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2015年12月12日17:35

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見えないものを観ること 「岸辺の旅」「劇場霊」

水木しげるがなくなった。
妖怪は普段は見えないが、あることがきっかけで現れる。
そういう存在だったのかもしれない。


黒沢清監督の「岸辺の旅」は、まさにそういう映画だった。
見えないはずのものが、どういう風に現れて、どういう風に消えていったか。

現れ方は、徐々に暗くなって
いつの間にか、という感じで。

最初から現れている場合もあった。

見える人だけに見えている場合もあった。

ただ、消え方は、次のカットにはいなくなっていた。

黒沢清は、「回路」(01)でも、「大いなる幻影」(99)でも、人を消していた。
人を消すことには、こだわりがある。

では、ここでは、そうした幽霊のような存在がどうして見えるのかについて、
浅野忠信に語らせている。

それはノーベル賞を受賞した梶田教授が発見した「ニュートリノに質量がある」
ということと同様。
見えないニュートリノに質量があるならば、
見えないものに実体があることはおかしくない。

子どもが見に行く滝壺がいいなあ。
深津絵里も滝壺で出会う。
間違いなく深津絵里の映画。

映画が描く世界が、エピソード毎に広がっていく感じがすばらしい。

また、大友良英の音楽が、すばらしくいい。


中田秀夫監督の「劇場霊」は、
タイトルに反して、見えない霊が見えるという話ではなかった。
「女優霊」(95)はそういう話だったんだけど。

でも冒頭の場面からいきなり、ゴシックホラー。
ハマーフィルムの雰囲気まんまん。

島崎遥香ありきの映画かと思いきや、中田監督がオーディションで彼女に決めたという。

「劇場霊」中田秀夫監督が語る 島崎遥香に“ホラー女優”の資質
http://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20151121/Gendai_89315.html

島崎のアップがけっこう多いのだが、彼女の眼は、
恐怖漫画のヒロインぽくて、いい。
決して笑わない。

人形が動く、グランギニョル。

彼女が人形に触れた時、フラッシュバックして人形の過去の出来事が見える場面がある。
島崎のアップでは
彼女は何かを観ているようで実は何も観ていないようにみえる。

中田秀夫はやはり、力技の人だと認識。
シャワーシーンは、「MONSTERZ モンスターズ」(14)でもあって、藤原竜也だった。あれは、やおい系を狙った映画だったのか。
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