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2015年05月12日10:01

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一路一帯〜フビライの道〜

あの一路一帯のルートをみたら、
陸のシルクロードと海のシルクロードをつないだ、
モンゴル帝国の交易ルートに似てるようにみえる。

表向きはそのルート上に位置する国々との
経済協力関係の強化が目的という話だろうが、

実際にはシルクロード上の諸国と
東南〜南アジアの友好国の港を数珠つなぎにして
中東〜アフリカ方面につながる中国の勢力圏を築くという
地政学的意図が含まれているのであろうな。

また、これに応ずる国々の内部事情や
利害関係にも目を向ける必要があると思う。

カザフスタンみたいな中央アジア諸国には
また旧ソ連時代みたいにロシアに取り込まれたくないという思惑がある。

またスリランカやパキスタンにしてみたら、
インドの勢力に取り込まれたくないという思いがあって、
インドとの対抗上中国と手を結ぶのが
有益だと考えているのであろう。

 ※インドは実は隠れ覇権国家で、
  独立した後、アッサムやナガランドなどの周辺国に
  インド人移住者を送り込み、
  インド人が多数派を占めたところで住民投票を行い、
  インドへの帰属を可決させるという手を使って
  領土を増やしてきた経緯がある。

  ネパールやブータンなどの近隣国は
  インドのそういうやり方を非常に恐れているという話である。

イランはアメリカやヨーロッパ諸国と対立して
経済制裁を食らっているので、
そんなのガン無視でつきあってくれる中国は
有難い相手である。

アフガニスタンとかイラクの場合、
国情が危なすぎて主要国が投資してくれないので、
それにもかかわらず経済協力してくれる中国は
やはりある意味有難い相手である。

そうやって考えてみると、
中国の「一帯一路」を考えるのに、
中国だけ見ていたら、その本質が見えてこない。

「一帯一路」に関係している国々の顔ぶれをみると、
「シルクロード」という
分かりやすくて魅力的なシンボルを掲げながら、
実際のところは、
地域大国のパワーに脅えるその周辺の弱小国とか、
国際的に孤立している国とかいった
各国の個別の内部事情に応じて、
そうした国々に働きかけ、
これを巧妙に数珠つなぎにしていることがうかがえる。

それに、
おれも少々かじっただけなので
こんなこと言うのはアレなのだが、
マハンとかマッキンダーとかハウスホーファーとか
従来の西洋地政学の認識からいえば、
ランドパワーとシーパワーは相容れないはずなのだ。

ところが中国が今やろうとしている「一路一帯」というやつは、
陸路と通路を数珠繋ぎにしている。
つまりあれは、
従来の地政学の常識を覆す構想なのである。

しかも、そのような覇権のあり方が
歴史上実際に存在した。
それがフビライあたりの頃の
モンゴル帝国の覇権によって築かれた
海陸シルクロードをつなぐ通商路である。

習近平の中国共産党は
ひょっとしたらそれをモデルにした
世界戦略を構想しているのではないか・・・?

これに慎重に対応する必要があるのは勿論だが、
列強の軍事力を背景にした19世紀的帝国主義とも、
自由主義圏/共産圏というイデオロギーに基づいた
20世紀後半の米ソの覇権とも全く異なる、
新たな覇権のかたちであるという認識が必要ではあるまいか。


――――――――――
■“陸と海のシルクロード”中国の「一帯一路」構想とは?

 中国の「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」設立準備の関連で、「一帯一路」構想に注目が集まっています。習近平主席が打ち出したこの構想は、どのような内容でどんな狙いがあるのでしょうか。

■「一帯」と「一路」

 「一帯」とは、中国から中央アジアさらには西アジアにつながる地域で「シルクロード経済ベルト」とも呼ばれています。東南アジアと南アジアも含まれると見ておいたほうがよいでしょう。この地域では、中国と中央アジア諸国、パキスタン、アフガニスタン、イラクなどとの協力関係が顕著に進展しており、また、海洋政策をめぐって対立するインドとの関係改善も始まり、昨年9月には中国の習近平主席がインドを訪問し、またインドのモディ首相も近々(5月中旬)中国を訪問する予定です。

 「一路」は中国から南シナ海、インド洋、アラビア海を経て地中海に至る海上交通ルートのことで、「海上のシルクロード」あるいは「真珠の首飾り」とも呼ばれています。中国から中央アジアを経て欧州へ通じる古代の「シルクロード」を海上でイメージしたものでしょう。

 この関係ではミャンマー、スリランカ、パキスタン、さらにはギリシャなどの重要港湾の機能を向上させ、中国の船舶が自由に利用できる体制作りが行われています。

■どんな内容?

