うちの会社は運輸会社である。
トラックにはデジタルタコグラフという速度抑制装置が付けられている。
抑制と言っても、機械的にではなく、人間的で、
事業所に速度オーバーや長時間運転をしていないかを分かりやすくすることで、
運転手を心理的に抑制する機械である。
で、うちの前世代のデジタルタコグラフはドライブレコーダーがついていなかったので、
突然安物のドライブレコーダーと海外安物のmicroSDカードを相談なしに取り付けた経歴がある。
その結果、事故車両のドライブレコーダーを見ようとしたとき、
レコーダー自体が壊れていて保存されなかったり、
microSDカードが壊れている事例がたくさんあった。
なので、新型デジタコはドライブレコーダーセットとなった。
安物のドライブレコーダーの大半は、
貧弱なリチウムイオンバッテリーセルと電源回路、そして高温い耐えれる設計が弱点だった。
これらはコスト削減と簡易に設置可能のための省スペース化によるものでもあった。
デジタコは、導入時の装備であるため基本1DIN設計でスペースは十分。
1DINに押し込む以上、高温に耐え切れるようタフな設計にするので、壊れにくい。
旧型のデジタコでも実績を出している。
問題は、記録媒体にしているSDカードだ。
デジタコメーカーの8GBの純正品が約2万5千円する。
通常のSDカードの16倍であるため、全グループで100台以上もある身としては
スペアを買うのを躊躇ってしまう。
それでは、通常のSDカードを装着するのは駄目なのか?
と、機械に異様に詳しい馬鹿、つまり私が思って口に言ってしまった。
これが後悔となる。
SDカードのキーワードはSLCとMLC。
SLCの頭の文字はSingle。1セルにつき、0か1かの1bitで判断する。
MLCはMulti。1セルにつき00、01、10、11の2bitで判断する。
昔のフラッシュは全てSLCだったのだが、MLCが出てきたことで、
半導体のダイ省スペース化、大容量化の両方を両立し、低価格化が進んだ。
なお欠点もある。1セルあたりの寿命である。
セル書き換え時に、セルに電荷を封じ込めるのだが、その際ゲートとなる酸化膜が劣化する。
これのせいでフラッシュはセル寿命から切り離せない運命なのだが、
MLCはSLCに比べて書き換え回数が多い。
寿命にすればSLCがMLCの十倍書き込めるとなっている。
そこまでは良い。つまり高ければ長く持つと言うことなのだが、
問題はSLCのセル寿命以前に他の要因で壊れたりしないかである。
電源回路の問題で、コントローラが壊れたり、
衝撃でチップにクラックが入ったりして使えないこともある。
だからとにかく高いものを買っても、銭を失う可能性もある。
というわけでMLCの書き込み耐性を散々調べて見た。
だが答えが出ない。2GB 2fpsでの常時録画が7時間サイクルで上書きされていくので、
8GBメモリを使用すると6GB⇒21時間、おおよそ3日分。
年間300日で見積もると年間100回は一巡する。
MLCは理論値10000回なので、100年持つと言うことになる。
実際はブロック単位何セル使っているのか?ウェアレベリングによるブロック書込の平準化によって、これを前後するのだが、想定5年間持って欲しいと考えている点としては十分なレベル。
でも不安ですよねぇ。
NANDフラッシュ関連は不透明な情報ばかりだし、
調べれば調べるほどドツボにはまっていくような感覚。
でも、これが上手くいけば、純正1枚でMLCカード20枚近く購入できるので、
実際嬉しいし、7時間で常時録画が消されることもなくなる。
たぶん、変えると思う。
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