福生市さんぽ「米軍ハウスからわらつけ街道・水喰土公園」
○「米軍ハウス(横田基地)」(福生)
八高線東福生駅の高架橋の上から北を見ると、八高線の線路に沿って独特の平屋建ての民家が見えます。「米軍ハウス」といわれる昔の米軍住宅です。昭和26年のベトナム戦争終結後に、大量に空き家が出たものを一般に払い下げられました。最盛時は2，000軒あったという米軍ハウスも、平成15年の調査では292軒に減り、現在は100軒から200軒程度が残っているといわれています。その空き家に若き多くの芸術家やら音楽家が移住して、独特の文化を形成してきました。1970年代、空き家になったハウスに大瀧詠一、デザイナーの五味太郎、イラストレーターの飯野和好など様々な分野のアーティストが住み着き、「福生幻想」と呼ばれるムーブメントが巻き起こりました。村上龍の代表作「限りなく透明に近いブルー」も、米軍ハウス周辺が舞台です。
【ロードサイド(国道16号線沿い)】
国道16号線沿いはなかなか面白く、郊外の開放的なロードサイドの景色と相まって、アメリカ西海岸的錯覚を少しだけ味わえます。横田基地の第二ゲートと第五ゲートの間あたりが、一番アメリカンだと思われます。広大な横田基地から国道16号を挟んだ向かい側に、ずらりとロードサイドショップが並んでいます。アメリカ雑貨や家具、ファッションを扱う店が1.6�劼砲錣燭辰童�を連ねています。店の名前が全部英語。都心へのアクセスが不便な街だからこそ、至る所にアメリカンレトロな街並みが残されています。
横田には本来の機能を備える空軍基地のほか、軍関係者向けの住宅、さらにボウリング場や飲食店などのレクリエーション施設が併設されています。国道16号はそれらを縦断するように走り、東側に空軍基地、西側に関連施設、両地区の行き来は専用のゲートを通過するか、国道16号をまたぐように設置された歩道橋を渡るしかありません。背の高いフェンスで囲まれているので、部外者が立ち入ることはできません。フェンスには、日英両言語で書かれた基地内への無断進入禁止を警告する看板が一定間隔で掲げられています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B1%B3%E8%BB%8D%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9
http://nishitama.keizai.biz/headline/408/
http://ameblo.jp/tomotintin9/entry-10504500918.html
○「わらつけ街道」(福生〜熊川)
八高線沿いの東側にある道が、「わらつけ街道」といわれる旧鎌倉街道です。鎌倉幕府時代には、いざ鎌倉という時のために方々に街道がありました。
【わらつけ公園】(福生2151)
東福生駅の南、わらつけ街道沿いに「わらつけ公園」があります。
http://www.city.fussa.tokyo.jp/map/m1cpmb000001s4vp.html
【民話・おたすけわらじ】
民話「おたすけわらじ」があり、話は次のとおりです。
《昔、鎌倉街道に母と息子の田助が、一軒の茶店を出していました。店には、渋茶と草団子のほかに草鞋を売っていました。街道を通る旅人は、その店で一服したあと新しい草鞋に履き替えるので、なんとか暮らしていけました。でも、若い田助は、毎日毎日の草鞋作りに、もう飽き飽きしていました。店の前を通る侍を見ては、
「おらも、あんなお侍になりてぇなあ」
と、羨ましがっていました。そのたび母に、
「バカこくでねぇ。おめぇなんかが、侍になれるわけはねぇべ。こうして草鞋をあんでいれば、おてんとさまもついてきなさる。ありがたいことだ。つまらねぇ夢を、見るでねぇ」
と、叱られるのですが、田助は毎日が退屈でたまりませんでした。ある日、草鞋作りをすっぽかして、草原で寝ころんで空を眺めていると、一羽の烏が飛んできました。そして田助に、
