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2016年01月14日01:11

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宮本常一『家郷の訓』と千葉徳爾先生

久しぶりに宮本常一の本を読んだ。ある意味、読み直したといっていいかもしれない。

宮本の名著『忘れられた日本人』が大好き。でも宮本のエッセーは学問としてはなんか中途半端な気がして全集もパラパラめくるだけだった。

久しぶりに年末年始、書店で目がいって宮本常一『家郷の訓』(岩波文庫)を手に取った。戦時中という状況もあっておいおいと思う記述も目立つが、それも含めてある意味記念碑的な本だと実感した。感動した。

原ひろ子氏の解説もいい。原が宮本『民俗学の旅』にある旅の心得、駅前での観察が大事だと記している箇所を読んで、はたと思い当たったことがある。

僕が大学1年のとき、千葉徳爾先生の民俗学実習で新潟県上越の名立に行った。たまたま千葉先生と同じ列車で名立駅に降り立った時、千葉先生は駅前の仏壇売りのホーロー看板を指さして、「君はこれを見てどう思う」と僕に聞いた。僕がしどろもどろにトンチンカンな答えをしたら、呆れて「ここは真宗地帯なのだ!」と仰った。

その後、僕は葬祭調査の担当になって、なぜか運悪く千葉先生と二人でお寺とかを廻った。ある真宗寺院で僕が葬祭について聞き取りした時、先生は僕を無視して住職とシベリア抑留の話をしていた。その晩、僕が聞き取り結果を報告したら、「真宗寺院で民俗の聞き取りをするのはバカだ」と先生に散々と扱き下ろされた(T.T)。

「浄土真宗は民俗を破壊する」、そのことを後になって知った。

今どき、千葉先生のような大学教育をしたら、アカハラとか言われかねないだろうなと思う。その当時は千葉先生のやり方を恨めしく思ったけど、今にしてみれば良い教育をうけたと思い、感謝している。

宮本常一さんと千葉先生とは人物としては対照的かもしれないが、根っこには同じような人生経験・学問経験があるのだろうなと感じた。

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