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2014年12月31日13:23
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あきる野市さんぽ「五日市憲法コース・深沢家屋敷跡から金比羅山」
あきる野市さんぽ「五日市憲法コース・深沢家屋敷跡から金比羅山」
○「徳蔵寺」(入野18)
武蔵五日市駅の北西、権田トンネルに下りて樽沢に沿った道を行くと「徳蔵寺」があります。文明13年（1481）創立の臨済宗建長寺派の寺です。本尊は木彫金塗りの地蔵菩薩立像。この地の「小倉」という地名は、京都の小倉山に景観が似て紅葉も美しいことから、小倉と名づけられました。寺の横を上がると小倉自治会館があり、以前は会館の前につるべ式の井戸がありましたが埋められてしまいました。小倉の台地上に上がると、三内川の谷のむこうに小机の集落が見えてきます。
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【青梅古道】
徳蔵寺の南側を通る道が、五日市から青梅に続く「青梅古道」になります。その出発点は五日市小学校の東側(東入野)で、徳蔵寺→まいまい坂→ぐみの木峠→秋川街道→旧二ツ塚峠→青梅のコースが青梅古道になります。
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○「まいまい坂(青梅道)」(三内)
青梅道は、徳蔵寺から東に上って行き、台地上から北方向に三内川に下ります。三内川に架かる鋼板製の坂下橋を渡って、右、左と上って行く坂が「まいまい坂」と呼ばれています。坂下橋を渡った先に案内標が、坂の途中に説明板があります。「まいまい」とはまいまいず（かたつむり）のことで、かたつむりの殻のようなことから、くねくねと曲がった坂のことをいいます。地元では、「めぇめぇ坂」が正式な呼び方だそうです。また、まいまい坂の近くに昔湧水があって、よく飲んだものだと長老たちが話しています。最近、小机地区の「古道まいまい坂の会」で道が整備されたのに続いて、古道まいまい坂の案内標・説明板も設置されました。左の坂を上ると小机の台地に至ります。青梅道は、小机を横切り「ぐみのき峠」をこえて日の出町大久野へと向かいます。
【まいまい坂の石仏】
まいまい坂の途中、説明板があるところに「石仏」があります。高さ30�儖未如�後背の上部が欠けています。元禄3年（1690）の銘らしきものがありますが、武州一揆の時に欠けたのでしょうか。
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【武州一揆】
まいまい坂周辺は、幕末に歴史的な事件も起きています。このまいまい坂で慶応2年（1866）6月17日早朝に、秩父名栗方面で蜂起した百姓一揆「武州打ちこわし(世直し)一揆」の一隊と、五日市の農民達(農兵隊)との戦闘がありました。徳蔵寺のある小倉の台地が防衛線となり、五日市側は鉄砲隊と竹やり部隊約千人が台地上に並んだといいます。『五日市町史』を見ると、鉄砲51丁、竹やり883と記されています。銃撃戦になり、五日市隊は一揆群を撃退し勝利しました。人数では圧倒的多数の一揆勢も、銃を備え訓練を受けた農兵隊の敵ではなかったというところでしょうか。即死者10人余り、逮捕者26人、これらは28日にお奉行所へ送り、即日入牢となりました。
慶応2年(1866)6月13日、武州秩父郡名栗村などで蜂起した「武州一揆」は、またたく間のうちに武州・上州の各地に広がり、十数万人もの農民が参加し、豪農・豪商など五百数十軒の家が打ちこわされたといいます。一揆勢が世直しや世均し(よならし＝富の平均化)を求めたため、「武州世直し一揆」とも呼ばれるこの一揆は、幕藩領主に大きな打撃を与えました。当時幕府は第2次長州征伐の最中であり、農兵をこの戦闘に動員しようとしていました。一揆勢の一部は青梅へ南下し、ここで二手にわかれて一隊は青梅道を五日市方面へ、またもう一隊は福生を経て16日には多摩川の築地(ついじ)渡船場(昭島市福島町)へ集結しました。
幕府はテストケースとして多摩に農兵隊を組織させましたが、そのとき既に幕府の財政は、農兵隊の装備費さえ思うようにならないほど逼迫していました。そこで幕府は苦肉の策として、各村の名主に献金を命じました。多摩・相模の14の組合および個人献金を入れて7,847両が集められ、個人では八王子の谷合弥七が700両、五日市の内山安兵衛が300両もの大金を献納しています。こうして、田無組合・蔵敷組合・拝島組合・日野組合・八王子組合・五日市組合等といった14組合に農兵隊が組織されました。彼らは、念願の武器を持って武装しました。ですがかれらの行動は、武州一揆討伐といった農民弾圧で終わらせてしまいました。こののち、自由民権期にいたるまで農村における階級的意識が払拭されなかったとするならば、その原因はこの辺にもあるといえます。
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○「諏訪神社」(三内573)
