皆さんは「リスト弾き」と言えば、誰を思い浮かべるのでしょうか?
ボレット、ブレンデル、ベルマン、ワッツ、それとも女流のクリダ?
しかし、「リスト弾き」で、僕がまず思い浮かべるのは、ジョルジ・シフラだ。
そこで取り出したCDがこれ、
La campanella: the best of Cziffra(TOCE-3186: Remastered by Yoshio Okazaki)
リストのポピュラー曲を集めたダイジェスト盤で選曲も良いが、なによりも演奏が極め付けのすばらしさなのだ。このアルバムは、昔LPでよく聴いたものだ。
ハンガリー狂詩曲第2番、6番、15番;これらは奇跡的な素晴らしさだ。例えばグールドのバッハやホロヴィッツのある演奏CDを聴いた時に、音楽が心の琴線に共鳴し、恍惚となる瞬間があるが、シフラのリストはまさにその感動を味あわせてくれる。
シフラは後にハンガリー狂詩曲全曲をステレオ録音している。
それも素晴らしいが、ややオーバー・アクションの感があり、このモノラル録音には及ばない。
「愛の夢 第3番」はステレオ録音だが、これ以上の演奏が考えられるだろうか?と思える。
「リゴレット・パラフレーズ」、「ファウスト・ワルツ」、「ラ・カンパネラ」も入っている。
リストの名曲集が欲しい・・と考えられている方にお勧めの一枚だ。
「リストでこれほどのすばらしい演奏ができるのなら、さぞかしベートーヴェンのピアノソナタ等の演奏も感動的だろう」と思ってシフラによるベートーヴェンの録音を聴いてみると、それがさほどではない。
思うにリストのピアノ曲は、それはそれで素晴らしいのだが、ベートーヴェンのそれとは器が違うのかも知れない。
リストの曲は、技巧派で、マニアックで、内に向かうロマンティシズムを持ったピアニストに似合うが、ベートーヴェンの曲は器のサイズが大きく、それだけでは物足りない感じがある。やはり、ベートーヴェンは超偉大なのだ。
リストと言えば、パガニーニのように演奏家として見られ、作曲家としては一段下がった見方をする人も多いが、僕はそうは思わない。
ピアノ曲の分野で、ショパンやシューマンのように、独特の高みを持つ芸術を築いた作曲家と思う。
ログインしてコメントを確認・投稿する