鎌倉市さんぽ「鎌倉山・青蓮寺から七里ガ浜霊光寺」
○「瀧口明神」(腰越津1548)
湘南モノレール西鎌倉駅の東方、新鎌倉山住宅に向かうと「瀧口明神」があります。創建は欽明13年（552）と伝わり、最初は龍口寺の西隣にあった神社ですが、昭和53年に現在地に移転しました。
【経六稲荷の庚申塔】
龍口明神のすぐ手前に「経六稲荷」があります。鳥居の右手に4基の庚申塔があります。
○「青蓮寺」(手広5-1)
西鎌倉駅まで戻り北方に向かうと、手広には「青蓮寺」（しょうれんじ）があります。空海が弘仁10年（819）に開いたという古刹で、「鎖大師」の寺として知られています。護摩の修業のため鎌倉にきていた空海（弘法大師）のもとに、天女が舞い降りて力を貸してくれて、空海が無事に修行を終えると、天女から仏舎利（釈迦の骨）を授けられました。空海はそれを密教の法具に納めて一晩を過ごすと、池に青い蓮華の花が咲きそろっていたといいます。
【木造弘法大師坐像(鎖大師)】
青蓮寺の本尊は、木造弘法大師坐像です。裸像で膝が鎖で繋がれ動くようになっているため「鎖大師」と呼ばれています。なおこの弘法大師像は、元は鶴岡八満宮の等覚院の本尊でしたが、明治初めの神仏分離のおり他寺を経て後、当寺に移されたといいます。青蓮寺の元の本尊は不動明王でした。
【熊野神社の庚申塔】
青蓮寺の東の道を入ると、まもなく熊野神社の入口にいたります。そこから右に、すぐに左に曲がりそのまま坂を暫く上ります。坂の頂上の少し手前、左手に赤い鳥居と一群の石塔があり、3基の庚申塔があります。
【谷戸坂の切通し（古道江ノ島道）】
青蓮寺から道路反対側の道に入ります。この道は、古くから腰越・江ノ島に向かう道（古道江ノ島道）でした。谷戸坂の切通しには、古道の趣きが残こされています。崖を深く切通してあり、両壁が狭い道に覆い被さるように迫る様子は迫力があります。また、谷戸坂の切通しの道の東側にもう一つの古道(女坂)が残っています。
【谷戸坂の切通しの庚申塔】
谷戸坂の切通（男坂切通）側には、4基の庚申塔と間に台座が1つあります。また、女坂切通側の尾根には3基の庚申塔があります。しかし最近、古道沿いは建物が建造中で通行禁止になっていて、谷戸坂の切通（男坂切通）も女坂も通ることはできず、庚申塔も見当たりませんでした。でも、西鎌倉小学校側の道路からは、金網越しに谷戸坂の切通し（男坂切通）を見ることは可能です。
○「鎌倉山の碑」(鎌倉山3-17)
鎌倉山は、江ノ島の開発にも携わった実業家・菅原通済によって別荘地として開発され高級住宅地となっています。『万葉集』に次の歌があります。
�狄堵�(こ)る鎌倉山の木垂(こだ)る木を
松と汝が言はば恋(こ)ひつつやあらむ��
また、平安時代末期の和歌『永久百首』の中に次の歌が詠まれています。
�牴罎劼箸螻�倉山を越えゆけば 星月夜こそうれしかりけれ��
この場合の鎌倉山は、当然鎌倉にある一般の山々を指しています。
鎌倉山バス停近く、鎌倉山ロータリーの中央にある「鎌倉山の碑」(鎌倉山建国記念日の碑)は、関東大震災で壊れた鶴岡八幡宮の三ノ鳥居の柱を加工して石碑にしています。このロータリーの前を走る道が、日本最初の自動車専用道路で、通行料は昭和30年代当時50円（当時の映画鑑賞券と同等）で、自転車が通行するのにも料金がかかったそうです。鎌倉山は桜の名所でもあり、鎌倉山ロータリーからの道(桜通り)沿いには延々と桜の木が植えられており、棟方板画美術館(閉館)のある旭ヶ丘バス停付近が特に美しいといいます。鎌倉山2丁目まで行くと、鎌倉山の碑とは別に、菅原通済(この地の開発者)題の「鎌倉山記の碑」(昭和10年7月建之)があり、「ああ、茨の地であった土地に(鎌倉幕府が開かれ)大都が湧き出たことを回想すれば、100年の後、この鎌倉山の形勢はどのようだろうと思うと感慨限りない」とあります。また、鎌倉山から望む富士の姿は今も昔も変わらないようです。
○「夫婦池」(鎌倉山2-2)
鎌倉山の北東側にある「夫婦池」は、二つの池(上池と下池)がまるで夫婦が寄り添うかのように仲良く並んでおり、最近、「夫婦池公園」として整備されています。約330年前の江戸時代天領の頃、代官（成瀬五佐衛門重治）が笛田村に灌漑用水として現在の下池を掘らせました。その後、笛田・手広の住民により中央の堤が建設されて上池と下池ができました。上下一対の池のため、現在「夫婦池」と呼ばれています。
○「棟方板画美術館」(鎌倉山2-19)
旭ヶ丘バス停から南に向かうと「棟方板画美術館」があります。美術館は志功が晩年を過ごしたアトリエの跡地に建っていて、日本のゴッホとも呼ばれた志功のエネルギッシュな作品を展示していました。2010年に休館(事実上の閉館)し、所蔵品は青森県の棟方志功記念館に移されています。
○「霊光寺」(七里ガ浜1-14)
七里ガ浜小学校の西に「霊光寺」があります。享保20年（1735）、江戸講中によって建てられた「日蓮大菩薩祈雨之旧蹟地」などと刻まれた石塔が発見されたことから、この地を日蓮の雨乞いの旧蹟とする事になり、昭和32年に霊光寺が建立されたそうです。文永8年（1271）の大旱魃の際、日蓮が池のそばで法華経を唱えると雨が降り出し3日3晩続いたという雨乞い伝説が残っています。「田辺ヶ池」「金洗沢池」などの龍池が現存しています
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