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2016年08月13日00:21

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幻獣/奇ッ怪に生きる

八幡の「いのちのたび博物館」へ行って、恐竜博を観てきた。
化石は見ても面白くないんだが、
巨大骨格標本がぞろぞろあるし、
CGで映像がつくってあるし、楽しめる、楽しめる。
親子連れ多し。

恐竜はトカゲとかワニとかゴジラとかのイメージが
近年ちょっと変わりつつあって(学術的に)
今は「羽毛」が流行りなのらしい。

頭には普通の毛が生えてて、
翼のところが羽で、
お尻回りに、後ろ向きの長いトゲがずらりと並び、
シッポはウロコに覆われている。
目つきは非常に悪い。(大学生の頃のタケイさんのごとし)

何なんだこりゃ?山海経か?

山海経とは中国の古い書物で
各地の変な生き物を紹介する地誌である。
「××川に魚あり。○○という。陸に住み、顔は狸、鶏のような足が6本、
翼が4枚あり、出現すると日照りになる。
この肉を喰うとウツが直る」
ま、だいたいこんな感じの文章が延々と続いて、
読んでいると、飽きて苦痛になってくる。
とはいえ、絵が付いた版本は楽しい。
山海経で画像検索してみてください。
たとえば、
http://hetappi.info/fantasy/encyclopedia/dijiang.html

博多に帰って本屋に行ってみると、
湯本先生の『日本幻獣図譜』発見。
湯本先生は、妖怪の絵巻を研究したり、
明治時代の、妖怪&怪奇現象をとりあげた新聞の、
すべてを網羅した資料集を出版したり、なかなかの人なのだ。

さて『幻獣図譜』、
日本各地に残る、鬼、天狗、河童、人魚などの
ミイラ、骨、図画などを集めた図譜で、いや、なかなかすごい、
気味悪い、えぐい、おかしい、まぬけ、
いやはや、この民俗的創造力(想像力)って何なんだろ?

かわいい数ページだけ紹介しよう。
福島県いわき市に、鶏鬼、猫鬼、狐鬼、熊鬼の
頭蓋骨が残されている。
この中の猫鬼、4階級があって、下の階層から順に、
1.野鬼、1本角、角はあるが能力は普通の猫と同じ。
    頭領は代々アメノカツブシノミコトを襲名する。
2.幽鬼、2本角(写真では鬼の角もあれば鹿っぽい角もある)
    人語を解し、化けることもできる。
    頭領はアメノマタタビノミコトを襲名。
3.空鬼、3本角、動植物語を解し、地水火風を自由に操る。
    頭領はアメノシャミネンノミコトを襲名(シャミセン?)
4.天鬼、前の3階級は生まれによって決定し、別の階級には成れないのだが、
    修行すると、どの階級からでも天鬼になれる。
    天鬼に成ると角が落ちる。普通の猫に成るのかな?
    頭蓋骨は何個かずつあるんだけど、天鬼のは残っていない。
「猫鬼の詫び証文」というのがいくつかあって、
読めないけど、アンリ・ルソーを超える白痴感が楽しい。

本屋で一緒に買ったのが雑誌ユリイカ「ダダ・シュルレアリスムの21世紀」。
まあ、ダダ・シュールも幻獣とベクトルは同じなのだ。
この連中を「芸術」という狭い枠に入れこんで鑑賞し楽しむのはいいが、
それ以前に奴らは化け物だったし、怪獣だったんだ。
そのあたりのニュアンスを最近の学者さん達は
うまく掬い取ろうとしている。
微妙に好感、かつ刺激的。

『図譜』
人魚「南に落ちていく星を見てしまうと『おっとせい病』になります。
   でも、私の絵を、家に貼っておくと大丈夫だからね。だから、貼ってネ」
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