まいまい坂を上って行くと、小机台地に「諏訪神社」があります。天正11年（1583）に信濃国から諏訪大神を勧請したといいます。拝殿には、氏子によって奉納された「三保の松原」などの懸額を見ることができます。
諏訪神社の前にお住まいの御主人の話では、この長さがわずか50m少々の車も通れない細い路地が、かつて新道（車道）ができる前には、五日市からまいまい坂、そして、ぐみのき峠を経て日の出町大久野へと繋がる青梅古道そのものだったことが明らかになりました。
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○「福寿院」(三内601)
さらに上って行くと、無住ながら歴史が古い臨済宗建長寺派の「福寿院」があります。創建は徳蔵寺よりやや古く、文安年間(1444〜49年)と伝えられています。本尊は聖観世音菩薩。明治16年の火災で類焼し、建物、古記録などを失いました。消失以前は『新編武蔵野風土記稿』によると、七間半に五間の本堂を構えていたようです。この寺の西側の細道が青梅道になります。道なりに進むと、すぐに民家に閉ざされてしまいますが、その先の「ぐみのき峠」を過ぎて日の出町大久野へ向かいます。
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【福寿院の近くの石仏】
福寿院の近くの並んでいる石仏は、全部頭がありません。武州一揆の連中が破壊したのかもしれません。
【ぐみの木峠】
青梅道は、福寿院の西側から日の出町大久野へ通じていますが、民家がありますので車道を回り込んで十字路を右にいくと、「ぐみの木峠」があります。道標などはなにもありませんが、五日市の小机と日の出町の幸神を結ぶ峠で、五日市と青梅を繋ぐ青梅古道でした。ぐみの木峠は峠といってもさほど高くもなく起伏もなく、現在では既に舗装されていてゆるやかに歩けます。周りを見渡しますが、どれがぐみの木か区別がつきません。
○「入野愛宕神社」(入野808)
十字路まで戻り直進して下り、三内川に架かる下河原橋を渡り、対岸のあじさい山への道を「入野愛宕神社」に向かいます。道標があり、入野愛宕神社への道に入ります。旧入野村の鎮守。祭神は、迦具土神・応神天皇・天照大神・大山祇神。明治41年に松尾神社（入野1042）、大正3年に八幡神（入野937）と神明神社（入野393）を合祀し、昭和27年に松尾神社を分祀しています。境内に四等三角点「入野」があり、平成11年に新設された三角点で軽量標識が使用されています。
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○「穴沢(澤)天神社」(深沢210)
入野愛宕神社の北方、あじさい山への道を行くと深沢の入口に鎮座するのが「穴沢(澤)天神社」です。深沢村の鎮守。創立年代は不詳。大正6年2月、狩佐須神社・山神社・稲荷神社を合祀しました。祭神は高皇産霊神・神皇産霊神・伊弉諾神・小彦名神・事解乃男神・速玉乃男神・大山祇神・豊受姫命です。『延喜式・神名帳』に記載のある穴澤天神社であるという説もあります。
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○「深沢渓自然人村」(深沢198)
穴沢天神社の東隣りに「深沢渓自然人村」があります。全棟貸切OKなバンガローは団体利用に便利で、石窯のピザや燻製、流しそうめん、バードコール作りの体験教室（要予約）のほか、ドラム缶風呂などユニークな施設も揃っています。
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○「山抱きの大樫(東京一番の巨木)」(深沢)
穴沢天神社の先で、左にあじさい山へと向かう南沢林道を分岐しますが、直進して三内川に沿って行くと、左手に東京都の天然記念物に指定されている「山抱きの大樫(おおがし)」があります。急な曲がりくねった斜面を上ると、「鳥の巣石灰岩」（ジュラ期後期）に覆い被さるように、根を這わせた大きな樫の樹との出会いは大きな感動を与えてくれます。東京都で一番大きな樹といわれており、樹齢は推定300年、幹周り約6.5mとのことです。日本各地の巨樹を撮影している高橋弘氏に、次の文章があります。
《巨樹はむしろ人里に多い…巨樹のあるところは、人が暮らしやすい場所だとも言える…南からの日差しと水があり、強風があたらない土地、山と平地の際のあたりでよく発見される…数百年から数千年以上の樹齢を持つ巨樹はいわば地球で最大、最長寿の生命体である。人間の常識を超越した存在…》
山抱きの大樫も、まさに、このような環境のなかで生きてきています。この樫の樹は、山の上ですっくと立った杉などの木立に守られるように威厳を湛えて聳え立っています。
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○「千年の契り杉」(深沢)
山抱きの大樫を下り、少し進むとすぐ右側に「千年の契り杉」の案内板があり、この案内板に従って民家の横を通って進み、山道を登って行くと突然その大きな存在に気づかされます。先ほどの山抱きの大樫に匹敵するほど、魅力ある大杉「千年の契り杉」です。このスギは幹が二又にわかれているのですが、枝と幹が途中で癒合してＨのような形をしており、見た目での命名のようです。
