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2015年07月03日09:33

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問題は言論弾圧であり「池田信夫の歪んだアジェンダ設定」だ【長文】

第三者による客観的なコメントのふりをして、
議員と首相の親しい友人が
政権肝いりの懇話会で
堂々と言論弾圧を議論していたという問題から
世論の注目をそらそうと図る池田信夫。

……なるほど「歪んだアジェンダ設定」ってそうやるんですね。

 問題は「広告料よりテレビの電波独占が最大の問題だ」という
 百田氏の発言を、新聞が無視したことだ。
 ここでは読者にとって問題は最初から存在しないので、
 いわば暗黙の言論統制が行なわれている。
 どういう問題を大きく扱うかで、
 読者の印象はほとんど決まってしまうのだ。

本当に「『広告料よりテレビの電波独占が最大の問題だ」という
百田氏の発言を、新聞が無視したこと」が問題なのだろうか?

それでは実際にどういう文脈で
電波独占云々の話が出てきたかを、
この電波独占発言に言及していた
2015年6月27日の朝日新聞デジタルの記事から検証してみたい。


 勉強会「文化芸術懇話会」は25日夕、自民党本部で開かれた。

 (中略)

 首相と親しく、最初の講師に選ばれた百田尚樹氏は、
 報道陣に公開された冒頭で
 「反日とか売国とか、
 日本をおとしめる目的で書いているとしか思えない記事が多い」と
 マスコミ批判を展開。議員は「そうだ!」と盛り上がった。

 その後、会合は非公開となった。

……ジャーナリストが「聞き耳」を立てていたのは
「ルール違反」だの「卑怯」だのと百田(とネトウヨ)は騒いでいたが、
マスコミに公開されていた冒頭部分ですらこの始末。

しょっぱなから香ばしい発言! 特ダネの予感!!

ジャーナリストとしては
「期待」せずにはいられないだろう。

次に、会合で話されたという
議員の発言を抜粋する。

 大西英男衆院議員(東京16区)
 「マスコミを懲らしめるには、
 広告料収入がなくなるのが一番。
 日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと、
 経団連などに働きかけしてほしい」

 井上貴博衆院議員(福岡1区)
 「福岡の青年会議所理事長の時、
 委員会をつくってマスコミをたたいた。
 日本全体でやらなきゃいけないことだが、
 テレビのスポンサーにならないのが一番こたえることが分かった」

……当のマスコミ関係者が
壁一つ向こうにいる状態でこれである。

取材陣からしたら
「これは政府からの挑発か?」
「ひょっとして……わざとやっているのか?」
「あえてこういう酷い発言を《それとなく》聴かせて、
 どのくらいまで紙面に載せられるかを見て、
 マスコミがどれくらい政権に忠実か測る気か?」
などと色々憶測を巡らしたと思う。

少なくとも、
おれがその立場でその場にいたなら絶対そう思う。

百田はそのあと、
マスコミが聞き耳を立てていたのは「ルール違反」「卑怯」だの
何だのと騒いでいるが、

たとえていえば、
壁の向こうに日本の外務省や防衛省の役人がいる場所で
中国共産党や政府の要人が
日本を叩くにはどうすれば一番効果的か
話し合っていたようなものだ。

聞き耳を立てるなと言われても
無理な相談だろう。

立場を変えて、
誰かが壁の向こうで
「百田尚樹は絶対殺さんといかん」とか相談してたら何と思うか?

ルールも卑怯もへったくれもなく、
こいつら絶対許さんぞ、破滅させたる、
と思うのではなかろうか?


それはさておき、その後に

 百田
 「新聞よりテレビだ。五つの民放が、
 自由競争なしに地上波という既得権益を手放さない」

という例の「テレビ地上波=既得権益」発言が出てくる。

有名人の百田尚樹に注目が集まったせいで、
他の議員の発言がやや霞んでしまった感があるが、
(むしろこれこそ「メディアの歪んだアジェンダ設定」だったと思う)
衆院議員井上貴博(福岡1区)などは、
福岡の青年会議所理事長の時に
委員会をつくってマスコミを叩いたという「実績」を語ってさえいる。

そして自分たちが福岡で実際にやったことを、
日本全国でやらなきゃいけない、というのである。

彼以外の自民党議員も
地方レベルで大同小異なことをやってるんじゃないか?
……と疑わせるに充分な発言である。

そしてその文脈上に沖縄が話題に上る。

 長尾敬衆院議員(比例近畿ブロック)
 「沖縄の特殊なメディア構造をつくったのは戦後保守の堕落だ。
 沖縄の世論はゆがみ、左翼勢力に完全に乗っ取られている」

 百田
 「沖縄の二つの新聞社(沖縄タイムス、琉球新報―引用者注)は
 絶対つぶさなあかん」

 「左翼は沖縄に基地があるから、
 米兵が沖縄の女の子を強姦(ごうかん)すると批判するが、
 データ的にいうとひどいウソだ。
 米兵が犯したレイプ犯罪よりも、
 沖縄県全体で沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が、
 はるかに率が高い」

