横須賀市さんぽ「横須賀・三笠公園から猿島散策」
○「三笠公園」(稲岡町82)
京急横須賀中央駅から北東に徒歩15分で「三笠公園」があります。「水と光と音」をテーマとした公園で、音楽に合わせて舞う噴水や、ダイナミックな壁泉、高さ18ｍのモニュメントなどが多数点在し、芸術・歴史を肌で感じることができます。また、日露戦争で活躍し世界三大記念艦の一つである「三笠」が保存されており、三笠の後ろには東京湾を行き交う船や猿島も望めます。11月上旬に横須賀産業まつりが実施されます。
【東郷平八郎の像】
入口広場の円形噴水池の中心に「東郷平八郎の銅像」があります。製作は長野県出身の彫刻家・清水多嘉示（しみずたかし）で、昭和42年の建立です。日本海海戦時の三笠艦橋に立つ海軍軍装姿を模しており、右手は愛用のツァイス社製双眼鏡、左手は皇太子（後の大正天皇）より下賜された一文字吉房の海軍拵（軍刀）に添えています。銘板には「日本海海戦後言志 日の本乃海にととろく かちときは 御陵威かしこむ 聲とこそしれ（日本の海に轟く勝鬨は天皇陛下のお耳にも届く）」（署名・花押）の句が記されています。旗艦三笠をバックにした凛とした姿は、それだけで絵になります。
【記念館三笠】
明治35年にイギリスで建造。排水量15,140トン。全長122m、幅23m。明治37年に始まった日露戦争で、東郷平八郎司令長官率いる連合艦隊の旗艦として活躍しました。甲板や船室が公開され司令長官室も復元され、乗組員の遺品、日本海海戦等の資料を数多く展示してあります。入場料大人500円。
【行進曲軍艦記念碑】
♪守るも攻むるも黒鉄（くろがね）の 浮かべる城ぞ頼みなる・・・
行進曲「軍艦」は明治30年、海軍軍学長の瀬戸口藤吉氏によって作曲されました。日本の勃興期における行進曲として親しまれ、未来への明るい希望と自信を与え勇気付けるものでした。世界３大行進曲のひとつとして、音楽史を彩る稀有の名曲です。作曲されてから一世紀を迎える年、瀬戸口軍学長の終焉の地となった横須賀の三笠公園に、この顕彰碑を建てられました。
【噴水】
三笠公園といえば、音楽に合わせて舞う噴水がとても立派な公園です。
【みどりのちかい】
「人間と人間を取り巻く、すべての生命を大事にする都市」をうたっています。
【野外音楽堂】
非常に稀にではありますが、利用されることがあります。
【メインモニュメント】
高さ18ｍのステンレス製です。太陽の光が当たると、さまざまな色の変化が楽しめます。
【Ｄ５１(緊急用飲料貯水槽)】
この蒸気機関車は、昭和55年にいつかくるであろう大地震のために備えて設置されました。生活に欠かすことのできない水を貯えておくための非常用貯水槽です。ただの貯水槽を設置したのでは景観が良くないということで、この形になりました。通称を100トンタンクと呼ばれます。
【横須賀産業まつり】
横須賀の産業をまるごと紹介する「よこすか産業まつり」。市内の事業者による自社製品、取扱商品等のPR・販売のほか、地場産農産物や交流都市の特産品の販売も行われます。また、野外ステージでのパフォーマンスなど、楽しいイベントも盛りだくさんです。
○「猿島公園」(猿島1)
三笠公園の三笠桟橋から乗船10分で「猿島」に渡ることができます(乗船料往復大人1,200円)。東京湾に浮かぶ唯一の自然島です。釣り・海水浴・バーベキューなど、四季を通してアウトドア・アクティビティが楽しめます。旧海軍の要塞として、一般人の立ち入りは、終戦まで禁止されていました。 島内には緑深い木々のなか、レンガ積みのトンネルや砲台跡などの旧軍施設が残っていて、ちょっとした探検気分が味わえます。かつて、仮面ライダーのショッカー基地として撮影が行われたことでも知られています。
【猿島桟橋】
猿島の桟橋は平成21年に完成したものです。着船部分は潮位にあわせて、常に船の乗降口と同じ高さに上下する浮き桟橋構造になっています。桟橋の根元には砂浜が広がっており、この砂浜がバーベキュー場となります。猿島にはレンタルショップがあり、バーベキューの食材のみを持参すれば、コンロや必要物品はすべてレンタルショップでまかなうことができます。
【ボードウォーク】
砂浜より一段高い部分にボードウォークが設けられています。ベンチやテーブルが備え付けられており、海を眺めながらの食事や休憩に最適なスポットです。
【猿島散策路】
ボードウォークの傍の緩やかな坂を少し登ると「猿島散策路」の入口です。散策路の右側に案内板が建てられています。案内板は島内数箇所に建てられており、迷うことなく散策できます。
【猿島要塞】
緩い坂を登っていくと、直線の散策路が前方に開けてきました。ここが露天掘り幹道で「猿島要塞」の入口です。入って行くと、砲台跡、弾薬倉庫跡や兵舎跡などがあります。猿島は東京湾ののど元に位置するため、海の守りの要として、幕末、明治中期、昭和と三度にわたり砲台が築かれました。黒船がたびたび姿を見せはじめた幕末の頃、江戸幕府は海上防備のため、全国初のお台場と呼ばれる砲台を猿島に3ヶ所建設し、黒船に対する守りを固めました。以来、猿島は「要塞の島」としての歴史を歩み始めました。すべての施設が岸壁を掘り込んで造られているので、島の外からは全く見えない構造となっています。