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○「深沢小さな美術館」(深沢492)
さらに三内川に沿って行くと「深沢小さな美術館」(冬季休館)があります。ここに住む造形作家の友永詔三(あきみつ)氏が、手作りして8年がかりで平成14年に完成させた個人美術館です。江戸時代の民家を改造したといいますが、かつて民家であったとはまったくわかりません。友永氏はＮＨＫの人形劇「プリンプリン物語」の人形を制作し、その人形も展示されています。
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○「真光院」(深沢23)
深沢小さな美術館のすぐ上に「真光院」があります。本尊は釈迦牟尼如来。安産地蔵も祀られています。創立は文明18年(1486)の古刹で、大田道灌が開基といわれています。真光院の東側の池の畔には多くの紫ツツジが咲き、6月にはその枝々にモリアオガエルの卵が産み付けられるのが見られます。この寺の西隣には、五日市憲法草案で有名な深沢家の土蔵があります。
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○「深沢家屋敷跡」(深沢7)
真光院を過ぎると深沢家の門が見えてきます。くぐり戸を潜ると、「深沢家屋敷跡」は草ぼうぼうで、修復された土蔵が残っており昭和58年に東京都指定の史跡文化財になりました。昭和43年に五日市憲法が発見された経過を説明する説明板が、土蔵の前にあります。屋敷跡の左の山側の上に登ると、深沢家の墓があり深沢名主・権八親子が眠っています。深沢家は、江戸時代後半より山林地主として村の代表的な存在でした。その長男権八は、村民を集め学習懇談会をおこなっていました。土蔵より発見された「五日市憲法草案」は、この地域がいかに、自由民権運動が盛んだったかを物語っています。五日市憲法草案の複製や当時の講談会の記録などの文書は、あきる野市五日市郷土館に展示されています。
がらんとした屋敷跡に立って、時代の変わり目に闘わされた先人達の熱い議論に思いを馳せてみると、あたりに漂う寂寥感に、長い時の隔たりがそこにあることを思い知らされます。谷を覆う山越しに射す陽を受けて、木々の葉がキラキラと輝いています。時は流れ、人は移っても、自然の営みは変ることがありません。
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○「南沢あじさい山」(深沢368)
先ほどの分岐まで戻り、南沢林道に入ると「南沢あじさい山」があります。林道と山の斜面の両側約1kmを埋め尽くすアジサイは、所有者の方が長年、丹精込めて育てたものです。個人の山に、あじさいの数が1万本というから凄いことです。30年以上丹精込めて植えられたあじさいが、例年6月中旬から7月中旬にかけて咲き誇ります。ここは若干気温が低いので、開花は都心よりも少し遅くなるようです。
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【無心庵・深沢小屋】(深沢371)
南沢あじさい山の入口の前に「無心庵・深沢小屋」があります。薪窯ピザ作りやバーベキューなどができ、また、ライブや音楽の練習の場、会合などにも利用できます。
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【南沢鳥の巣石灰岩産地】(深沢376)
深沢小屋の入口横に「南沢鳥の巣石灰岩産地」の説明板があります。鳥の巣石灰岩は、ジュラ紀中期から後期に属する石灰岩で、サンゴ類・層孔虫類の化石が豊富に含まれています。東京都指定天然記念物です。
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○「金比羅尾根 (星竹林道出会)」(深沢)
南沢あじさい山から南沢林道を上って行くと道が分岐しますが、南沢林道を右に分けて左の道を直進します。ここに道標がほしいものです。沢に沿って歩いていくと、沢奥で山道になります。山道を上って行くと、先ほどの南沢林道に出ます。南沢林道を少し歩くと、右手に「鳥獣供養塔」の大きな石碑があります。正面に金比羅尾根の歩道橋があり、その先が「星竹林道」となります。星竹林道を下って行けば、「秋川渓谷瀬音の湯」に行けます。ここから左に金比羅尾根に上がり、東に行くと「金比羅山」になります。
○「金比羅山(琴平神社)」(五日市)
金比羅山への標識に従って行くと、小さなピークの「金比羅山」(標高468ｍ)があり、表に廻ると「琴平神社」があります。金比羅というのはクンピーラ神で、ガンジス川に棲む鰐（ワニ）を神格化したものだそうです。展望台からは、都心方面が良く見渡せ、眺めも絶景で、東京サマーランドの大きな観覧車が見えます。ヤマザクラやツツジの名所でもあり、秋の紅葉も素晴らしいところです。
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【琴平神社】(五日市637)
江戸時代五日市の名主が讃岐金比羅宮に参拝した際ご分霊を遷し、阿伎留神社の神職が山頂に鎮祭した神社です。