「おい、お前、そんなに侍になりたいか」
と、聞きました。
「あっ、おめぇ、店の団子を盗み食いする烏だな。この、盗すっと烏め！」
いつも店先の団子を、つまみ食いする見覚えのある烏でした。田助は、石を投げつけました。烏は飛んでくる石をひょい、と避けて、言いました。
「ま、そう怒るな。団子のお礼に、いいことを教えてやるからよ」
「いいことだと？ 盗すっと烏のくせに、だぼら吹くと承知しねぇぞ」
「その盗すっと烏はやめな。お前を、侍にしてやろうと言うのに」
「えっ、侍に。ふんとか？」
「本当だとも。そのかわり、これからも団子をつまみ喰いするが、文句を言わないか」
「言わねぇ、言わねぇ。侍になれるんだったら、みんな喰ってもかまわねぇ」
「よし、じゃ教えてやる。お前は、手先が器用だから、侍のわら人形をつくって、店先に立てておけ。そうすれば必ず、侍になれる。夢々疑うな」
と、言って、烏は飛んでいきました。田助は、侍になりたい一心で、昼も夜も、熱心にわら人形作りを始めました。母は、それを見て、
「おめぇ、草鞋をあまねぇで、案山子なんか作ってなにする気だ。頭が、おかしくなったべか」
と、おろおろしました。田助は返事もしないで、せっせと鎧や兜も作り、スミを塗り赤い紐を付けて、本物そっくりの、侍人形を作り上げました。出来た人形を店先に、立てておきました。けれど、それっきり、何も変わったことは おきません。
「あの烏のヤロー、騙しやがったな」
田助は、ずうずうしく、団子をつ突ている烏を、棒を持って追いかけようとしたとき、立派な侍が入ってきました。
「そこにある人形は、そちが作ったのか。なかなか見事なものだ。わしの家来になって、もっと沢山作ってはくれぬか。このお金で、わらを集めるがよいぞ」
と、言いました。田助は、嬉しさのあまり、
「あわわ…」
と言ったきり、返事もできません。烏の言ったとおり、侍になれそうなのです。田助はわくわくしながら、福生だけでなく、遠くの村からもわらを買い集めました。捨ててしまうわらがお金になるというので、村人たちは大喜びしてわら集めを手伝いました。茶店のまわりは、わらの山ができ、何台もの荷車につまれてお城に運ばれました。それからは、その道を「わらつけ街道」と呼ぶようになりました。しばらくして合戦が始まりました。お城のまわりには、田助の作った本物そっくりの侍人形が、何百何千と並びました。攻めてきた敵は、それを見てびっくりしました。わら人形とは知らず、
「あんなに大勢では、かないっこない」
「矢を当てても、平気な顔で倒れもしない。あんなに強い侍、見たことない。逃げろ逃げろ」
と、みんな逃げていってしまいました。田助は、大手柄をたてました。ところが合戦が終わってしまうと、田助にはすることが無くなりました。侍になったものの、剣術も読み書きもできません。できるのはわら仕事だけです。田助は、殿さまにお願いしました。
「おらやっぱし、村へけえって、おっ母のそばで草鞋を作るべぇ。殿さま、ゆるしてくんろい」
「そうじゃな。また戦いがおきても、同じ手は使えぬな。村へ帰って、親孝行するがよい」
殿さまは、田助に褒美の金を与えました。田助はその金で、たった一人で団子を作っている母のために、綺麗な着物やふかふかの蒲団を買って村へ帰ってきました。それからは、わらに赤や青の布や麻をまぜて、丈夫で綺麗な履きやすい草鞋を工夫したので、街道を通る旅人たちに、
“旅を助ける 田助の草鞋 わらつけ街道の お助け草鞋”
と、歌われて、店はとても繁盛しました。そして田助は、年取った母を大事にして何時までも幸せに暮らした、ということです。それでも、時々団子を突つきにくる烏を見ては、
「こんだは、なんになってみべぇかな」
と、思っていたそうです。》
http://www.fussakanko.jp/pa0121_17.html
○「文化の森」(熊川850)
南に向かい五日市街道を横切ると、八高線の西に「文化の森」があります。福生市中央図書館や茶庵「福庵」がある緑地です。
