名古屋地方裁判所へ行ってきた。
傍聴支援のためだ。
ある銀行で若い男の行員が自殺した。
過労とパワハラが原因だった。
両親が裁判を起こした。
こういう訴訟では、傍聴人が多いほど良い。
少ないと狭い部屋で、さっさと審理が進行してしまう。
公判が終わった。
訴えたお父さんが支援の人に深々とお辞儀をして感謝していた。
これからも頑張ってほしい。
ところで、今日は朝から暇だったので他の公判も傍聴した。
刑事裁判だ。
いままで民事は何度も見ているけど、刑事は初めてだ。
裁判所の受付にファイルがある。
今日の公判の一覧が書いてある。
面白そうな刑事裁判を四つ選んだ。
簡単に事件を紹介する。
覚醒剤の前歴がある男。
ラリって妻に暴行を加え逮捕された。
元暴力団の人。
酒気帯び運転でキャバクラに行ったけど、指名したい女の子がお休みだった。
腹が立って二人のキャバ嬢の頭をサンダルで殴りつけた。
高校中退で少年院送りになった二十歳の男。
住宅街の暗がりで帰宅途中の女性を待ち伏せて強姦した。
60歳の無職の人。
覚醒剤取締法で前科7犯。
今年の4月に仮釈放されたけど、直後にまた覚醒剤不法所持で逮捕された。
これだけを読めば、全員揃って人間のクズだと思うだろう。
だけど実際に本人たちの顔を見て、証言を聞いていると、みんな普通の人なのだ。
たとえば強姦した二十歳のおにーちゃん。
おとなしそうな青年だった。
彼は両親とは絶縁している。
父親が厳しく高圧的な人だった。
「お前は将来は競輪選手になれ。それ以外はダメだ」
と言って、妻や子供に暴力をふるう。
話ができる親族は、母方のおじいちゃんだけ。
おじいちゃんは証言台に立って、出所したら自分がきちんと監督していくから寛大な判決を、と訴えていた。
おにーちゃんは、ちょっと泣いていた。
覚醒剤前科7犯の人は、30歳で鉄工所を立ち上げて社長になった。
でも経営がうまくいかない。
従業員に教えられた覚醒剤にハマった。
捕まって、釈放されて、またクスリに手を出す。
妻に逃げられて天涯孤独になった。
弁護士さんが陳述していた。
彼はこれから懲役を受けて出所しても独りぼっちです、年金もありません、心から反省しいるのでどうか寛大な判決をお願いいたします。
マスコミなどで犯罪のニュースが流れるとネトウヨのバカが騒ぎ出す。
「極刑にしろ!死刑だ!」
自分の欲求不満を弱者にぶつけるなよ。
一日ヒマを見つけて刑事裁判の傍聴に行ってほしい。
犯罪についての考え方、犯罪者についての見方が変わると思う。
テレビドラマなんかより、ずっと面白いし。
でもあまり田舎の地方裁判所だと事件が少ないだろうなあ。
傍聴しても楽しくないかもしれない。
そのてん東京はいいなあ。
いろんな犯罪があって。
名古屋でも19人殺しとか、ああいうのが起きればいいのに。
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