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【金比羅公園】(五日市620)
金比羅山から五日市の市街地に下って行くと、中腹に「金比羅公園」があります。桜の季節には約500本もの桜が咲き、特にヤマザクラの名所として人気があります。見頃は4月上旬〜下旬。また、5月上旬のツツジも有名です。子供でも比較的楽に登れるハイキングに最適の山で、道やベンチも整っており、市役所五日市出張所から気軽に登ることができます。山頂一帯に広がる見事なヤマザクラは、ひとときの疲れが癒される瞬間といえます。公園内の展望台からの桜や花でいっぱいの山肌や、あきる野の色とりどりの自然を一望でき、都心方向の眺めを見れば、さらに登りの疲れが癒されます。
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○「楞厳寺薬師堂」(五日市576)
金比羅山から下って行くと、民家のある丁字路に出て右に少し歩くと「楞厳寺(りょうごんじ)薬師堂」があります。その昔、北寒寺集落の人々が協力して念仏堂を建て、薬師如来を安置して竜言庵と称しました。文明8年（1476）に、入野の開光院開山咒嶽珊禅師の徒弟、・竜翁公禅師を請じて開山としました。現在は享保18年(1733)建立の薬師堂のみが残っていて、集落の住民に支えているのを感じます。薬師如来を守る十二神像が文化財指定を受けており、説明板があります。
○「開光院」(五日市691)
楞厳寺薬師堂の南東、五日市方面へと下って行くと右側に「開光院」への道標があります。開光院の開創は文安5年（1448）で、開山は小和田の広徳寺第2世江印和尚の実弟咒嶽珊（じゅがくさん）禅師で、開基は入野宗真といいます。山門の前からは、五日市湖の面影が見られます。
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【翁塚】
山門の右手前に、松尾芭蕉翁追慕供養のために建てられた「翁塚」があります。建立者は、五日市上宿の酒屋内野小兵衛（文政11年没）です。江戸小石川の俳人白山下隠士玄武坊に師事し、山市亭梅志と称しました。寛政年間あたりの建立であり、三多摩に現存する翁碑20数基のうちでは古い方です。
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【太田道灌覚書帳】
文明10年（1478）には、太田道灌がしばらく滞陣し寺領の寄進もしています。住職秘蔵の手製の「太田道灌覚書帳」に、次の記載があるといいます。
《開光院に伝わる慶安5年5月の文書によると、開創間もない頃太田道灌公が、この地で取り合いがあったとき開光院に滞在し、ご運が開けたご褒美に寺領十六石の寄進を取り計らい、そのため寺では道灌公の位牌を立て置き、朝夕茶湯を献じてきたとある。今も寺では、道灌公の位牌をまつっている。》
『太田道灌状』を詳しく読むと、文明10年（1478）太田道灌が長尾景春の与党を掃討するため、村山の陣(武蔵村山市)から甲州へ向かったとき、道灌の本隊がここ開光院で戦勝祈願（休憩）をし、檜原街道を通って人里(へんぼり)のあたりから峠を一つ（今は武甲トンネル）越えて、上野原へ入ったのではないかと考えられます。
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○「五日市憲法草案の碑(五日市中学校)」(五日市409)
五日市会館の前、五日市中学校の敷地内に「五日市憲法草案の碑」があります。説明板によると、昭和43年東京経済大学教授色川大吉氏らによって、五日市深沢家旧宅の土蔵より発見された明治初期の日本国憲法草案を記念して建てられました。碑には6か条の草案の抜粋が刻まれており、発見された地域にちなんで五日市憲法草案と名づけられました。自由民権思想にあふれた非常に民主的な内容をもつ私擬憲法草案を、後世の人々に広く知ってもらうため、栗原市（旧志波姫町）、仙台市、あきる野市の3か所に同時に設置されたとあります。
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○「萩原タケの胸像(五日市出張所前)」(五日市411)
五日市出張所の前に「萩原タケの胸像」があります。NHK大河ドラマに「八重の桜」がありました。主人公の新島八重は、夫である同志社の創立者・新島襄が「生き方がハンサムな人」と称したとされる女傑です。このドラマをきっかけに「ハンサム・ウーマン」という言葉を知りましたが、それに当てはまる人が五日市にもいました。日本赤十字の創生期に活躍し、世界初のナイチンゲール記章受賞者となって「日本のナイチンゲール」と呼ばれた萩原タケ(1873.2.7〜 1936.5.27)です。まだ女性の地位が低かった明治時代に、世界を舞台に活躍した彼女の生き方は、看護婦としてだけではなく、自立した働く女性として、その後に続くすべての女性たちを導くものとなりました。彼女の胸像は、かつての五日市町役場（現在あきる野市役所五日市出張所）玄関前に建っています。萩原タケの墓所は五日市の「広徳寺」にあります。その向かい側、五日市中学校に石碑の建つ五日市憲法草案とともに、五日市の誇りといえます。
