思い出

孫が４月に小学校に入るので　私のその頃を思い出してみた。入学の日校門の桜が満開で桜色に拡がっていたのを見ていたとか、数日後　草刈りの時間に握った葉で掌を切って保健室へ行く途中で地下室の漆黒に向かって下っていく廊下を見ていたこと、などあるけど、それよりいまも不思議なのは３歳のときのシャツを４年生まで着ていたことだ。妹の葬式で家の前から人力車に乗せられて葬儀場に行ったのだろうが、そのとき明るい陽射しの中でクリーム色がかったセルのシャツを着ていたのを覚えている、と同時にそのあと日本に引き揚げてきて何年も経って小学校に上がってからも夏にはそのセルのシャツをかならず着た。４年生のときに、このシャツはずいぶん長い間着ているなあと妹の葬式を思い出したことを覚えている。孫の記憶もすでにいくつかの物語になってるのだろうか。