【福生市郷土資料室】
福生市中央図書館内に「福生市郷土資料室」があります。 福生の歴史や民俗・自然に関する資料を展示しています。
https://www.city.fussa.tokyo.jp/map/m1cpmb000001rite.html
http://www.museum.fussa.tokyo.jp/
○「山王塚跡」(熊川1307)
東京環状16号線の五丁橋通り入口交差点の南に、かつて「山王塚」と呼ばれる地に「山王大権現」の石塔がありました。「寛政6甲寅年（1794）」「現住融峯代造之」と刻まれていました。融峯とは福生院第14世の住職です。塚の周辺は「山王面（約3町歩）」といい、延宝4年（1676）、旗本長塩氏知行地（支配地）の「水帳（土地台帳）」に、「改出畑（新たに畑地として認定された土地）」と書き上げられ「下畑（土地の等級）」とあります。開発により宅地化した現在、この石塔は地主森田家（熊川605）の邸内に移され祀られています。
【五丁山】
玉川上水に架かる五丁橋の東方、ハケ上の武蔵野台地の一角に「五丁山」と呼ばれた山林があったようです。山王塚の南付近のようです。
○「水喰土(みずくらいど)公園」(熊川1359)
玉川上水に架かる五丁橋を渡ると「水喰土公園」入口があります。この公園は「水喰土」(みずくらいど)と呼ばれ、水が地中に吸い込まれてしまう土地で、玉川上水工事において開削に失敗した跡が今でも残っています。八王子千人同心の小島文平によって書かれた『上水紀元』（享和3年、1803）に、次の記載があります。
《玉川兄弟は最初、日野の渡しのそばの青柳村（現国立市）から掘り始めた。しかし府中八幡下のほうへ掘り進んだところで、高低差に見誤りがあったのかで水が流れず、失敗し、福生村から水を引き入れることとした。二つ目の失敗箇所は福生市の水喰土公園周辺といわれます。》
この公園の説明板「玉川上水開削工事跡」には、玉川上水の掘削に失敗した箇所と明記されており、現在でも掘削した地形がそのまま残されています。ここで玉川上水の水が地中に吸い込まれていったといわれています。しかし、水喰土公園に隣接して現在、玉川上水が流れていて、この地域での地盤の違いは見られないのでは、ともいわれています。武蔵野台地の基盤となっている砂礫層が集中していたとは考えにくいということで、ここに残された堀跡は、玉川上水が完成した後に掘られた分水のための堀跡ではないかとする説も示されています。でも、このあたりの地名としての「みずくらいど」とか「みずくれぇど」とか、ほかにも「ほりけぇ」とよぶ地域があったとかで、やはり玉川上水掘替えにかかわりのあるのではないかと思わせる伝承も、しっかり残っています。隣接する「日光橋公園」と玉川上水沿いの狭い通路で繋がっています。
http://www.city.fussa.tokyo.jp/map/m1cpmb000001zzle.html
http://www.fussakanko.jp/pa0115.html
http://members.jcom.home.ne.jp/nobish/mizukurai.html
○「日光橋公園」(熊川1386)
玉川上水に沿って南に向かうと「日光橋公園」があります。公園の名は、玉川上水にかかる日光橋にちなみます。日光街道は、江戸時代に八王子から千人同心が警護のために、日光に向かうための日光道が通っていたことから、「八王子千人同心街道」ともいいます。緑を保護するため、雑木林を生かし散策・休養等を目的とした公園で、フリークライミングのできる壁、雨の日でも遊べる幼児の広場、野鳥観察壁ともりだくさんです。
http://www.city.fussa.tokyo.jp/map/m1cpmb000001zyxj.html
http://www.tokyo-park.net/1321801004_01.html
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