 中国が「一帯一路」を語り始めたのは2013年の秋であり、この構想と相前後して「アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立準備が始まり、「一帯一路」とAIIBはペアの形で進められてきました。

 AIIBについては2015年末までに設立するという目標が掲げられている一方、「一帯一路」にはそのような期限設定はありませんが、中国政府は張高麗政治局常務委員兼国務院副総理の下に指導小組(我が国の関係省庁会議のようなもの)を設置し、AIIBと同様猛烈な勢いで推進しています。どちらの構想についても考えが固まっていない面があるようですが、中国と周辺の諸国でインフラ建設を急ぎ、貿易をさらに振興しようとしていることは明らかです。また、このような構想を通じて人民元の国際的流通にも役立たせたいという狙いも込められているものと思われます。

 習近平主席は、先のバンドン会議(アジア・アフリカ会議)60周年記念式典の際に、安倍首相を含む各国首脳に対し「一帯一路」構想が国際社会の支持を受けていると強調するなど首脳自らがそのアピールに懸命です。安倍首相はこれに対し「「一帯一路」については,今後どのように具体化されるか注目している」と応じました(外務省資料)。

■狙いは何?

 中国が「一帯一路」構想を掲げる意図は何でしょうか。

 実は、この構想は既存の二国間・多国間協力を基礎に、さらに広範囲の地域協力を総合的に進めるものであり、特定の目標達成を目指すのではなく、同構想の推進を通じて中国を中心とする広範な地域の一体性を高めるところにその狙いがあるようです。習近平主席は去る3月のボアオ・アジア・フォーラムで、中国と周辺の諸国が「運命共同体」の意識を樹立することを強調し、「一帯一路」はそのための重要な牽引力であるとまで発言したと報道されました(シンガポールの聯合早報網2015年04月13日付)。

 「一帯一路」、とくに「一路」は直接的には海上交通網の整備、すなわちオイルルートの確保や港湾の整備およびそれに付随する投資が主たる内容ですが、海上交通は安全保障と密接に関連しており、南シナ海、インド洋などの海上安全保障への影響も大きいでしょう。「一帯一路」の「一路」は、太平洋、インド洋から地中海などへも進出し、同時に米国の影響力を減殺することを目論む中国の海洋大国化戦略の一部であると言って過言でないと思われます。

 またこれは表で語られることではありませんが、中国が「一帯一路」やAIIB構想の大風呂敷を広げた背景には、経済成長がひところのような勢いでなくなっていることや、内陸部と沿岸部などの経済格差が増大しているため強い経済刺激策を必要としているという事情や、中国の大国化への願望とそれを実現するための、いわば日本の列島改造計画の国際版とでも呼ぶべき大胆な思惑が見え隠れしているように感じられます。

■実現できるのか?

 しかしながら、「一帯一路」はあまりにも急速に計画が進められたためでしょうが、検討は十分でなく、走りながら対策を考えているような感じがあります。

 今年の2月初めに開かれた国務院の会議で、「一帯」は順調であるが、「一路」については障害が生じていることが指摘されました。具体的には、スリランカ、ギリシャなどでの政権交代が原因で中国との関係推進にブレーキがかかっています。これらの問題は中国だけの努力では解決できないことなので、中国にとっては頭の痛いところです。

 流動的な側面が少なくないので今後について明確な見通しを立てることは困難ですが、「一帯一路」、とくに「一路」上の重要拠点ごとに状況の違いが大きくなり、中国は「一帯一路」という総合的な取り組みを実現させるよりも個別の問題の対応に追われる恐れがあります。

 このような現状にかんがみると、「一帯一路」が国際社会の支持を受けているというのは宣伝的傾向の強い働きかけであると言わざるをえません。

 AIIBの設立準備に57か国もの国が参加したことは注目すべきことですが、前述したような中国の全体的戦略を各国がどの程度理解しているか疑問です。東南アジア諸国は南シナ海での中国の行動の危険性を肌で感じているでしょうが、政治的な影響力を考慮すれば表立って反対することは困難だという事情があります。

 またインドは、かねてから中国の軍用艦船の通航に神経をとがらせており、スリランカやパキスタンの中国への協力強化を強く警戒しています。

 日米韓、さらに欧州諸国などは直接「一路」上に位置しているのではありませんが、海上交通を含め海上の安全保障には強い関心があります。日本が、中国の「一帯一路」への支持を呼びかけるのに対し、AIIBに対するのと同様慎重な姿勢で対応しているのは適切だと思われます。

(美根慶樹/平和外交研究所)


■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹

(THE PAGE - 05月11日 14:41)

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