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2016年08月16日14:16

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ドラッグフェニールの絵画10「幻視秘録−葬」

発行前に「全年齢向き」と「エロ」に分けるとアナウンスされていたので全てエロかと想っていたが、ボリュームを揃える為か全年齢向き作品が四篇程収録されている。
●朱鷺田祐介「エジプトの呪い」
数式がもたらす恐怖。クライマックスが一気に訪れるが、その前に予兆の様な感じの恐怖体験が有っても良かった気がする。
●田之倉モン「エナガの妾」
中国起源の物語では異種恋愛譚がしばしば有るが、ドリームランドものならば、こう云う三角関係も成り立つのだなと感心した。クトゥルー神話の一ジャンル、ドリームランドものを知らない人には少しばかり判り難いかも知れない。
●百旬鳥「故郷の海、ワタツミの息吹」
正当なクトゥルー神話。故郷の因習等を嫌って都会に行った若者と残された顔馴染み達との哀愁と、因習に隠されていた恐怖が描かれる。性的要素は無い。●龍牙襄「南方よりの誘い」
海外でも人気が高いクトゥルー神話の一ジャンル、インスマウスものの短編。
●朝昼兼「フィッシュ・アンド・ゴースト」
固有名詞を出さず魔術的要素等も一切無くスピーディなバトルに特化したアクションもの。クトゥルー神話でなくても通用する作品で本作も性的要素は無い。キャラクターが魅力的でラノベでも行ける。
●緒方栄人「咆哮する邪神」
昔の海外SFに有りそうな捻りを利かせたクトゥルー神話。こう云う形のものでも成立するのがクトゥルー神話の最大の特徴だろう。
●えのたけ「黒の中の赤」
ラヴクラフト風のショートストーリー。直球で性的要素無し。
●葦原崇貴「神様の左手」
近年、翻訳が登場しその全貌(?)が明らかに成った等身大Great Old Oneを描いた作品。しかし、この作品もう一歩進んだら近親相姦ものに発展しそうだ。
●IsaaK.S「海の臭い」
固有名詞を一切出さずおのおのの邪神に仕える者達の闘争をテーマにした作品。最初から最後迄、主人公には何が起きているのか理解出来ていないのがミソ。性的要素無し。
●竹雀怪人「ラバラヴァ」
着眼点が美事!本作は冬に本サークルから出る「異種ラヴ(エロ)」に出しても良かったのでは無いだろうか。確かにNight Gauntの身体についてその様に描写したのはラヴクラフトだが、流石にフェティッシュな嗜好の人々に合うと迄は想っていなかっただろう。それにしても何で街中に女性形Night Gauntが出て来たんだろう?
●ビクター「邪悪の味わい」
「屍肉経典儀」と云う邪な本が登場する。事件が進行中なのか、それともヒロインの取り越し苦労なのか明確にされずに終わるのが良い。

いつもは二分冊の場合、一般と18禁に分かれての販売に成るので、てっきり今回もそうだろうと想い、「薄い方」とか成人向きクトゥルー神話同人誌と云っていたのだが、何故か分かれていなかった。アマゾンで販売する時にはどうするのだろう?
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