……確かにここには、戦後保守の堕落が見て取れる。

基地問題は米兵のレイプ問題だけではないのに、
ことさら問題を矮小化してしまっている。

その上、沖縄に在日米軍基地の約4分の3が集中しているのは、
内地人が沖縄人を一段下の存在とみているからこそ、
米軍基地という、内地にはあまり置いておきたくない厄介な代物を
押しつけているのだ……という本心を、
内地の「ベストセラー作家」の口から
自白したようなものである。

それに対する沖縄県民の不満や怒りを代弁している沖縄の2紙は
「つぶさんといかん」というわけだ。

「保守」なる者共はこんなにも邪悪で横暴で陰険な奴らだったのか!?

ここまで同胞への思いやりが欠けた連中、
「自分たちに逆らう者、反対する者は潰す」と公言する連中が
「保守勢力」でございという顔をして、
日本を善導する者のごとく振舞っている現状は、
保守の堕落以外の何ものでもない。

あるいは、わざわざ堕落するまでもなく
「保守」なる連中がもともとこの程度の
低俗な存在だったのかも知れないが。

なるほどこれでは
沖縄が所謂「左翼勢力」に
「完全に乗っ取られる」のも無理はない……。


またこの懇話会での会話全体を通して感じられる、
「他者感覚」というか、他者に対する想像力の
徹底的な欠如も気にかかる。

今時の「保守」ってそんな奴らばっかりなのか?
(関連記事に対する、
 保守系と見受けられる人のつぶやきや日記を見ると、
 どうもそんな気がしてならない)

沖縄の人々に対しては言うまでもなく、
ジャーナリストに対してもそうである。
壁の向こうにマスコミ人がいて聞き耳を立てているところで、
マスコミの懲らしめ方を論じ合うという迂闊さ。

「マスコミは完全に政権の支配下にあるから、
これぐらい喋っても記事になんかされっこない」と
タカをくくっていたのだろうか。

記者だってそこまで徹底的にコケにされたら
「そっちがその気なら、こっちにだって考えがある。
デスクか上層部レベルで没にするかも知れないが、
書けるだけの記事は書いてやろう。驕れる自民に筆誅を下してやる!」
ぐらい思うだろうに。

彼らの脳裏には、そのような想像力は
百田の頭髪ほどにも存在しないらしい。


閑話休題。

こうして懇話会での話の中身を通してみてみると、
核心はやっぱり言論弾圧であって、
百田のいう「テレビ地上波の既得権」云々も
その文脈で出てきた話であったことがわかる。

全体の会話の流れの中で少しだけ出てきた話題を
ことさらに強調してみせて、
それがあたかも懇話会の本当のテーマであったかのごとく
読者を錯覚させようとする池田信夫のやり口こそ、
まさしく「歪んだアジェンダ設定」の見本である。

――――――――――――
■問題は言論弾圧ではなく「メディアの歪んだアジェンダ設定」だ
- 池田信夫 エコノMIX異論正論
(ニューズウィーク日本版 - 07月02日 18:51)

 6月25日に自民党の「文化芸術懇話会」で、複数の自民党議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい」と発言し、これに応じて作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」などと発言した事件は大きく報道され、国会でも取り上げられた。

 この背景には、安保法案をめぐる国会審議が終盤に来て、自民党の推薦した参考人が「憲法違反だ」と発言し、会期を大幅に延長するなど、与党が苦境に追い込まれている焦りがあるのだろう。マスコミ各社はここぞとばかりに言論弾圧問題を取り上げているが、実際の言論統制はこんなに白昼堂々と行なわれるものではない。

 私のジャーナリストとしての経験でも、政治家から直接「これを報道するな」と介入を受けたことは一度もない。大部分の事件は「今回は抑えてほしいが、次は優先的に情報を提供する」といった形で、政治家とマスコミの取引で闇に葬られるのだ。政治部では、そういう政治家の事件を「抑える記者」が出世する。

 問題になった百田発言の趣旨も「テレビの広告料ではなく、地上波の既得権をなくしてもらいたい。自由競争なしに五十年も六十年も続いている。自由競争にすれば、テレビ局の状況はかなり変わる」ということなのに(系列キー局をもたない)東京新聞以外は報道もしない。

 メディアは一般に思われているほど、特定の政治的立場に片寄った報道はしない。百田氏の発言は事実であり、新聞はそれを歪曲したわけでもなく、記事の本文で「右翼的偏向だ」ともいわない。そういう論評は外部の(そのメディアの見解に好意的な)「識者」にコメントさせるので、一つの記事だけ読むと中立に見える。

