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2015年03月30日20:36

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父と姉

父は短気でした。私よりひとつ上の世代の中としても、昔気質の人だったと思います。家の中でも、絶対に台所には入らないし、食卓(すでにちゃぶ台はありませんでした。)や居間でも自分の座る場所はきっちり決まっていました。母が
「お父さんは一度も私の実家に行ったことがないのよ。」
と言っていました。気に入らないことがあれば怒鳴るのはまだいいほう、ちょっと逆らうと鉄拳が飛んできました。

父の性格を受け継いだのが姉で、さすがに鉄拳は飛ばなかったものの、怒鳴るわめくは負けず劣らずでした。

そんな父と姉がぶつかると、これは凄かった。まさに「修羅場」です。姉が中学生の頃、なにかのきっかけで不眠症になったのですが、一晩中
「あー寝られない寝られない!」
とわめく。すると父が起きてきて
「寝られないなら寝るな!」
「まったく眠れぬうちのブタ娘だ!」
と・・・。当時のディズニー映画「眠れる森の美女」をもじっていたのですね。解説するのも野暮ですが。

こんなふうに、父はユーモアもありました。それで修羅場の最中でも、クスっと笑いたくなる、不思議な瞬間があったりしました。

ある時、私が
「お父さん、弁護士ってなあに?」
と聞くと
「弁護士ってのはな、ベンをゴシゴシゴシゴシやってる人だよ。」

大人たちが映画の話をしていた時のこと、私が
「そのゲーリー・クーパーって誰?」
すると父
「ゲーリー・クーパーってのはな、ゲーリーになってクーったものがパーになっちゃう人だよ。」

姉が中学に入った頃だったと思いますが、家族4人でタクシーに乗っていると、犬がウンチをしているところに行き当たったのですが、父は
「おい文江!あの犬ウンチングだよウンチング!ほら文江!」
「どうしてあたしに言うのさあ!」
「お父さんはな、英語の現在進行形を教えてやってるのさ。」
運転士さんが笑いを堪えていました。

また、姉が
「あたしカバーガールになりたいの。」
と言ったら
「カバガールならなれるぞ。」

姉もやっぱり感情の起伏が激しいので、機嫌が良い時は馬鹿に良くて、いろんなものをくれたりします。しかし数日経つと
「やっぱりあれ返してよ。」
などと言うのです。

姉の行っていた高校の近くに、某工業大学がありました。姉によると、そこの学生は冴えないのばっかりなんだそうです。
「まったくあそこはモサ工だよ!雄二、あんたはモサ工だけは行くんじゃないよ!」
私はその工業大学の出身ですが・・・。

そんな姉があれほど早く旅立つとは思いませんでした。天国で父とあの調子で喧嘩して、神様を呆れさせていないかと心配です。

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