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2015年05月25日10:36

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クラウドファウンディングは干天に慈雨をもたらす雨雲となるか?

いいねぇこういう試みは。

特に、これによって業者の中間搾取が減少し、
制作現場にいるアニメーターに回るお金が増えて
せめて経済的にもっと楽になるんなら、
こういうのが今後もっと増えたらいいと思う。

あともう一つ欲をいえば、
こういうクラウド・ファウンディングで
「血湧き肉躍る総天然色マンガ映画」の原点に帰るような
オリジナル作品が制作できぬものかなぁ。

たとえばジブリというか宮崎駿の場合だって、
一般社会に広く認知されるようになったのは
「となりのトトロ」かも知れんけど、
アニメファンにジブリの最高傑作と思うものを
一つ挙げてくださいと質問してみたら、
たぶん「天空の城ラピュタ」が一位になると思う。

でも、ああいうのが作れたのは
1980年代という時代だったからであって、
今ああいう企画が出たって
なかなか通らないような気がする。

「ラノベとかコミックのアニメ化じゃなくて
『ガリバー旅行記』が原案ですかぁ?」
・・・それではマーケティングが難しいですねぇ」
とか何とか業界のエライ人に言われちゃって。

なんとなくだけど。

「子供向けかマニア向け」ではなくて、

むしろ今必要なのは、

「子供が見ても面白いし
 マニアが見ても面白いアニメ」

「子供の時に見ても面白かったけど、
 大人になって見直したら別の面白さがあった」

という作品ではなかろうか。

「この世界の片隅に」は
恥ずかしながら今知ったので何とも言えないけど、
これのクラウドファウンディングの成功が一つの突破口になって、
今のアニメ業界の仕組みや常識では
企画を通すことも難しいし、
脚光を浴びにくいような作品が
世の中に出てきやすくなることを期待したい。


――――――――――
■「アニメだから観ない」という枠をどう突破するか――『この世界の片隅に』片渕須直監督ロングインタビュー【後編】

■片渕須直監督ロングインタビュー【前編】はこちら(http://otapol.jp/2015/05/post-2957.html)

 アニメーション監督・片渕須直による、こうの史代のマンガ作品『この世界の片隅に』(双葉社刊)のアニメーション映画化を目指すプロジェクトが進行中だ。製作資金集めの一助として、パイロット版作成のための資金集めが今年3月にクラウドファンディングで始まり、開始からわずか一週間あまりで目標額の2000万円を突破。「クラウドファンディングで国内史上最多額の資金調達を達成」というニュースは、アニメ映画とはついぞ縁のなさそうなスポーツ紙までもが報じた。

 今回、わずかな期間でクラウドファンディングにおいて、2000万円という目標を達成した事実。これは、片渕が選択した『この世界の片隅に』を作る意志が、多くの人々と共鳴していることを示している。それは同時に、片渕がインタビューの冒頭で語った、単発作品には参入困難なアニメーションの配給と興行のシステムを革新するのではないかとも、考えることができる。

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片渕:クラウドファンディングで予想していたのは、「2000円」というコースを設定していて、2000円だと映画を1回観に行く料金とだいたい同じ額じゃないですか。それくらいの額でクラウドファンディングに参加していただいて......。あわよくばの話をすると、そういう人が1万人いれば、2000万円になるんだろうな、と。もっと深く思いのある方がいるとすれば、(出資できる金額としては)5000円くらいかな、と思っていたんですね。

 なので、そうした「5000円」以上のコースへの参加者の方には製作側から宣伝材料をお配りしますので、宣伝してくださいっていう不思議なクラウドファンディングになっていまして。深くコミットしてくださる場合には、制作側とファンの関係がそれくらいになるだろうなと考えていました。実際、すでに今の段階でクラウドファンディングを呼びかけるチラシやポスターをあちこちに置かせてもらったり貼ってもらったりする働きかけをしてくださる方が多数現れてくださってます。その上、クラウドファンディング自体に関しても、想定していたよりもっと金額が上のコースへの出資者が中心となってたんですよね。

 それはひとつに、原作のマンガ『この世界の片隅に』が、いろんな人の心の中で大切な宝物になっていることがあるんじゃないかと思います。

 それから、今まで「ここまで調べた『この世界の片隅に』」【編註:アニメ『この世界の片隅に』の進捗について語るトークイベント】とか「1300日の記録」とかで、「こうのさんの原作には、実はこういうことが描いてある、調べたらこうなっている」といったことを喋る機会や場所を、小黒祐一郎さん【編註:「アニメスタイル」編集長。"アニメ様"としても知られる】から与えてもらえたのも、ありがたかった。そうした機会を通じて、「こいつだったら、こうのさんの世界をめちゃめちゃにはしないだろう」と思っていただけるところまで、なんとか来れたような気がします。だから、意外とこちらが予測していたよりも早く、クラウドファンディングで支援が集まったのかもしれないです。

 それだけ、みなさんの『この世界の片隅に』に対する思いの密度がものすごく強かった。みなさんがすずさんの物語を自分だけの宝物だと思っていた、みたいな感じで受け止めてます。

――今回のクラウドファンディングで、アニメ業界自体が変わるのではありませんか?

