水木しげるがなくなった。
妖怪は普段は見えないが、あることがきっかけで現れる。
そういう存在だったのかもしれない。
黒沢清監督の「岸辺の旅」は、まさにそういう映画だった。
見えないはずのものが、どういう風に現れて、どういう風に消えていったか。
現れ方は、徐々に暗くなって
いつの間にか、という感じで。
最初から現れている場合もあった。
見える人だけに見えている場合もあった。
ただ、消え方は、次のカットにはいなくなっていた。
黒沢清は、「回路」(01)でも、「大いなる幻影」(99)でも、人を消していた。
人を消すことには、こだわりがある。
では、ここでは、そうした幽霊のような存在がどうして見えるのかについて、
浅野忠信に語らせている。
それはノーベル賞を受賞した梶田教授が発見した「ニュートリノに質量がある」
ということと同様。
見えないニュートリノに質量があるならば、
見えないものに実体があることはおかしくない。
子どもが見に行く滝壺がいいなあ。
深津絵里も滝壺で出会う。
間違いなく深津絵里の映画。
映画が描く世界が、エピソード毎に広がっていく感じがすばらしい。
また、大友良英の音楽が、すばらしくいい。
中田秀夫監督の「劇場霊」は、
タイトルに反して、見えない霊が見えるという話ではなかった。
「女優霊」(95)はそういう話だったんだけど。
でも冒頭の場面からいきなり、ゴシックホラー。
ハマーフィルムの雰囲気まんまん。
島崎遥香ありきの映画かと思いきや、中田監督がオーディションで彼女に決めたという。
「劇場霊」中田秀夫監督が語る 島崎遥香に“ホラー女優”の資質
http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20151121/Gendai_89315.html
島崎のアップがけっこう多いのだが、彼女の眼は、
恐怖漫画のヒロインぽくて、いい。
決して笑わない。
人形が動く、グランギニョル。
彼女が人形に触れた時、フラッシュバックして人形の過去の出来事が見える場面がある。
島崎のアップでは
彼女は何かを観ているようで実は何も観ていないようにみえる。
中田秀夫はやはり、力技の人だと認識。
シャワーシーンは、「MONSTERZ モンスターズ」(14)でもあって、藤原竜也だった。あれは、やおい系を狙った映画だったのか。
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