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○「徳蔵寺」(入野18)
武蔵五日市駅の北西、権田トンネルに下りて樽沢に沿った道を行くと「徳蔵寺」があります。文明13年（1481）創立の臨済宗建長寺派の寺です。本尊は木彫金塗りの地蔵菩薩立像。この地の「小倉」という地名は、京都の小倉山に景観が似て紅葉も美しいことから、小倉と名づけられました。寺の横を上がると小倉自治会館があり、以前は会館の前につるべ式の井戸がありましたが埋められてしまいました。小倉の台地上に上がると、三内川の谷のむこうに小机の集落が見えてきます。
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【青梅古道】
徳蔵寺の南側を通る道が、五日市から青梅に続く「青梅古道」になります。その出発点は五日市小学校の東側(東入野)で、徳蔵寺→まいまい坂→ぐみの木峠→秋川街道→旧二ツ塚峠→青梅のコースが青梅古道になります。
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○「まいまい坂(青梅道)」(三内)
青梅道は、徳蔵寺から東に上って行き、台地上から北方向に三内川に下ります。三内川に架かる鋼板製の坂下橋を渡って、右、左と上って行く坂が「まいまい坂」と呼ばれています。坂下橋を渡った先に案内標が、坂の途中に説明板があります。「まいまい」とはまいまいず（かたつむり）のことで、かたつむりの殻のようなことから、くねくねと曲がった坂のことをいいます。地元では、「めぇめぇ坂」が正式な呼び方だそうです。また、まいまい坂の近くに昔湧水があって、よく飲んだものだと長老たちが話しています。最近、小机地区の「古道まいまい坂の会」で道が整備されたのに続いて、古道まいまい坂の案内標・説明板も設置されました。左の坂を上ると小机の台地に至ります。青梅道は、小机を横切り「ぐみのき峠」をこえて日の出町大久野へと向かいます。
【まいまい坂の石仏】
まいまい坂の途中、説明板があるところに「石仏」があります。高さ30�儖未如�後背の上部が欠けています。元禄3年（1690）の銘らしきものがありますが、武州一揆の時に欠けたのでしょうか。
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【武州一揆】
まいまい坂周辺は、幕末に歴史的な事件も起きています。このまいまい坂で慶応2年（1866）6月17日早朝に、秩父名栗方面で蜂起した百姓一揆「武州打ちこわし(世直し)一揆」の一隊と、五日市の農民達(農兵隊)との戦闘がありました。徳蔵寺のある小倉の台地が防衛線となり、五日市側は鉄砲隊と竹やり部隊約千人が台地上に並んだといいます。『五日市町史』を見ると、鉄砲51丁、竹やり883と記されています。銃撃戦になり、五日市隊は一揆群を撃退し勝利しました。人数では圧倒的多数の一揆勢も、銃を備え訓練を受けた農兵隊の敵ではなかったというところでしょうか。即死者10人余り、逮捕者26人、これらは28日にお奉行所へ送り、即日入牢となりました。
慶応2年(1866)6月13日、武州秩父郡名栗村などで蜂起した「武州一揆」は、またたく間のうちに武州・上州の各地に広がり、十数万人もの農民が参加し、豪農・豪商など五百数十軒の家が打ちこわされたといいます。一揆勢が世直しや世均し(よならし＝富の平均化)を求めたため、「武州世直し一揆」とも呼ばれるこの一揆は、幕藩領主に大きな打撃を与えました。当時幕府は第2次長州征伐の最中であり、農兵をこの戦闘に動員しようとしていました。一揆勢の一部は青梅へ南下し、ここで二手にわかれて一隊は青梅道を五日市方面へ、またもう一隊は福生を経て16日には多摩川の築地(ついじ)渡船場(昭島市福島町)へ集結しました。
幕府はテストケースとして多摩に農兵隊を組織させましたが、そのとき既に幕府の財政は、農兵隊の装備費さえ思うようにならないほど逼迫していました。そこで幕府は苦肉の策として、各村の名主に献金を命じました。多摩・相模の14の組合および個人献金を入れて7,847両が集められ、個人では八王子の谷合弥七が700両、五日市の内山安兵衛が300両もの大金を献納しています。こうして、田無組合・蔵敷組合・拝島組合・日野組合・八王子組合・五日市組合等といった14組合に農兵隊が組織されました。彼らは、念願の武器を持って武装しました。ですがかれらの行動は、武州一揆討伐といった農民弾圧で終わらせてしまいました。こののち、自由民権期にいたるまで農村における階級的意識が払拭されなかったとするならば、その原因はこの辺にもあるといえます。
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○「諏訪神社」(三内573)
まいまい坂を上って行くと、小机台地に「諏訪神社」があります。天正11年（1583）に信濃国から諏訪大神を勧請したといいます。拝殿には、氏子によって奉納された「三保の松原」などの懸額を見ることができます。
