かつて、日本の小説に心惹かれないのは、
本来の意味での中産階級、すなわち、三代座食できる層が少ないからだと考えたことがあります。
個人の最も深刻な悩みが、住宅ローンの残高やリストラ、子供の大学入試だったら、田山花袋や葛西善三、織田作之助などのスケールに甘んじるしかない。
だから、プルーストやデュラス、パヴェーゼのような小説は、少ない。
しかし、だからこそ、ヨーロッパ文学は手詰まりになり、ラテンアメリカ文学を待たなければならなかったなど。
ヨーロッパにも下層を描いた小説家がいます。
たとえば、『夜の果ての旅』のセリーヌです。
ただ、セリーヌはヴァレリーがいう通り、「現実ではなく、現実が醸す妄想を描いている」といえます。
どん底の生活の恐怖。
その楯の裏面にあるのは、中産階級の生活です。
つまり、セリーヌですら、ヨーロッパの常識やヨーロッパ的なニューマから逃れられていないといえます。
グラスは、違います。
ヨーロッパの作家とは到底思えません。
もっともインパクトがあったのは、旧石器時代からの人類の歴史を織り込んだ、『ひらめ』です。
これを語ろうと思いましたが、語る言葉がうまく見つかりません。
筋を語っても、到底、原作の面白さには近づけないでしょう。
■ノーベル文学賞受賞の独作家、ギュンター・グラス氏死去
(産経新聞 - 04月13日 23:17)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=133&from=diary&id=3369789
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