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2014年12月21日01:47

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【長文】なぜ10〜20代の「ネット右翼」は少ないのか?【論評】

いわゆるネトウヨには30代未満の若者は案外少ない、という話は
結構意外で面白いと思ったが、
この記事を読んでいささか疑問が残った。

>ネット空間は、通信やハード機器へのリテラシーが強かった
>30代、20代がその黎明期の主役を担ったが

そんならその頃の「30代、20代」は
今30〜40代、あるいは50代になっているはずではないか?

そういう意味では、「ネット右翼」を世代でくくるのは
無理がありはしないか。

それに、通信やハード機器へのリテラシーが強いということが
情報に対するリテラシーまで保証してくれるとは限らない。
逆に、情報にアクセスするのが大変だからこそ、
それをできるだけ信じたいと思うのが人情ではなかろうか。

そう考えてみると、
20世紀の「パソコン通信」と呼ばれていた頃の環境に慣れている世代には
ネトウヨが少なく、
21世紀、インターネットのブロードバンド化が進んだ時点で
ネットに新規参入した世代は
ネットに対するリテラシーが低くて、
ネット上の差別デマを容易に信じてしまい、ネトウヨ化した、
という古谷の理屈にはかなり無理がある。

おれはむしろ、こういうことではないかと考える。

1990年代までのネット界隈には政治ネタは少なかった。
それは事実であろう。
ただ、それは単に、初期のパソ通ユーザーには
総じて政治への関心がなかったからだと思われる。

2000年代初頭に突如出現した韓流ブームに対して
アンダーグラウンドでこれを揶揄・嘲笑して、
「韓流つって騒いでるけどアイツらってこういう連中だぜw」
といって、韓国・韓国人関係の否定的ニュースや
竹島問題などの政治的問題などを収集して、
まとめサイトなどで流布する「反・韓流」オタクが出現した。

それと前後して、小林よしのりの『新ゴーマニズム宣言』が「保守」化して
従軍慰安婦問題や靖国問題、教科書問題などを集中的に取り上げるようになった。
今はほとんど死語化しているが、00年代当時の2ちゃんには
「『新ゴー宣』を読んでカブレたにわか保守」というニュアンスを持つ
「コヴァ」という蔑視語があったのである。

「反・韓流」と新保守主義の流れの大きな山場となったのが
山野車輪の『嫌韓流』である。
アレ自体、『新ゴー宣』に強く影響されて
2ちゃんねるの嫌韓ネタを含めた反韓流サイトを
まとめて漫画にしたものだったが、
紙媒体になった意味は大きく、
販売部数が累計100万部を超え、「ネット右翼」の増加に貢献した。

これに読売・産経や『正論』などの保守系メディアが乗っかって、
当時の民主党政権と中国・韓国とを重ね、
中韓のネガティブなニュースを選択的に取り上げて報道し、
同時に「民主党=親中・親韓=反日売国政権」という言論を流して、
民主下ろし(と売り上げ増加)を謀った。

彼らは何せ報道のプロであるから、
特定の傾向に沿ったニュースを選択的に流すことで、
読者の脳裏に自然とある種のイメージを形成させるのはお手の物である。

おまけに民主党自身が内部でまとまらず、
歴代総理が致命的な失政を重ねたこともあって、
この戦略はまんまと成功し、自公の大勝利と与党復帰につながった。
この出版不況の最中に、新聞や雑誌、書籍もじゃんじゃん売れた。

要するに、アンチ韓流のサイトに影響を受けた者か、
リアルタイムで『新ゴー宣』と『嫌韓流』を読んでカブレた者、
そしてそれに便乗する商売保守主義に毒された者が
「ネット右翼」を構成し、嫌韓嫌中本の主要な読者になっているのである。

今の10〜20代に案外「ネット右翼」が少ないのは、
彼らの大半が『新ゴー宣』と『嫌韓流』を出版当時リアルタイムで読まず、
新聞やオピニオン誌自体ほとんど読まないので、
その影響をあまり受けなかったからである。

いや、もっと別の可能性も考えられる。

これからの日本ではますます就職が厳しくなり、
経済格差が激しくなり、
ひと握りの大金持ちと大多数の貧乏人に階層分化して、
日本の財政悪化や年金破綻によって
年老いてから年金が受け取れるという見通しも
怪しくなったことを知っている彼らは、
もうすでに今の保守メディアやネットの韓国・中国叩きが
日本国内の社会矛盾から目を逸らさせるための
「馬鹿どもにちょうどいい目くらまし」であることを
見切っているのかも知れない。