諏訪神社の前にお住まいの御主人の話では、この長さがわずか50m少々の車も通れない細い路地が、かつて新道（車道）ができる前には、五日市からまいまい坂、そして、ぐみのき峠を経て日の出町大久野へと繋がる青梅古道そのものだったことが明らかになりました。
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○「福寿院」(三内601)
さらに上って行くと、無住ながら歴史が古い臨済宗建長寺派の「福寿院」があります。創建は徳蔵寺よりやや古く、文安年間(1444〜49年)と伝えられています。本尊は聖観世音菩薩。明治16年の火災で類焼し、建物、古記録などを失いました。消失以前は『新編武蔵野風土記稿』によると、七間半に五間の本堂を構えていたようです。この寺の西側の細道が青梅道になります。道なりに進むと、すぐに民家に閉ざされてしまいますが、その先の「ぐみのき峠」を過ぎて日の出町大久野へ向かいます。
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【福寿院の近くの石仏】
福寿院の近くの並んでいる石仏は、全部頭がありません。武州一揆の連中が破壊したのかもしれません。
【ぐみの木峠】
青梅道は、福寿院の西側から日の出町大久野へ通じていますが、民家がありますので車道を回り込んで十字路を右にいくと、「ぐみの木峠」があります。道標などはなにもありませんが、五日市の小机と日の出町の幸神を結ぶ峠で、五日市と青梅を繋ぐ青梅古道でした。ぐみの木峠は峠といってもさほど高くもなく起伏もなく、現在では既に舗装されていてゆるやかに歩けます。周りを見渡しますが、どれがぐみの木か区別がつきません。
○「入野愛宕神社」(入野808)
十字路まで戻り直進して下り、三内川に架かる下河原橋を渡り、対岸のあじさい山への道を「入野愛宕神社」に向かいます。道標があり、入野愛宕神社への道に入ります。旧入野村の鎮守。祭神は、迦具土神・応神天皇・天照大神・大山祇神。明治41年に松尾神社（入野1042）、大正3年に八幡神（入野937）と神明神社（入野393）を合祀し、昭和27年に松尾神社を分祀しています。境内に四等三角点「入野」があり、平成11年に新設された三角点で軽量標識が使用されています。
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○「穴沢(澤)天神社」(深沢210)
入野愛宕神社の北方、あじさい山への道を行くと深沢の入口に鎮座するのが「穴沢(澤)天神社」です。深沢村の鎮守。創立年代は不詳。大正6年2月、狩佐須神社・山神社・稲荷神社を合祀しました。祭神は高皇産霊神・神皇産霊神・伊弉諾神・小彦名神・事解乃男神・速玉乃男神・大山祇神・豊受姫命です。『延喜式・神名帳』に記載のある穴澤天神社であるという説もあります。
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○「深沢渓自然人村」(深沢198)
穴沢天神社の東隣りに「深沢渓自然人村」があります。全棟貸切OKなバンガローは団体利用に便利で、石窯のピザや燻製、流しそうめん、バードコール作りの体験教室（要予約）のほか、ドラム缶風呂などユニークな施設も揃っています。
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○「山抱きの大樫(東京一番の巨木)」(深沢)
穴沢天神社の先で、左にあじさい山へと向かう南沢林道を分岐しますが、直進して三内川に沿って行くと、左手に東京都の天然記念物に指定されている「山抱きの大樫(おおがし)」があります。急な曲がりくねった斜面を上ると、「鳥の巣石灰岩」（ジュラ期後期）に覆い被さるように、根を這わせた大きな樫の樹との出会いは大きな感動を与えてくれます。東京都で一番大きな樹といわれており、樹齢は推定300年、幹周り約6.5mとのことです。日本各地の巨樹を撮影している高橋弘氏に、次の文章があります。
《巨樹はむしろ人里に多い…巨樹のあるところは、人が暮らしやすい場所だとも言える…南からの日差しと水があり、強風があたらない土地、山と平地の際のあたりでよく発見される…数百年から数千年以上の樹齢を持つ巨樹はいわば地球で最大、最長寿の生命体である。人間の常識を超越した存在…》
山抱きの大樫も、まさに、このような環境のなかで生きてきています。この樫の樹は、山の上ですっくと立った杉などの木立に守られるように威厳を湛えて聳え立っています。
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○「千年の契り杉」(深沢)
山抱きの大樫を下り、少し進むとすぐ右側に「千年の契り杉」の案内板があり、この案内板に従って民家の横を通って進み、山道を登って行くと突然その大きな存在に気づかされます。先ほどの山抱きの大樫に匹敵するほど、魅力ある大杉「千年の契り杉」です。このスギは幹が二又にわかれているのですが、枝と幹が途中で癒合してＨのような形をしており、見た目での命名のようです。
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○「深沢小さな美術館」(深沢492)
