(55)。

コンスタンス・タワーズは、ジョン・フォードの「騎兵隊」(59)で、ヒロインを演じている。
この映画でも、美しい歌声を披露しているが、
この後、ブロードウェイ・ミュージカルでロシアのアナスタシア王女を演じるなど、
ミュージカルで活躍。
その後はテレビドラマ。「ディープ・スペース・ナイン」にも出演していたという。
そして、83歳の今も、現役として活躍している。
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