――――――
進行する「ネット右翼」の高齢化問題

古谷経衡 | 評論家/著述家
2014年10月26日 23時15分


1.「”嫌韓・嫌中本・記事”読者の45%以上が60代以上の高齢者」

10月25日に毎日新聞が大変興味深い調査結果を公表した。16歳以上の3600名の男女を対象にした大規模な調査によると、”「嫌韓・嫌中」本・記事を読んだ人は全体の10%だが、そのうち45%が60代以上で、10代後半は3%、20代は8%”という結果になったという。

私は所謂「インターネット上で右派的、国粋的な言動を行う人」を「ネット右翼(ネット保守でも同じ意味だが、本記事ではより一般的な認知の高い単語である”ネット右翼”に統一。この単語の使用に別段蔑視の意味は含まれていないことに留意)」と定義し、その主張に共通するものとして、

1)「嫌韓・嫌中」、2)「アンチ在日コリアン」、3)「反マスメディア」

の三項目を上げる。

毎日の調査は”「嫌韓・嫌中」本・記事を読んだ人”であってその内容への同意とイコールではないが、ここは「全体の10%」という母数の少なさから、そのまま同意と仮定したい。となれば、毎日の調査が「ネット右翼」の年齢層を正確に浮かび上がらせたものとして興味深い。


2.「ネット右翼」の主力は若者ではなく中・高年

私は2013年、「ネット右翼」と呼ばれる人々への大規模調査を実施した。それによると、彼らの平均年齢は「38.15歳」(拙著、『若者は本当に右傾化しているのか』『ネット右翼の逆襲』や現在準備中の単行本等に詳述)とでた。

今回の毎日の調査は「本や記事を読んだ人」に照準を絞っているので、この調査よりもやや高めに出た気がするが、「ネット右翼」は10代、20代といった若者のクラスタなどではなく、実際は「高齢化」が進んでいることを補強する貴重なデータだ。

私は三桁を超える「右」の集会やデモに参加してきたが、どれも主力は40代〜60代であり、70代、80代もさして珍しいことではない。右の講演会や集会で、客席からなくなった頭髪の照り返しが反射して眩しかった経験は、一度や二度どころではなく頻繁にある。「ネット右翼」が高齢化しているのは、体感的にも明らかだ。

無論、これは「右」側だけに当てはまる現象ではない。対極である共産党にも、同じような高齢化の現象はひた進んでいる。(関連記事「若者を利用する右翼と左翼」)イデオロギーの両極端には、実は若者はあまり居ないのだ。

前項の1)、2)、3)の主張に見事に当てはまる政治家の候補を、「ネット右翼」が猛烈に支援した出来事があった。2014年の東京都知事選挙に立候補した田母神俊雄候補である。

この時、朝日新聞の出口調査により「20代で田母神氏への投票率2位」とさも「若者が右傾化、ネット右翼化している」などのイメージが先行したが、各世代の投票率を勘案すれば、田母神氏への支持層の中心は40代以上の中高年(推計で全体の6割)であり(当該YAHOOニュースの記事を参照)、ここでも「ネット右翼の高齢化」が顕著だ。


3.なぜ「ネット右翼」は高齢化が進んでいるのか。「国家論」を受け入れない若者

そういえば、つい先日、傷害容疑で逮捕された「在特会」の会員とその関係者も、主犯格が54歳、その他も概ね30歳代~40歳代と、決して若者ではなく、高齢化が進んでいる。

ここで断っておくが、「在特会」=「ネット右翼」と見做すのは早計である。「在特会」は「ネット右翼」の中に包摂されるが、あくまでその中でも最も過激な一派にすぎない。大多数の「ネット右翼」は街頭に出て事件を起こしたりせず、文字通りネット空間の中に自閉している。

ともあれ、「ネット右翼」が何故高齢化するのかについては、以下3つの理由で説明がつく。ひとつは、前提的に若者世代の貧困化が進んでいること。2013年に私が行った調査によると、「ネット右翼」の平均年収は450万円超で、平均よりもやや高い、という結果が出た。

職業的にも大都市部に住む「自営業」「自由業」の割合が郡を抜いて高い。つまり「ネット右翼」とは、「主に首都圏に住む、比較的時間とお金に余裕のある中・高年の中産階級」という結論になる。「嫌中・嫌韓本」を買うのが若者ではなく高齢者に偏るのは、書籍代に所得を割く余裕が有るためだ。ブラック企業や貧困で苦しむ少なくない若者からは、新品の書籍を買う余裕が徐々に削ぎ落とされている。