さらに三内川に沿って行くと「深沢小さな美術館」(冬季休館)があります。ここに住む造形作家の友永詔三(あきみつ)氏が、手作りして8年がかりで平成14年に完成させた個人美術館です。江戸時代の民家を改造したといいますが、かつて民家であったとはまったくわかりません。友永氏はＮＨＫの人形劇「プリンプリン物語」の人形を制作し、その人形も展示されています。
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○「真光院」(深沢23)
深沢小さな美術館のすぐ上に「真光院」があります。本尊は釈迦牟尼如来。安産地蔵も祀られています。創立は文明18年(1486)の古刹で、大田道灌が開基といわれています。真光院の東側の池の畔には多くの紫ツツジが咲き、6月にはその枝々にモリアオガエルの卵が産み付けられるのが見られます。この寺の西隣には、五日市憲法草案で有名な深沢家の土蔵があります。
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○「深沢家屋敷跡」(深沢7)
真光院を過ぎると深沢家の門が見えてきます。くぐり戸を潜ると、「深沢家屋敷跡」は草ぼうぼうで、修復された土蔵が残っており昭和58年に東京都指定の史跡文化財になりました。昭和43年に五日市憲法が発見された経過を説明する説明板が、土蔵の前にあります。屋敷跡の左の山側の上に登ると、深沢家の墓があり深沢名主・権八親子が眠っています。深沢家は、江戸時代後半より山林地主として村の代表的な存在でした。その長男権八は、村民を集め学習懇談会をおこなっていました。土蔵より発見された「五日市憲法草案」は、この地域がいかに、自由民権運動が盛んだったかを物語っています。五日市憲法草案の複製や当時の講談会の記録などの文書は、あきる野市五日市郷土館に展示されています。
がらんとした屋敷跡に立って、時代の変わり目に闘わされた先人達の熱い議論に思いを馳せてみると、あたりに漂う寂寥感に、長い時の隔たりがそこにあることを思い知らされます。谷を覆う山越しに射す陽を受けて、木々の葉がキラキラと輝いています。時は流れ、人は移っても、自然の営みは変ることがありません。
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○「南沢あじさい山」(深沢368)
先ほどの分岐まで戻り、南沢林道に入ると「南沢あじさい山」があります。林道と山の斜面の両側約1kmを埋め尽くすアジサイは、所有者の方が長年、丹精込めて育てたものです。個人の山に、あじさいの数が1万本というから凄いことです。30年以上丹精込めて植えられたあじさいが、例年6月中旬から7月中旬にかけて咲き誇ります。ここは若干気温が低いので、開花は都心よりも少し遅くなるようです。
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【無心庵・深沢小屋】(深沢371)
南沢あじさい山の入口の前に「無心庵・深沢小屋」があります。薪窯ピザ作りやバーベキューなどができ、また、ライブや音楽の練習の場、会合などにも利用できます。
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【南沢鳥の巣石灰岩産地】(深沢376)
深沢小屋の入口横に「南沢鳥の巣石灰岩産地」の説明板があります。鳥の巣石灰岩は、ジュラ紀中期から後期に属する石灰岩で、サンゴ類・層孔虫類の化石が豊富に含まれています。東京都指定天然記念物です。
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○「金比羅尾根 (星竹林道出会)」(深沢)
南沢あじさい山から南沢林道を上って行くと道が分岐しますが、南沢林道を右に分けて左の道を直進します。ここに道標がほしいものです。沢に沿って歩いていくと、沢奥で山道になります。山道を上って行くと、先ほどの南沢林道に出ます。南沢林道を少し歩くと、右手に「鳥獣供養塔」の大きな石碑があります。正面に金比羅尾根の歩道橋があり、その先が「星竹林道」となります。星竹林道を下って行けば、「秋川渓谷瀬音の湯」に行けます。ここから左に金比羅尾根に上がり、東に行くと「金比羅山」になります。
○「金比羅山(琴平神社)」(五日市)
金比羅山への標識に従って行くと、小さなピークの「金比羅山」(標高468ｍ)があり、表に廻ると「琴平神社」があります。金比羅というのはクンピーラ神で、ガンジス川に棲む鰐（ワニ）を神格化したものだそうです。展望台からは、都心方面が良く見渡せ、眺めも絶景で、東京サマーランドの大きな観覧車が見えます。ヤマザクラやツツジの名所でもあり、秋の紅葉も素晴らしいところです。
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【琴平神社】(五日市637)
江戸時代五日市の名主が讃岐金比羅宮に参拝した際ご分霊を遷し、阿伎留神社の神職が山頂に鎮祭した神社です。
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【金比羅公園】(五日市620)
