わたしは銀行員だ。
アホらしい「日記」や「つぶやき」ばかり書いているので信じられないかもしれないけど。
どんな職業にでも、長所と短所がある。
銀行員の場合、3年ごとに転勤があるのが一番良いところ。
職場の人間関係に悩んでいたり、顧客に嫌われていたりしても3年我慢すればリセットできる。
小さな職場で何十年もまったく変化がないという職業の人もいるけど、気の毒だなあと思う。
わたしも3年サイクルでいろんな地方に転勤して、さまざまな環境を経験した。
新入社員のときはヤサグレた街に配属された。
残業して職場から駅まで歩いて帰る途中、いつも売春婦に声をかけられた。
強引な女性もいて、羽交い締めにされて連れ込まれそうになったこともある。
あるときは仕事中にホームレスが寄ってきた。
彼は自分のTシャツを脱ぎ上半身裸になった。
「お兄ちゃん、このシャツをいくらでもいいから買ってくれ。俺は金が全然ないんだ」
転勤するときはヤクザの偉いさんが餞別をくれた。
「次の職場でもがんばれよ!」
財布の中身を全部くれたけど、何十万円もあって手が震えてしまった。
大都会の繁華街の支店も楽しかった。
仕事中にサボってデパートで買い物をした。
ランチはレストランでイタ飯を食べ、おやつの時間はパルコでケーキを買ってきて食べた。
だからあの頃は貯金がまったくできなかった。
魚市場の担当になったこともある。
威勢のいい男たちを相手にしていると、こちらもなんだかイナセなお兄さんという気分になってくる。
んで、その次の支店がセレブな住宅街だった。
年収一千万円以下は貧乏人という雰囲気のところ。
「デパートへ買い物に行く?外商さんに来てもらえばいいでしょ」
落差の激しさに苦労した。
国定公園内にある支店が一番楽しかった。
毎日、山を眺めて「あの山は北アルプスに続いているのだ!」と盛り上がっていた。
お客さんは、裏山で採れた山菜や筍を差し入れてくれた。
2月の初め、また転勤になった。
今度は本店グループだ。
今日歓迎会があった。
大きなところを借りきっての宴会。
とにかく人が多いから、誰が誰だかわからない。
そのうちに、なぜだかお客さんからの差し入れがあって、食べきれないほどの料理が出た。
さすが本店だ。
これなら自分一人ぐらい、いなくても関係ない。
よし、今年は長期休暇をとって海外登山へ行くぞ!
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