もう一つは、「ネット右翼」の重視する主義・主張が国家論や外交、歴史問題など「マクロ的なイシュー」に偏重していること。「嫌韓・嫌中・アンチ在日」は外交、歴史問題や日本美化の国家論として、容易にその手の本や記事の中に結び付けられている。

大局的な国家論が悪いと言っているのではない。10代、20代の若者の関心は「雇用、就職、結婚、恋愛」などの課題であり、国家論とは異なっている。経済的に余裕があり、生活の心配をしなくて済む「ネット右翼」が自然と国家論に傾き、若者が訴求するテーマから遠ざかっていくのは、当たり前のことだ。


4.高齢化する「ネット右翼」はネット参入の「後発組」

このような「ネット右翼」の富裕で、貴族的なイシューの追求が、ますます読み手や読者を限定することになり、「ネット右翼」の高齢化が進んでいる。最後の理由は、「ネット右翼」と通信回線の問題。「嫌韓・嫌中本」を好む「ネット右翼」の半数近くが60歳以上ということは、ごく最近、ここ数年でインターネットの洗礼を受けたということに成る。

例えばゼロ年代中盤や後半からネットの世界に入った現在の中高年は、はじめからブロードバンド・光ファイバーの超高速回線を当たり前の事として享受している。ナロードバンド時代のストレスに溢れたネット空間をほとんど知らない彼ら「後発組」が、不得手なネット空間で突然触れる「嫌韓・嫌中」のサイトや動画に衝撃を受け、それまで持っていた価値観が180度転換し、「ネットの真実」と称して「ネット右翼」の価値観に入り込んでいく。

これはネット空間のインフラが整備されたあとに、ネットに参入してきた彼らが、「ネットで書かれていることは不自由で不確実で胡散臭いものである、まず疑うべきである」という、ネット黎明期からのリテラシーを十分に育まないまま、突然高速回線のストレスのない環境で提示された「真実」をそのまま信じてしまうことがその理由であろう。


5.ネット万能論に傾きがちな「中・高年」

勿論、「ネットで書かれていることが全て嘘」というわけではないが、「ウソをウソと見抜けぬ人にネットを使うことは難しい」という名言を残した2ちゃんねるの管理人氏の言葉通り、「後発組」である「ネット右翼」のネットリテラシーは著しく低いものにとどまっている。

「在日朝鮮人は全て生活保護を受給している」「テレビ局や民主党議員はすべて在日に支配されている」という明らかなウソや陰謀論を信じこむ「ネット右翼」が、「嫌韓・嫌中本や記事」を好んで購読する土壌になっているのは事実だ。

よく考えて見れば、「ネット右翼」以前に、ネット空間の中には政治的なものは少なかった。90年代のナロードバンド時代はネタ系テキストサイト、アングラ情報サイトが隆盛していた。ゼロ年代を境として開始された、『侍魂』『連邦』『バーチャルネットアイドルちゆ12歳』などもそれだ。

「ネット右翼」は2002年の日韓ワールドカップ大会以降に顕著に登場してくるが、ネット上で「嫌韓・嫌中」がこれでもかと盛んになった時期(ゼロ年代中盤以降)と、ブロードバンドの普及は驚くほどリンクしている。


6.「ネットの不自由さ」を経験せず

ネット空間は、通信やハード機器へのリテラシーが強かった30代、20代がその黎明期の主役を担ったが、インフラが整備されてくるにつれて徐々に50代、60代以降の中・高年が参入してきた。高速回線の快適さしか知らない彼らは、最初から「ネットは万能で、何でもできる」と思い込んでいるように思える。

56kbpsの低速度に甘んじ、一枚のポルノ画像の閲覧に何十分もの時間をかけ、しかもすぐに切断されるネットを知っている当時の若年層は、ネットに書いてあることを安々と信じるようなことはしなかった。まさに、「ネット右翼の高齢化」とは、「ネットインフラの豊かさ」が産んだ結果の悲劇とも言える。

無論、繰り返す通り、安易な「嫌韓・嫌中」に組みしない良心的な「ネット右翼」も、多数存在していることを最後に書き記しておく(但しその場合は、上記で定義したネット右翼からは外れてくるため、「保守派」とか、「保守」という言い方になるが)。

*注*テキスト系サイト「侍魂」などの開始は90年代ではなくゼロ年代に入ってからでは、との指摘を受けました。確認した結果、私が年号を勘違いしたものだったので、当該箇所に「ゼロ年代を境として開始された「◯◯」「◯◯」も~」と付け加えました。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/furuyatsunehira/20141026-00040284/
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