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2015年06月15日00:23

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ナイトランド・セッション#9

平成27年6月13日土曜日。新宿カフェライブワイヤ。
ゲストは映画脚本家兼監督の高橋洋さん。
Jホラーは感覚的に苦手なので存じあげていなかったが、リングシリーズの貞子がテレビから出て来るアイデアはこの方だそうだ。又、Jホラーと云う呼び名もこの方が最初らしい。
朝松先生と高橋さんと映像嗜好で一致する所が多く、お二人で盛んに映画談義に花を咲かせておられた。
落語で「してはいけない演目」と云うものが有り、これを或る時大阪でやったところ不幸な事が起きたと云われており、高橋さんは映画の仕事で海外の関係者に会う度、お国でそうしたものが有るかどうか訊いておられたそうだが、有ると答が有ったのはイギリスだけだったと云う。イギリスでは亡霊絡みらしいが「マクベス」が稽古の時に絶対「マクベス」の名を出してはいけないのだと云う。でも、本番では「マクベス」の名を想いっきり出しているのだが・・・・
高橋さんはホラーの製作者としては理論を構築されその理論を元に製作されておられ、ホラーについて理論武装されておられる小中千昭先生に通じるものが有り、又、ホラーの製作者としては少数派である「世界が異常なのか自分が異常なのか」派と云う事に成った。通常とは相容れない世界観の持ち主と云う事らしい。
ところで高橋さんは朝松先生の「黒衣伝説」を読んでおられ、それに絡んで此処には書けない様な話を・・・特定の人物を発狂させる手段とか・・・色々とオフレコな話が・・・
ちなみに朝松先生がお友達の精神科医の方からお聞きに成った話として、精神的に問題有りそうな相手に対しては、まず「百ひく七」と云うのが効果的だとか。人間と云うのはこうした計算を出されると一瞬考え込み、興奮していても冷静に成るのだそうだ。で、数字の中で最も落ち着き易いのが「七」なのだとか。で「百ひく七は?」「九十三」「では九十三ひく七は?」と繰り返して行くと、どんどん落ち着いて行くものだそうだ。逆にこれでまともな答が返って来なければ、本当に危ないらしい。なお、その精神科医の方に怪奇実話集を渡したら「明らかに統合失調症と見られる症例が〜件、癲癇性の幻覚と見られる症例が〜件・・・」だったらしい。
今後のお仕事について、高橋さんは現在中国に企画を出されている所だとか。共産党は映画にお金を出してくれるので良いらしい。政府や体制の批判さえなければ問題無く企画を歓迎してくれるが、只、共産主義では幽霊の存在は認めていないので幽霊が出る映画を出したら駄目だったと云う。それで別な企画を練っておられるそうだ。
朝松先生は、仕事が6箇月遅れており(「魔道コンフィデンシャル」?)、「一休」シリーズの作品集が河出書房新社からハードカバーで出る予定との事。
又、創土社からラヴクラフトがラノベで出ると云う事で皆が驚きに眼を見張った。なお、朝松先生はラヴクラフトの作品は普通の小説にするだけでも頁数が増えて大変で、「ナイアルラトホテップ」の場合など、あそこに書かれた内容を全て小説で表そうとすれば三百頁くらいかかるだろうと云われた。ラヴクラフトをラノベにする事については無謀だろうと云う雰囲気が流れたが、ラノベで有る無しに関わらず、ラヴクラフトの作品をよく理解した上で判り易く日本語にしており、ラヴクラフトの翻案小説として非常に良いものに仕上がっているとの事で期待出来そう。ラノベと云わず、読み易く翻案したと云えば良いのかも知れない。
ところで、その昔、国書刊行会で出た「ウィアードテールズ」について定価1950円と云うのは営業と色々揉めたそうだ。営業はハードカバーで出したがり、一方、編集ではパルプマガジン風にしたく仙花紙を使いたがったが流石に駄目だったとか。それでも雑誌風なので束にした時、二冊駄目に成るらしい。知らなかったが雑誌の束は一番上と下が傷ついて売り物に成らなくなってしまうのだそうだ。それでもパルプマガジンよりはマシだとか。嘗て或る作家がパルプ誌を「ポテトチップスに文字を印刷したもの」と評したそうだが、比喩でも何でもなく本当の事だと云う。保存が悪いとパラパラと砕け散ってしまうのだそうだ。「ウィアードテールズ」の時もイラスト用にコピーを渡したら「出が悪い」と云われ原紙を寄越せと云われたのでパルプマガジンを渡したら、「コピーで良い」に成ったのだそうだ。つまりパルプ誌と云うのは本当に使い捨て、読み捨ての代物で、そこに発表された作品群は全て一過性のものでしか無かったのだ。後世に残るなどと云う事は、ましてやハードカバーに成って流通するなど発行者や編集者の予想外の事だったに違いない。
そんなものにラヴクラフトやスミスやムーア、ハミルトンやウエルマン等は作品を発表していたのだなと想うと不思議な感慨を覚える。よくぞ残ってくれたものだと。そして、よくぞ日本語に翻訳されたと。
それから、ナイトランドは次号8月発売の分は鋭意製作中らしい。又、ナイトランド叢書は現在二冊同時進行中で、どちらか一冊は七月に出る予定との事。こちらも楽しみだ。単行本としてはお手頃価格に成るらしい。
次回は7月3日金曜日。三週間後。金曜の夕方だと新宿に向かう交通機関が一番混むな。おまけにこの日は0時半から阿佐ヶ谷ロフト・・・
尚、今回は多少オフレコ話はあったものの、全て朝松先生個人に関わるもので、巷に溢れるバカヤローな他者に関わるオフレコ話は無く、今迄で一番平和なナイトランド・セッションだったかも知れない。
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