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2015年03月24日14:11

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他山の石としてのシンガポール

リー・クアンユー氏は生前、
この国の方向がおかしな方向に向かっていると感じた時は、
私が死んだあとも、いつでも立ちあがってくるぞ、
とか言ってたそうだが、
むしろ彼の遺産が早くも重荷になりつつあるように思える。


シンガポールは最近
新たなモデル国家としてもてはやされてるけれど、
ちょっと調べてみると、
グローバルに活躍するビジネスマンには具合が良くても、
国民にとってはそれほど暮らし良い国じゃない感じがする。

シンガポール礼賛論者には、
ほんとにあんな国がいいの?
自分がああいう国の国民でありたいと思うのかい?
と訊いてみたい。

かの国は自国の存立のために
海外資本と労働力の取り込みを優先して、
国民には過酷な選別エリート教育と
国民自身が「Singapole is fine country」
(シンガポールはいい国/シンガポールは罰金の国)と皮肉るほど
法律で厳しく統制してきた。

もともと与党の人民行動党による、
一党独裁体制に近いヘゲモニー政党制を敷き、
北朝鮮かシリアかっていうような国家元首の世襲を行い、
リー氏一族がシンガポールの政府系企業のトップを独占してきた。

一応選挙は行うけれども
形式的な選挙を行うことで
「国民に選ばれた」という演出をしている過ぎない。
そういう選挙なら北朝鮮だってやっている。

北朝鮮が金氏朝鮮というなら、
新王朝というか、李氏新嘉坡国とでも言うべき
実質的な王朝国家である。

アラブ首長国連邦のドバイなんかと一緒で、
ほとんど国家元首の思いのままにできるから、
経済成長に有利とあらばどんな政策でも
直ちに打ち出せるというのが
あの国の強みでもある。

法律で政府批判を統制する一方、
政治家・官僚の腐敗に対しても厳しく対処しつつ、
国策として「トリクルダウン(おこぼれ)政策」を行って
国家の経済発展の恩恵に与らせるという
飴と鞭によって

「リー王朝」とPAPの専制支配に対する
国民大多数の不満を今まで黙らせてきたわけだが、

2011年5月の総選挙で、人民行動党(PAP)が
独立以来最低の得票率(60・1%)を取ったというのは、
その不満がいよいよ抑えきれなくなったことの
証左とみてよかろう。

実はかの国では、
自国で高度な教育を受けた優秀なエリートの
頭脳流出も深刻な問題なのだそうである。

やっぱり自由のなさに耐えられないのだという。

おまけに彼らは、もともと英語によって徹底的に教育された
グローバル・エリートであるから、
世界中ほとんどどこの国でもビジネス活動ができる。

それゆえ、当然のようにシンガポールを去ってしまうのである。


あともう一つ、われわれとしても考えさせられるのは
以下の部分である。

>シンガポールは労働力不足の解決策として外国人労働者の受け入れを奨励。
>04年に就任したリー・シェンロン首相は、
>経済成長を持続させようと受け入れを加速した。
>その結果、人口に占める外国人の割合は、
>00年は18・7%だったのが、14年は29・2%に増加。
>国民の間では、外国人労働者の存在が
>雇用機会と賃金上昇を妨げているとの反発が広がった。

> しかし、これまで外国人の出稼ぎ労働者に依存していた
>工場や建設現場での仕事に就くことをシンガポール国民は嫌がる。
>今後は増加が避けられない介護分野などでも
>外国人労働者を受け入れざるを得ない。
 
これがシンガポール国民のワガママなのは間違いないけれども、
どこの国でも、移民労働力に一度依存するようになると、
国民は必ずこうなる。

すなわち、外国人労働力というのは
一度依存するようになるともう止められなくなる
国家の麻薬である。

日本も外国人労働力とか移民とかを受け入れるべきだ
なんて言う人がいるけれども、
入れたら絶対こうなるんだから。

われわれも、
シンガポールを他山の石として
よくよく考えてみる必要があるだろう。

 ――――――――
■リー・クアンユー氏死去 シンガポールの未来は 遺産から「脱皮」の時
(産経新聞 - 03月24日 07:57)

 【シンガポール=吉村英輝】23日死去したリー・クアンユー氏は、初代首相としてシンガポールを東南アジアで最も豊かな国に育て上げた。しかし、今年で独立50年を迎える同国は「少子高齢化」と「低成長」の時代に突入。後継者である長男のリー・シェンロン首相は、所得と福祉の一層の向上を求める国民の声に応えていくという難題に直面している。


 ◆中間層くすぶる不満

 リー・クアンユー氏は資源のない島国の生き残りをかけて欧米や日本の企業を積極誘致し、シンガポールを東南アジアの金融、通信、貿易などの総合ビジネスセンターに変貌させた。

 しかし、「奇跡の経済発展」を実現させた同氏の成長モデルに疑義を突きつける事態が起きた。同氏が創設し、現在はリー・シェンロン首相が率いる与党、人民行動党(PAP)が2011年5月の総選挙で、独立以来最低の得票率(60・1%)となったのだ。

 同党は、その後の大統領選や補選でも支持を落とした。

 これまで向上を続けてきた生活水準の伸び悩みや所得格差の拡大で、中間層を中心にくすぶる現体制への不満が同国政治史上、初めて表面化したといえる。


 ◆外国人労働者が急増

 シンガポールは労働力不足の解決策として外国人労働者の受け入れを奨励。04年に就任したリー・シェンロン首相は、経済成長を持続させようと受け入れを加速した。その結果、人口に占める外国人の割合は、00年は18・7%だったのが、14年は29・2%に増加。国民の間では、外国人労働者の存在が雇用機会と賃金上昇を妨げているとの反発が広がった。

 事態を受け、首相は13年に「国づくりの戦略転換」を掲げ、外国人雇用の規制強化を明確に打ち出した。また、早い段階から子供を選別する進学制度も見直し、公平な勉学の機会を保証した。

 さらに、国民の8割が住む公団住宅購入費や医療費を雇用主と従業員に強制的に積み立てさせる社会保障制度の改革も発表した。増税や政府系投資会社の運用益活用で財政出動を拡充し、日本を上回る勢いで進む少子高齢化への不安の一掃に努める方針だ。

 しかし、これまで外国人の出稼ぎ労働者に依存していた工場や建設現場での仕事に就くことをシンガポール国民は嫌がる。今後は増加が避けられない介護分野などでも外国人労働者を受け入れざるを得ない。

 実際、政府は外国人の割合が30年には45%(人口最大690万人)に上昇すると想定。低賃金の外国人を活用しつつ、国民の生産性を高学歴化などで高め、年3〜5%の低成長でも生活水準を向上させるというのが政府の戦略だが、具体化はこれからだ。


 ◆困難なバランス外交

 懸念要因は海外にもある。シンガポールは国民の74%を中国系の華人が占め、近年は中国と東南アジアの「懸け橋」として経済的メリットを享受してきた。しかし、肝心の中国経済が減速しているほか、中国は南シナ海への海洋進出圧力を強め、フィリピンやベトナムなどと対立する。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国として、中国とASEANとの「バランス外交」の維持は難しさを増すのは確実だ。

 声明で、「国民が一つとなり、これからも特別で繁栄したシンガポールを維持しよう」と訴えたリー・シェンロン首相。しかし、リー・クアンユー氏は生前、若手の指導層を「過酷な経済状況の経験がなく、近隣諸国からの脅威も知らない世代」と評した。

 同氏が残した大きな遺産を土台に、シンガポールは新たな成長モデルを確立できるのか、国際社会の注目が集まっている。

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=133&from=diary&id=3334902
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