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2016年03月10日20:06

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【美術】今年のベスト1「原田直次郎展 −西洋画は益々奨励すべし」

皆様、お今晩は。埼玉県立近代美術館にて3月27日迄開催中の待望の大展覧会「原田直次郎展−西洋画は益々奨励すべし」展に行って参りました。その感想です。


原田直次郎[1863(文久3)−1899(明治32)]は、江戸に生まれ、子どもの頃からフランス語を学ぶなど、西洋文化に触れて育ちました。やがて西洋絵画を学ぶため、高橋由一に師事し、1884(明治17)年にドイツのミュンヘンに留学します。

ミュンヘンでは美術アカデミーで研鑽を積み、画家のガブリエル・フォン・マックスにも師事しました。また、ドイツで出会った森鴎外と生涯にわたる友情を結び、鴎外の小説「うたかたの記」のモデルにもなっています。

1887(明治20)年に帰国すると、日本では伝統的な美術を保護し、西洋絵画を排斥する動きが高まっていました。原田は「西洋画は益々奨励すべし」と奮闘し、東京・本郷の自宅に画塾「鍾美館」を開いて指導するとともに、展覧会への出品を通して、西洋絵画の普及に努めます。わずか36歳で夭折したため、画家としての活動期間は短いものでしたが、ミュンヘンで描いた『靴屋の親爺』の圧倒的な描写力は、原田が西洋絵画の本質にいかに迫りえたのかを物語っています。

この展覧会では、原田直次郎の初期から晩年にいたる作品や資料とともに、師弟関係や親交のあった画家の作品も交えて、その軌跡をたどります。原田直次郎の回顧展としては、森鴎外が1909(明治42)年に開催した遺作展以来、およそ100年ぶりとなります。

自分が日本で最も上手いと思っている画家の一人に原田直次郎先生が居られます。先生の代表作『靴屋の親爺』を東京藝術大学名品展にて1999年に初めて観てから17年ぶり。それまでに高橋由一先生や生涯の一展「維新の洋画家 川村清雄」先生の展覧会は観てきたのですが、原田直次郎先生の作品はブックオフにて入手した過去の図録では何点か御目に掛かっていたのですが、今回図録でしか見たことが無い作品も含めて初めて纏めて観ることが出来て本当に幸せです。51年間生きてきて良かったと思いました。

で……何で観れていなかったかと申せば、「今迄一回しかやっていなかった」からなのであります。それもたった一日だけの展覧会。
この展覧会生前の親友であった森鴎外が奔走して没後十年1909年11月に東京美術学校(今の東京藝大)にて開催されたものでして、それから107年の歳月を経て黒田清輝よりも百万倍自分にとっては嬉しい大回顧展が全国で開かれることになったのであります。


今年は黒田清輝生誕150周年と言うことでトーハクにて回顧展が開かれますが、個人的にはどうでも良い存在の人でして、御本人に悪意は無かったのは解るんですが「外光派」が日本アカデミスムの主流になったことで随分と日本洋画史は遠回りをしてしまったのでは?と言うのが正直な感想でして、ドイツ帰りの原田先生やヴェネツィア帰りの川村先生が主流になっていたらと思うのでありますが、日の目を見たのは原田先生の方が若干早いとは言えるのですが……。

今回は先生ご自身の作品だけでなく、日本での師匠高橋由一先生の作品もあり、ミュンヘンでの師匠ガブリエル・フォン・マックス先生の作品や友人でドイツでも日本でも忘れ去れてしまった画家ユリウス・エクステルの作品のみならず、お弟子さんの伊藤快彦先生や小林萬吾
先生の作品をも踏まえて先生が蒔いた種は決して無駄には為らなかったと言う事を知らしめる展覧会となっております。
一見地味でありますが「大河浪漫」を感じさせるという点に於いて今年のベスト展覧会として強く推薦するものであります。



http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=327
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