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2015年03月28日10:43

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貧乏よりも怖い「貧乏の毒」【長文】

映画「赤ひげ」に

「貧乏の毒が頭に回っちゃったんだよ……」

という子供のセリフがある。

うろ覚えだが、
この子の親は貧乏のあまり
ネズミ取りの毒薬を飲んで一家心中をはかったものの、
男の子だけは何となくヤバイ雰囲気を察して
毒を飲まなかった、その子のセリフである。

この事件も、なんかこの母親が
「貧乏の毒が頭に回った」感じがする。


叔父の一家は、叔父が50代で若死にして、
女手一つで子供三人を成人させた。
長男は滋賀県で結婚して赤ちゃんもいる。

生活は楽ではなかったはずだが、
貧乏とか貧窮をまったく感じさせない生活ぶりだった。

奥さんは確か地域紙のライターだったが、
そんなに原稿料が出ていたとも思われず、
実際のところ、いったいどうやって
生活を切り盛りしてたのかよくわからない。


ところで、
実はこれでも日本と言う国は(今のところ)
アジアではダントツの福祉大国なのだそうだ。

(むしろ「下には下がある」というべきかも知れんが……)

ところが、早急に救いの手が必要な人ほど
実際にどういう制度があるのか知らなかったりする。

生活が苦しくなったら
新聞もテレビも見(られ)なくなるだろうし、
インターネットなんかもできなくなる可能性がある。

そういう人にどうやって福祉制度を知らせるか。

チラシやポスターくらい作ってるかも知れないけれど、
たぶんもっと積極的な広報を打つ必要があろう。

中国の某学校の壁に、
中華人民共和国憲法の全文が
何枚にもわたるでっかい立て看にして
立てかけられているのを見たことがあるが、
それぐらい「あざとく」やる必要があるのではないか。

国や地域の福祉制度を
読みやすく書き出し、
それを役所や駅などの公共の場に立てかけておく。

……とかな。

まぁ……どこの自治体も財政難だから、
実際どういう立場の人向けに
どういう制度があるのかなんて
あまり知られたら困るってのが本音かも知れんけど……。

それに、弱肉強食・弱者切捨・新自由主義の今の趨勢からみて
生活困窮者は増大し、
それに反比例して福祉そのものが
どんどん削減されていくのは疑いなかろう。

今後ますます日本の国は
お国のために命を捧げよという思想教育を
どんどん強化させながら。
財政難を理由に福祉を削り、
自己責任イデオロギーを鼓吹して
「いのちを守らない国」になっていくだろう。

そうすると国民の側としても、
自分の運命は自分で切り開くと心を定めつつ
自己防衛のために利用できるなら
まだ残存している福祉制度でも何でも利用する根性が、
ますます求められるようになる。

日本は宗教の力が弱い分だけ、
キリスト教社会やイスラーム社会とは違って、
宗教の肯定的な側面である
「弱者救済は富者の義務」「貧者への施し」という思想も弱く、

それに反比例して、
まるで北朝鮮の「自力更生」というスローガンみたいな感覚が根強いので、
生きている弱者には手を差し伸べず、
福祉にたかる害虫扱いしておきながら
死んでから「可哀想に」などと言う。

東アジアの儒教にだって、
孔子よりも古い時代に成立した『書経』には
「好生之徳」とか「利用厚生」とかいう理念があった。

ちなみに厚生労働省(もと厚生省)の「厚生」も
「利用厚生」からきている。

実際の儒教国家が
文字通りに民の生を守ったかといわれると、
必ずしもそうはいえない。

ややもすると帝王の支配を正当化する
イデオロギーとしてのみ利用された面が無きにしも非ずだが、
それでも民生を重んじるという理念は古くからあったし、

農民に負担を掛けないようにしつつ税収も確保する
「井田制」の構想も『孟子』の頃からあったし、
凶作時に米穀を貸し出す社倉制度など、
その理念を具体化しようとする試みも行われた。

ところで、
アメリカなら資本主義イデオロギーの総本山だから、
貧窮者の餓死とか、生活に行き詰って子供を殺すとか
ニュースにもならないレベルで日常茶飯事でしょ……と思って
アメリカ生活が長かった師匠に
実際どうかと訊いてみたことがある。