【砲台跡】
露天掘り幹道に沿っていくつかの部屋が並んでいます。小窓のあるのが兵舎で、窓のない部屋は弾薬庫です。弾薬庫のすみには、真上の砲台に弾薬を運ぶためのものと思われる井戸のような穴が開いています。トンネルの壁沿いにも壁を掘り込んで2階建ての部屋が作られています。これらの部屋も兵舎や弾薬庫のほか、病室や司令室として設けられたと考えられています。このように猿島の要塞は、数々の工夫がなされた見事な要塞でした。しかし、関東大震災で一部が崩壊したことや、飛行機や長距離砲が急速に発達したことにより、実戦で使われることはありませんでした。
【愛のトンネル(フランス積レンガの要塞)】
昭和16年頃より鉄筋コンクリート制の円形の砲座が5座造られ、その上には高射砲が配備されました。高射砲は終戦とともに進駐軍に解体され、砲台だけが残されました。猿島に現存する砲台跡はこの時期のものです。日本でのレンガによる建築は、幕末の長崎に始まり文明開化とともに全国に広がりました。しかし、そのほとんどは地震や老朽化により失われてしまいました。猿島の要塞もその一つで、愛知県産の品質の高い赤レンガを用いて、明治時代中期に建造されました。レンガの積み方は、大きくは｢フランス積｣と明治20年ごろから主流となった「イギリス積」に分けられます。猿島の要塞はフランス積によるもので、フランドル地方（ベルギー西部〜フランス北端にかけての北海沿岸）で発達したため、正式にはフランドル積といいます。フランス積のレンガ建造物は、もともと数が少なかったこともあり、猿島要塞を含めて全国で４件しかなく、建築史上とても貴重な建造物です。中は薄暗くカップルが自然と手をつないで通るため、いつしか｢愛のトンネル｣と呼ばれるようになりました。
【第一砲台跡】
愛のトンネルを抜けた右手が第一砲台の関連施設です。台地上の両側には27�儔断惜い�1門ずつ設置され、砲台下には弾薬庫や弾を上げるための井戸が陸軍によって建設されました。その後、海軍が高角砲を設置し、その通路として弾薬庫を貫いて通路とし現在に至っています。
【展望台】
散策路に沿って進み、急な階段を登ったところが展望台です。展望台は猿島に残る５つの砲台とともに、第２次世界大戦時に観測所として造られたものです。施設が老朽化しており展望台の上に登ることはできません。
【日蓮洞窟(古代遺跡跡)】
展望台を過ぎて島の東側の急な階段を下りていくと、海辺近くに「日蓮洞窟」(古代遺跡跡)があります。この付近の岩場は釣りの名所とのことで、岩礁の上で何人かが釣りを楽しんでいました。
【猿島に伝わる伝説・日蓮上人上陸の地】
日蓮上人が天候の悪化により沈没寸前となった時、現れた白猿の導きによって現在の米ケ浜に無事上陸できたといわれています。この伝説に因んで「猿島」と名づけられたようです。
【猿島に伝わる伝説・角無しサザエ】
日蓮上人が米ケ浜に上陸する際、漁夫がサザエの角で足を痛めているのを見た日蓮は、題目を唱え、サザエから角をとってしまいました。 今でも、この付近で採れるサザエには角がないそうです。
【卯の崎台場跡】
三叉路を右前方に進んだところが「卯の崎台場跡」です。この付近の斜面一帯には幕末に建設された砲台である卯の崎台場がありました。江戸幕府が異国船の江戸湾侵入を抑えるために、島の3ヶ所に建設した台場のうちの一つで、弘化4年（1847）に完成しました。この卯の崎台場には3門の大砲が据えられ、普段は雨覆いがかけられていました。嘉永6年（1853)にはペリー提督が黒船を率いて猿島の脇を通過し、その際に猿島を「ペリー･アイランド｣と命名したと伝えられています。
【オイモノ鼻】
台場跡から階段を下りると、オイモノ鼻の岩礁に出ることができます。この付近も釣りの名所のようです。三叉路まで戻り右に進むと、展望台を経由してスタート地点に戻ることができます。
【猿島に伝わる伝説・猿島春日神社の大蛇】
現在、三春町にある春日神社は、明治17年までは猿島にありました。7月下旬の大祭前後には毎夜のように上総の鹿野山から猿島へ、大蛇が泳いできたといいます。この大蛇は春日神社の守護神で、島へ来たときは北側の洞窟に住んでいました。なお、この洞窟は、江ノ島の岩屋まで続いているといわれています。
【豊島】
昔、猿島は豊島（としま）と呼よれていたそうです。そのころの海には、猿島のほかにも笠島、平島、蛸貝島など、島は前部で10島あったので十島（としま）と名づけられていましたが、縁起をかついで豊島と呼ぶようになったそうです。 明治のころから、海はどんどん埋め立てられて、今では猿島だけが海に浮かんでいます。
【タブの木の森】
猿島を海上から眺めると、黒々とした色の森が目につきます。これがタブの森です。船着き場の北側崖上にはみごとなタブノキが多く見られます。この景観は、三浦半島に残された数少ない原生林といえます。
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