 問題は「広告料よりテレビの電波独占が最大の問題だ」という百田氏の発言を、新聞が無視したことだ。ここでは読者にとって問題は最初から存在しないので、いわば暗黙の言論統制が行なわれている。どういう問題を大きく扱うかで、読者の印象はほとんど決まってしまうのだ。

 これをメディア論でアジェンダ設定と呼ぶ。アジェンダとは議題などと訳すが、問題の大前提で、メディアは自分に都合のいいアジェンダだけを報道することによって人々を誘導するのだ。たとえばアメリカではリベラル系メディアは人種差別を多く取り上げ、保守系メディアは税金の無駄づかいを取り上げる。

 このようなアジェンダ設定のバイアスは、政治家にも影響を与える。特に日本の野党はマスコミ以外に情報源がないので、新聞が「言論統制はけしからん」といった記事を1面トップで報道すると、それを国会で追及し、これを新聞が大きく取り上げる...というループに入り、マスコミの取り上げないアジェンダは無視されてしまうのだ。

 おかげで、わかりやすく派手な見出しの立つ憲法問題や原発問題は国会でもメディアでも取り上げられるが、むずかしい安全保障やエネルギー政策はアジェンダから除外され、政治家も国民もほとんど知らない。このため国会審議は中身のない憲法論争に終始し、政治家の失言を追及する「劇場政治」になる。

 これは商業メディアの営業政策としては、やむをえない面もある。インターネットの影響力はまだ弱いが、マスコミがこうして排除してきたアジェンダを取り上げるところに意味がある。そしてこういう情報は、SNSやスマートフォンなどで若い世代には瞬時に伝わる。紙の新聞しか読んでいない政治家は、そのうち彼らに見捨てられるだろう。

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=171&from=diary&id=3496763

――――――――――――

沖縄の尊厳・報道の自由を威圧 放言飛んだ自民勉強会
2015年6月27日05時02分(朝日新聞デジタル)

 「沖縄の新聞社はつぶせ」「マスコミを懲らしめるには広告がなくなるのが一番」――。自民党の勉強会で飛び交った放言は、26日の衆院特別委員会で集中砲火を浴びた。勉強会は安倍晋三首相を支える中堅・若手が開いただけに、野党は「沖縄」の尊厳を侵したり、報道の自由を威圧したりするような姿勢に対し、「安倍政権の本質的な問題だ」と追及した。

 勉強会「文化芸術懇話会」は25日夕、自民党本部で開かれた。

 「九条の会」の発起人に名を連ねる作家・大江健三郎さんや、脱原発に取り組む音楽家・坂本龍一さんら、リベラル系文化人の発信力に対抗し、政権の思想や政策を文化人を通して発信してもらう狙いだ。

 首相と親しく、最初の講師に選ばれた百田尚樹氏は、報道陣に公開された冒頭で「反日とか売国とか、日本をおとしめる目的で書いているとしか思えない記事が多い」とマスコミ批判を展開。議員は「そうだ!」と盛り上がった。

 その後、会合は非公開となった。出席者などへの取材によると、百田氏の講演が終わり、議員側との質疑応答に移ると、百田氏の冒頭発言が呼び水となったかのように、報道規制を正当化する発言が相次いだ。

 大西英男衆院議員(東京16区)は「マスコミを懲らしめるには、広告料収入がなくなるのが一番。日本を過つ企業に広告料を支払うなんてとんでもないと、経団連などに働きかけしてほしい」。井上貴博衆院議員(福岡1区)が「福岡の青年会議所理事長の時、委員会をつくってマスコミをたたいた。日本全体でやらなきゃいけないことだが、テレビのスポンサーにならないのが一番こたえることが分かった」と続けた。

 これに対し、百田氏は「新聞よりテレビだ。五つの民放が、自由競争なしに地上波という既得権益を手放さない」などと応じた。

 その後、長尾敬衆院議員(比例近畿ブロック)が「沖縄」に話題を移す。

 沖縄タイムス、琉球新報という二つの地元紙を名指しし、「沖縄の特殊なメディア構造をつくったのは戦後保守の堕落だ。沖縄の世論はゆがみ、左翼勢力に完全に乗っ取られている」と主張。これに応える形で百田氏が「沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」と述べたが、笑いでざわめくのみで、発言を注意する声は上がらなかった。

 さらに百田氏は「左翼は沖縄に基地があるから、米兵が沖縄の女の子を強姦(ごうかん)すると批判するが、データ的にいうとひどいウソだ。米兵が犯したレイプ犯罪よりも、沖縄県全体で沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」とまで述べた。

http://www.asahi.com/articles/ASH6V5TZMH6VUTFK01G.html?iref=com_alist_6_01

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