片渕:いわゆるアニメファン向きの作品ってありますよね。それは、クラウドファンディングでの資金集めとか、「DVDを売りますよ」となったら、(ビジネスとして)成り立ちやすいように思ってました。特定の観客層として、すでに存在しているからなんですが。

 でも、『この世界の片隅に』という作品は、そういう層とは違う対象に向いているような気もします。どちらかというと、普段はアニメなんか観ないかもしれない一般の人とかも含まれてくる。「『2000円』のコースで1万人を集める」というのが、そうした"一般の人たちに浸透していく"ということだったのだとするならば、それは未達成なのかもしれず、課題はまだまだここから先に残されます。

――今、お金を入れているのは、アニメファンでもなく、「アニメはジブリだけ観る」といった一般人でもない。これまでアニメなんか観なかった人もクラウドファンディングに参加しているし、ニュースなどで作品を知り参加している人もいたりと、無限に輪が広がっている印象を受けます。

片渕:アニメーションを観慣れている人でも、今回のような傾向の映画にも期待を広げようとしてくださる方々と、原作の読者という立場から興味を示してくださる方々と、両方がある感じです。でも、(実写)映画一般のファンであるシネフィルと呼ばれる人たち、それにもっと広い大多数にまでは、まだまだ手を伸ばせていない。

 僕自身としては、原作『この世界の片隅に』を、できるだけたくさんの人に読んでもらうことだと思う。『この世界の片隅に』という物語が面白いんだよ、これをいったいどうやって映像化するんだろう、という興味を、この機会にいろんな人に抱いてもらえればと思っています。まだクラウドファンディングの期間も残ってるし、そんなところで何かできることがあるのならがんばりたい。

 そんな呼び方がいいのかわからないけれど、今の劇場用アニメーションには"オタク向け"と"子ども向け"がある。それ以外に"一般向け"の作品があって然るべきなんだけど、ところがそういうところに位置づけられる作品があることは、世間的にはほとんど認知されてない。

"一般向け"の劇場アニメは、ここ十数年、良作が作られ続けていると思うんです。しかし、どの作品も、興行的には苦戦している。初めは自分のだけお客さんが来てくれないのかと思ってたら、横並びにみんなそういう状況に陥っていた。それぞれ単発的な存在だからではあるんですが、そうとはいえ数作られて、もはやひとつのジャンルといってよいほどの本数が存在している。そういう新しいジャンルが日本のアニメーションの中に明確に存在している、ということが一般のお客さんにまったく気づかれていない。

 それに、その間で橋渡しとなるべきメディアのほうでも、なかなか我々の危機感を共有してくれないというか、あるいは、気づいていてもうまく伝える言葉を見つけにくいのか......。いっそ自分たちでひっくるめて、まとめてジャンル名でも作って打って出ればいいじゃないか。そう考えて呼び名を考えたりもしたんだけど、うまいのが思いつかなかった。

――アニメにおいて、いわゆる"一般向け"という言葉自体がひっかかります。

片渕:そこなんですが。"一般向け"のアニメーションとは、イコール"子ども向け"のもの、という考え方がされちゃうんです。『マイマイ新子と千年の魔法』の時には、そこでボタンの掛け違えが起こって......。"一般向け"は"子ども向け"なので、と思われて、上映時間は朝から夕方までという設定になってしまって。「子ども客は保守的」という考えがありましたから、こういう題材はまず大人の人に観てもらって、その人たちが「自分の子どもにも観せたいな」と思うようになってもらう。そういうつもりで作った映画のはずだったんですが、ところが一般のサラリーマンが観に行こうと思っても、最終上映回が17時開始だったりするんで駄目だということになってしまってたんです。友人から「前売り券を買ったのに、会社が終わる前の時間帯にしかやってないよ」って、公開初日に直接電話がかかってきたりもしました。それで、僕らは独自にレイトショーをやってくれる場所を探したりもしました。

 そういう"一般向け"とくくられてよいアニメーションは、たくさん作られている。古くは佐藤順一さんの『ユンカース・カム・ヒア』があるし、Production I.Gが『ももへの手紙』や『百日紅』などを作っていたりする。ほかにも多数存在する。海外にも同傾向の作品がある。アニメファンの人はもちろん、それ以外の、本当に普通にドラマとか映画を観ているような一般の人たちに、「そういう作品があって、特にここ何年かは良い作品がいっぱい揃っているんだ」と注目してもらえるように、世の中がなっていくといいなと思います。

 ひょっとしたら、ジブリがその初期に『となりのトトロ』から世の中に認められるようになっていったように、まずきちんと子ども向けのものを作ってから徐々にステップアップしていくべきなのかもしれない。けれど、先にも言ったけど、子ども向けアニメ市場は、単発ものが入り込みにくい、ほんとに難しいものになってしまっている。

■目標額が集まっても、いくらかはカットせざるを得ないかもしれない

 ここからは、さらに一歩踏み込んだ話が始まった。同席していた制作プロデューサーの松尾亮一郎が語り始めた。

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「すでにスタッフの確保は始めていますが、人件費全体の絶対額もあるのでどれくらいの人に参加してもらえるのかは正直わかりません。どこまでやれるかはわからないのですが、作れるところまでやります」(松尾)