金比羅山から五日市の市街地に下って行くと、中腹に「金比羅公園」があります。桜の季節には約500本もの桜が咲き、特にヤマザクラの名所として人気があります。見頃は4月上旬〜下旬。また、5月上旬のツツジも有名です。子供でも比較的楽に登れるハイキングに最適の山で、道やベンチも整っており、市役所五日市出張所から気軽に登ることができます。山頂一帯に広がる見事なヤマザクラは、ひとときの疲れが癒される瞬間といえます。公園内の展望台からの桜や花でいっぱいの山肌や、あきる野の色とりどりの自然を一望でき、都心方向の眺めを見れば、さらに登りの疲れが癒されます。
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○「楞厳寺薬師堂」(五日市576)
金比羅山から下って行くと、民家のある丁字路に出て右に少し歩くと「楞厳寺(りょうごんじ)薬師堂」があります。その昔、北寒寺集落の人々が協力して念仏堂を建て、薬師如来を安置して竜言庵と称しました。文明8年（1476）に、入野の開光院開山咒嶽珊禅師の徒弟、・竜翁公禅師を請じて開山としました。現在は享保18年(1733)建立の薬師堂のみが残っていて、集落の住民に支えているのを感じます。薬師如来を守る十二神像が文化財指定を受けており、説明板があります。
○「開光院」(五日市691)
楞厳寺薬師堂の南東、五日市方面へと下って行くと右側に「開光院」への道標があります。開光院の開創は文安5年（1448）で、開山は小和田の広徳寺第2世江印和尚の実弟咒嶽珊（じゅがくさん）禅師で、開基は入野宗真といいます。山門の前からは、五日市湖の面影が見られます。
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【翁塚】
山門の右手前に、松尾芭蕉翁追慕供養のために建てられた「翁塚」があります。建立者は、五日市上宿の酒屋内野小兵衛（文政11年没）です。江戸小石川の俳人白山下隠士玄武坊に師事し、山市亭梅志と称しました。寛政年間あたりの建立であり、三多摩に現存する翁碑20数基のうちでは古い方です。
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【太田道灌覚書帳】
文明10年（1478）には、太田道灌がしばらく滞陣し寺領の寄進もしています。住職秘蔵の手製の「太田道灌覚書帳」に、次の記載があるといいます。
《開光院に伝わる慶安5年5月の文書によると、開創間もない頃太田道灌公が、この地で取り合いがあったとき開光院に滞在し、ご運が開けたご褒美に寺領十六石の寄進を取り計らい、そのため寺では道灌公の位牌を立て置き、朝夕茶湯を献じてきたとある。今も寺では、道灌公の位牌をまつっている。》
『太田道灌状』を詳しく読むと、文明10年（1478）太田道灌が長尾景春の与党を掃討するため、村山の陣(武蔵村山市)から甲州へ向かったとき、道灌の本隊がここ開光院で戦勝祈願（休憩）をし、檜原街道を通って人里(へんぼり)のあたりから峠を一つ（今は武甲トンネル）越えて、上野原へ入ったのではないかと考えられます。
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○「五日市憲法草案の碑(五日市中学校)」(五日市409)
五日市会館の前、五日市中学校の敷地内に「五日市憲法草案の碑」があります。説明板によると、昭和43年東京経済大学教授色川大吉氏らによって、五日市深沢家旧宅の土蔵より発見された明治初期の日本国憲法草案を記念して建てられました。碑には6か条の草案の抜粋が刻まれており、発見された地域にちなんで五日市憲法草案と名づけられました。自由民権思想にあふれた非常に民主的な内容をもつ私擬憲法草案を、後世の人々に広く知ってもらうため、栗原市（旧志波姫町）、仙台市、あきる野市の3か所に同時に設置されたとあります。
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○「萩原タケの胸像(五日市出張所前)」(五日市411)
五日市出張所の前に「萩原タケの胸像」があります。NHK大河ドラマに「八重の桜」がありました。主人公の新島八重は、夫である同志社の創立者・新島襄が「生き方がハンサムな人」と称したとされる女傑です。このドラマをきっかけに「ハンサム・ウーマン」という言葉を知りましたが、それに当てはまる人が五日市にもいました。日本赤十字の創生期に活躍し、世界初のナイチンゲール記章受賞者となって「日本のナイチンゲール」と呼ばれた萩原タケ(1873.2.7〜 1936.5.27)です。まだ女性の地位が低かった明治時代に、世界を舞台に活躍した彼女の生き方は、看護婦としてだけではなく、自立した働く女性として、その後に続くすべての女性たちを導くものとなりました。彼女の胸像は、かつての五日市町役場（現在あきる野市役所五日市出張所）玄関前に建っています。萩原タケの墓所は五日市の「広徳寺」にあります。その向かい側、五日市中学校に石碑の建つ五日市憲法草案とともに、五日市の誇りといえます。
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