無言歌は続く

　徒然草第五十二段に

　　　すこしのことにも先達はあらまほしき事なり

　どんな些末なことや瑣細なことであっても　よき指導者と云うものがいて欲しい　と云うもんだが　昨今のこの国の指導者はいかなる方へ日本を連れて行こうとしているのか　心配だ　みんな自民党なんぞに入れるからこうなる　こんなことさえ予想もつかんほど　日本人は駄目になってしまった　何も日本だけではなひ　ギリシャとてひどいもんだ　緊縮財政政策がなくなって　豊かになると思っているのだろうか　選ぶ方にも問題がある　選ばれた方はさあてどこで落としどころを　なんて最初から考えてゐるに決まっている　始末に悪いのは日本の方が上か　

　さて如何なるを持って　そのよき指導者には出会えるのか　博学で趣味の広い吉田兼好さんでも　上記のような言葉を発しているくらいだから　当時からこの国は人材不足だったのだろう　明治維新後にしても　ゾロゾロと旧幕閣のひとびとが役職に就いた　薩長の田舎人では　国を維持していくのは至難の業のようで　つくづく壊すことは簡単だと思わせられる　勝海舟　榎本武揚　西周　数えたらきりがなひ　この当時は人材がいた　幕末は意外に人を成長せしめて　結構な人物も出たが　そうでなひひとらも数多いたろう　自分の努力で出会えればいいのだが　そうは上手くゆかなひ　努力しても出会えなひ事もある　問題はもうひとつある　よき師に出会ったのに　こちらが気が付かなひと云うこともある　これはもったいなひ　宿命的なものとなるか

　さて今宵一枚目は　タワーレコードで買った二枚のうちの一枚　ハスキルのモーツアルト　ピアノ協奏曲第二十番　相変わらずいい曲だ　演奏はクレンペラーとフィルハーモニア　もう一曲入っていて　カサドッシュのベートーヴェン　同じく　ピアノ協奏曲第五番　こちらはミトロプーロス指揮　ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団　こちらもいい演奏だ　明日は同じくタワーレコードで買った　クナパーツブッシュの6枚組　ブルクナーの交響曲が中心で　時おりワーグナーの管弦曲　不具があるといけないので　早めに聞いておく　交換するにも時間が決まっているので　

　さて今夜から「枕草子」をすこし読んでいく　この本には敗者のにおいがする　追憶の文学であるけれど　感傷の文学でなく　涙涙ではなひ　読むと結構面白い　それに「徒然草」　第十九段

　かくて明けゆく空の景色　昨日にかわりたりとはみえねども　ひきかえめづらしきここちぞする

　明日も空を見てみるとするか　さあてどんな空が見えてくるのだろう