 松尾はさらに言葉を続けた。

「近年は『ドラえもん』や『ポケットモンスター』など、ある一定以上の収益が見込める作品でないと、『現場が想定している予算は出せない』と言われてしまいます。実績がないと、『(その作品を見る)お客さんはいるんですか?』と問われてしまう。

『この世界の片隅に』の尺は、本来『風立ちぬ』と同じくらいの2時間超えでプランされてます。(本編が長いと1日に上映できる回数が減るので)劇場さんがちゃんと開けてくれるのか、という問題もあります。尺が長ければ、現場や役者さんのスケジュールをおさえる時間が長くなって、その分どんどん予算がかさんでしまうので、予算を抑えるために泣く泣く尺を削るという選択肢が出てきてしまうこともあるのです」(同)


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 初日の動員を重視する興行システムの中で、実績を不安視されてしまうという現実。それは出資元や劇場に、作品への出資や上映作品として選択することに二の足を踏ませる要因ともなってきた。けれども、クラウドファンディングの実績は、状況を明らかに変えている。やはり、クラウドファンディングの成功は、希望の道を開いているのか......と思いきや、片渕は意外な心情を吐露した。

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片渕:アニメ化を望む気持ちを多く持っている人にたくさんクラウドファンディングに参加してもらっても、興行面では"スクリーンの前に来てくれる人の絶対数"という話になるようなんです。例えば、2000円を出してくれる人が1万人集まったら、"ものすごい数の一般への広がりが予想できる"といえるのかもしれない。いや、正直そこのへんのところはよくわかりませんけどね。ただまあ、集客を占うためのひとつの根拠になるだろう、と。ただ、現状だと、それとは傾向がちょっと違って推移しているようにも読まれてしまう。とても濃く、しかし限られた人だけが観に来る映画だと思われてしまう可能性もある。

 そうすると、その条件下で回収に関する予想がどこかで立てられて、その枠内で制作を進めなくてはならないことになる。どこかで何かが頭打ちになるのかもしれない、ということですね。

 今まで集まったこととか、志の密度というか熱意の濃さには、ものすごく感動しています。その気持ちの熱さにこたえられないんじゃないかという恐れも、ある程度存在してるということです。場合によっては、当初考えていたよりも映画自体を短く作らなければならなくなってしまうのかもしれない。普通はアニメなんか観ない人、本当の意味で一般の人たちが映画の存在を知り、期待してくれる、そういうステージに立たないと、それに見合った作品を作れるようになれないんですよ。

――でも、この作品は、そういうステージを生み出す作品になると思うのですが。

片渕:そうなるためにも、今現実的に出来る範囲の中で、ちゃんとした作品を作らなくちゃいけないんだと思います。だから、目標額に達して、すごくありがたいですけど、全然有頂天にはなれないんです。

 クラウドファンディングで目に見える形になった、膨大な人々の期待感。それにいかに応えるべきか。そのための舞台の幕は上がっている。2時間あまりのインタビューの終盤、片渕は「もう一点だけ」といって、語り始めた。

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片渕:今、感じているのは、良質なアニメ映画でも、普通の実写の映画を観ている人に、なかなか振り返ってもらえないことです。「アニメだから観ない」と思われてしまう枠をなかなか突破できないことが、ものすごいジレンマなんですよ。

 ほかにも、例えば、日本のアニメは世界の津々浦々、我々の思いもよらないような国でさえDVDを売ってもらってたりするじゃないですか。そうした外国のバイヤーからも、「アニメはオタク向けか子ども向け、どちらかだ」と思われてたりもします。僕の作品を見せると「ああ、こういう種類のアニメもあったんだ」って意表を突かれたような顔をされることもある。そこのところ、日本のアニメの位置付けについては、国際的に一緒なのかと思っています。そういう状況下にありながらなお、いわゆるオタク向け以外の、もうちょっと別なところにも作品が存在していることを、普通に映画を愛する人たちに知ってもらいたい。制作を続けながら、そんなことを考えています。

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 これは『この世界の片隅に』という優れたマンガ作品の、単なるアニメ化ではない。作品の世界は、市場を、興行のシステムをも変えて、世界の片隅から中心へと向かうのか。業界内外の多くの人が損得をなげうって、完成までを支えようと決意する理由。それは、片渕の言葉の背後にあるダイナミズムとロマンにあるのだろう。
(取材・文/昼間 たかし)

■「片渕須直監督による『この世界の片隅に』(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援」
https://www.makuake.com/project/konosekai/

■片渕須直
1960年、大阪府生まれ。日大芸術学部在学中から宮崎駿作品に脚本家として参加し、虫プロダクションなどを経て86年、STUDIO4℃の設立に参加。その後、マッドハウスを経て、MAPPAを中心に活動中。監督作として『名犬ラッシー』『アリーテ姫』『ブラックラグーン』『マイマイ新子と千年の魔法』など。

(おたぽる - 05月24日 21:11)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=178&from=diary&id=3432239
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