アメリカの場合
「貧困者の餓死などということがあっては、
アメリカの威信にかかわる」ということで、
現金よりフードクーポンを出したり、
食料品の現物支給とかがあるらしい。

それも食べきれなくて近隣に配るくらいの量だとか。

さすがにそれが財政的に結構な負担になってて、
福祉を削減しようという声が
いつも上がってるのだそうだが。

とりあえず

「食えない人がいるのは国の恥」

ということばや発想は、
日本のホシュだのウヨクだのからは絶えて聞くことがない。

アメポチホシュはなぜか
アメリカニズムのこういう面はガン無視だよね……。

おまけに「保守」といいながら
東洋に古くから伝わる「好生」や「厚生」の伝統を
今に生かそうという考えも毛頭ないらしい。


閑話休題

日本人の大多数は
今後ますます貧乏になるはずだが、
貧乏の毒に頭をやられて
「生きていけなくなる」と思わされてはいけない。

自分の知恵と知識と
公的支援を両方利用して、
何が何でも雑草のように生き残るという
たくましい心構えが必要である。

お上のほうはもっと
東洋の伝統であるところの
「好生」「厚生」の理念を大事にしてほしい。

「国または地方自治体はこういう手立てを講じてるんですよ!」
という事をあざといまでにアピールして、
実際にもその理念を具体化するように
つとめてもらいたい。



……と思った。

 ――――――――――――――

■県営住宅立ち退きの朝、娘の首を… 生活困窮、救う道は

(朝日新聞デジタル - 03月27日 18:14)

 「生きていけなくなると思った」――。生活に行き詰まったひとり親家庭の母親が、中学生の長女を殺害した罪に問われている。事件があったのは、家賃滞納で県営住宅を立ち退く日の朝のことだった。生活が苦しい人の相談にのる新制度が4月に始まる。これで、行政の支援は助けが必要な人に行き届くだろうか。

 起訴状などによると、昨年9月24日、千葉県銚子市にある県営住宅の一室で、母親(44)は中学2年の長女(当時13)を窒息死させたとされる。学校で使った赤い鉢巻きで首を絞めたという。母親は殺人容疑で逮捕、起訴された。母親は警察に「退去すれば生きていけなくなると思った」と供述したという。

 どんな理由があっても殺人は許されない。けれど、なぜこんな事件が起きたのだろう。県と銚子市への取材を総合すると、母娘の暮らしぶりの一端が見えてきた。

 母親は給食センターでのパート収入が年間で100万円に届かない程度あったとみられる。そのほかの収入ははっきりしないが、児童扶養手当などを月約5万円受け取っていたという。

 県営住宅の家賃は収入によって違う。2人の場合は最も安い月1万2800円だったが、支払いは2012年7月分から止まる。督促しても支払いがなく、県は裁判に踏みきり強制執行になった。

 ひとり親家庭は貧困になるリスクが高い。厚生労働省が12年に公表した調査では、「母親がパートなどの非正規雇用」の場合、働いて得る収入は1年間で平均125万円。ひとり親家庭の貧困率は54・6%(12年)で、国際的にも最悪レベルにある。

 相談も促した、と県住宅課は説明する。訴訟前に母親あてに送った文書には「事情のある方は相談に応じます」と明記していた。「それでも相談はなかった」と担当者。

 18歳未満の子どもがいる母子家庭向けに、「母子生活支援施設」という住まいの選択肢もある。県によると、こうした情報提供はしなかった。

 県営住宅がある銚子市も、この家庭と接点があった。

 市によると、母親は13年4月、銚子市役所を訪れた。国民健康保険の保険料を滞納し、保険証が使えなくなっていたからだ。保険年金課で滞納者が短期間だけ使える保険証をもらう手続きをした。生活苦を察した職員に促され、母親は社会福祉課という生活保護の担当窓口にも行った。

 この時の「面接記録票」という書類が残されている。

 生活保護が利用できるか、判断にかかわる収入と預貯金はともに「未聴取」。保険料滞納の理由も書かれていない。担当者は「聞くべき点が聞けていなかった」と振り返る。母親は生活保護制度の概要を聞き、帰路についた。再び相談はなく、市からも連絡しなかったという。

 事件を受け、県は滞納者を提訴した場合、その人が住む市にも連絡し情報共有することにした。銚子市も庁内の連携強化を確認したという。

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3342113
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