mixiユーザー(id:3661937)

2015年04月11日10:12

97 view

マスターができるまで 久々1343

俺が風呂から出てみると、六畳の部屋で父と祖母がまたぞろ、口論を繰り広げていた。
おじさんがやって来た事が口論の原因のようだった。
父が
『ワシはやっぱりええ事をした』
と自慢げに言うと、祖母は
『わざわざ勝手口からヌシト(泥棒)のようにやってくる性根が好かん』
と顔をしかめた。
父は
『ヌシトとはなんなら、ヌシトとは』
と気色ばみ、
『おっ母さんには言うてもせんない。
ノブエよ、ノブエよ』
と、台所で洗い物か何かをしている母を呼んだ。
機嫌のいい時の父は
『ノブエ』

『ノベィ』
と聞こえるように発音するクセが、その時も
『ノベィ』
と聞こえた。
母がエプロンで手を拭き拭きやってくると父は
『さっきタジマが言うとった、墓参りのケンじゃけんどの』
と前置きし
『アレ、少し早めて、今週の日曜に行かんか。』
と言った。
実伯父は
「近いうちに』
と言っただけで今週とか来週と、明確な日取りは決めていなかった。
祖母が
『人の都合も聞かんと、そがんいきなり、、』
と露骨に眉をひそめた。
母が、そんな祖母の態度に遠慮するように
『ほうですわぁ、、実さんのご都合もおありじゃろうし、、、』
と言った。
すると父は
『かまうかいや、そがな事!』
と一蹴し
『実が不都合ならワシらだけで行きゃええ。
の、
おっ母さんもおえんのんじゃったら来んでええぞ!』
と決めつけた。
祖母は
『頭越しに、、』
と言い、
『どうせ、アンタさんには何を言うても、逆らえんのんじゃけん
年寄りは若いもんに従うしかありゃあへん』
と嘯いた。
母は
『お母さん、、、』
と、取りなすような物言いをしたが、父は
『なら決まりじゃ!』
と、横手を打ち、
『タジマにはおっ母さんからその旨、電話しといてつけぃよ、
おえんのんならワシらだけで行くから無理せんでええ言うとってつけいよ。
無理して来てもらわんでもええんじゃけん』
と言った。
俺が
『なんでそがん急ぐん
お盆まで待てれんのん、、』
と聞くと
『決まっとるがな。』
と父は息巻き、
『はよ、塩生の墓に行ってじゃのう、クスオバさんがアンタらぁのとこに行ったけん、アンジョウして上げてくれぃよ、言うて報告せにゃおえるまいが、、』
と言い、
『おえ、
ヨシヒロよ、
今度の日曜はおかし気な用事をいれなよ
あけとかんとおえんぞ。』
とネンをおした。
俺は
『わかっとるわぁ』
と返事をし、父は、何度も
『ほんまで
ほんまで』
と言った。
俺は、その都度、
『うん、わかっとる』
と言ったが、まさか、翌日、登校した途端、さっそく父の言うところのおかし気な用事が降って湧いたように出来するとは、微塵も予測できなかった。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する