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2016年07月06日01:30

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岡本太郎が見い出した「縄文」

椹木野衣の「太陽と爆発」で興味深く思ったことの1つが、岡本太郎の日本文化に対する視線だった。

岡本太郎は、そもそも日本には芸術がない、という。
近代以降西洋から輸入され、お上から押し付けられたものに過ぎない、と。
実は近代以前も同じで、京都奈良に代表される日本の伝統文化もまた、所詮は大陸の仏教文化の輸入に過ぎず、日本独自のものは何もない、と断じられる。

しかし、もともと日本文化の本質は「オリジナル」ではなく「リミクス」である。
内田樹のいうように、自分たちは世界の中心ではなく、優れたものは皆外からやってくる、という「辺境メンタリティ」が、日本人の根幹としてある。
だから、岡本太郎の批判は、日本人の本質を見誤っているという気もした。
それでも、文化=芸術は、それがたとえ模倣であったとしても、内発的な表現衝動が刻印されたものであるはずだ、という岡本太郎の見解にも、同意せざるを得ないものがある。

そして、そんな岡本太郎が発見したオリジナルの日本文化が、縄文文化であった。
そこから沖縄・東北といった地方の民間伝承文化に、岡本太郎はオリジナルな日本列島の文化を再発見していく。
大和民族の「日本国」ではなく「日本列島」であるところがポイント。
そうして岡本太郎は「日本は東洋ではない」という認識に至る。

確かに岡本太郎が激賞した縄文式土器は、優れた芸術作品といえるかもしれない。
それに縄文時代は、最近ちょっとしたブームのようで、少し前にNHKスペシャルでも取り上げられていて、縄文時代は今や世界の考古学者の注目の的になっているという。

そういえば、その昔、テレビで誰かがこんなことをいっていた。
黒澤明とか世界に通用する日本人は、皆、「縄文顔」だ――

岡本太郎が「縄文顔」だったのかどうかは知らないが、縄文にこそ、日本人の秘められた可能性が眠っているのかも――?

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