瑞穂町さんぽ「阿豆佐味天神社から福正寺・吉野岳地蔵堂」
○「殿ヶ谷地蔵尊と火の見櫓」(殿ヶ谷940)
箱根ヶ崎駅東口から立川駅北口行きバスに乗り、青梅街道の「殿ヶ谷」で下車します。バス停の近くに「殿ヶ谷地蔵尊」、「力石」と「火の見櫓」が並んであります。昔、武蔵七党のひとつ村山党の居館があったので、殿ヶ谷と名付けられた村山郷の中心地らしく、路傍の地蔵尊も威厳に満ちた表情を見せています。その隣に「火の見櫓」が聳えています。昭和28年にこの地域の住民によって建造されたとのことです。現在は使用されておらず、青梅街道に沿って形成された狭山丘陵の景観の一部として、貴重な地域的遺産となっており、瑞穂町では景観モニュメントとしてパンフに載せています。
http://blogs.yahoo.co.jp/setsu19410330/9241620.html
○「阿豆佐味天神社」(殿ヶ谷1008)
青梅街道を東に向かうと「阿豆佐味天神社」への参道があります。社伝によると寛平4年(892)、桓武天皇の曽孫である常陸大嫁上総介高望王(平の姓を賜る、武家平氏の始祖)の創建とされます。平安時代の中頃、延長5年(927)に完成した『延喜式』において多摩地区八座のひとつとされる政府公認の社です。「アヅサミ」という名称の起源は不明。古代には梓の木で作った弓〔梓弓〕を鳴らし神意を占ったことを起源とする説、楸繁茂していたことを起源とする説などがあります。また、「阿豆」は「甘い」の意であり、「佐」は味の接頭語、「味」は弥で水の意味とし、狭山丘陵から流れる湧水を祀ったことを起源とする説もあります。実際、この社では水を崇めています。神社の祭神は少彦名命、スサノオ命、大己貴命。鎌倉期には、武州村山郷の鎮守として武蔵七党・村山党の篤い信仰を受けます。この地の民が砂川新田を開くときも、地元民の心の支えとしてこの地より勧請し砂川に社を建てました。
http://risshi.life.coocan.jp/cubkh32.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF%E8%B1%86%E4%BD%90%E5%91%B3%E5%A4%A9%E7%A5%9E%E7%A4%BE
○「殿ヶ谷須賀神社」(殿ヶ谷1037)
「殿ヶ谷須賀神社」に行くには少し難しいです。阿豆佐味天神社から西に向かい、北の丘陵に向かってかなり坂道を上り詰めたところに木製の鳥居があり、急傾斜の立派な石段がついています。祭神は素戔嗚尊、火産霊命、久恵比古命。資料には「伝承を失す。一般にはキノエネサマと称す。狭山丘陵支脈の尾根の平地にあり眺望絶佳、付近山腹には地下壙式古墳が散在する。大正元年に村内愛宕神社と天神社を合祀し祭神が三柱となった」と書かれています。 境内社として、天明3年（1783）の小さな庚申塔(青面金剛塔)があります。残念なのは「眺望絶桂」といわれる景色が、樹木にさえぎられ展望がまったくありません。
http://blog.goo.ne.jp/daimatsuno/e/f6709152f58667f334358516951d118d
http://tamanojinja.blog.fc2.com/blog-entry-23.html
○「王林寺公園」(殿ヶ谷1034)
殿ヶ谷須賀神社から西に下ると「王林寺公園」があります。室町の頃、このあたりの殿ヶ谷に創建された臨済宗建長寺派の王林寺があったようです。殿ヶ谷の人々が砂川の地に移り、殿ヶ谷新田を開発したとき、王林寺も移しました。公園奥に「王林寺遺跡」の石碑があります。また、公園の北側には景観モニュメントとして「村山土佐守像」があります。
【村山土佐守像】
村山土佐守については、土佐守義光と名乗ったそうです。妻は青梅・勝沼城主師岡山城守将景の娘です。説明板に次の説明があります。
《平安時代後期から鎌倉時代・室町時代にかけて、武蔵国を中心として下野・上野・相模といった近隣諸国にまで勢力を伸ばしていた同族的武士団を「武蔵七党」といいます。そのなかの「村山党」は、武蔵国村山郷に住み、村山氏を名乗った平頼任を始祖としています。金子氏・宮寺氏・山口氏・仙波氏などは村山党の一族です。村山土佐守は中世豪族としての村山氏最後の人物で、瑞穂町（殿ケ谷）に居館があったと伝えられています。その実像に関する資料はありませんが、信心堅固の武士として、村山郷の人々の伝承の人物となり、後世に言い伝えられてきました。》
【殿ヶ谷の山車】
公園の北側に「殿ヶ谷の山車」が格納されています。慶應2年（1866）、海老屋忠蔵藤原陸和（江戸大門通小伝馬町）により制作され、明治初年以来140年間、殿ケ谷の鎮守須賀神社祭礼に御霊代を受け、渡御に使用されています。本神輿は、江戸神輿の中でも大きい部類に入り、江戸中期から末期の宮大工全盛時代に制作されたもので、建造時の構造・材質・施工が残されています。説明板に次の説明があります。
《殿ヶ谷の神輿は、瑞穂町殿ヶ谷地区に伝わる神輿で、毎年7月初旬に行われる瑞穂の夏まつりにおいて、殿ヶ谷地区の鎮守である須賀神社祭礼より御霊代を受け、渡御に使用されている。この神輿は慶応2年（1866）、江戸大門通小伝馬町の海老屋忠蔵藤原陸和により制作された。地元の伝承には、当時95円で購入したという説があり、この説により明治四年新貨条例制定以降に購入されたと思われるが、確証するものはない。》
http://www.town.mizuho.tokyo.jp/osirase/kyoudo/kyoudo.html
○「福正寺」(殿ヶ谷1129)
福正寺は室町時代ごろの創建といわれますが、創建の年代は明らかではありません。開山は鎌倉時代後期。村山土佐守居館跡とされ、武蔵七党のひとつ「村山党」の本拠地といわれています。境内はかつての豪族の居館跡にふさわしく、南側の斜面に面して立つと、その高い立地から立川方面までを一望の下に見渡すことができます。
【村山城址】
福正寺が建つ狭山丘陵の突端の台地が、戦国期の村山土佐守時代の「村山城址」の推定地です。本堂のあたりが腰曲輪、その上に本郭がありました。武蔵七党の村山党(桓武平氏の後裔、平良文の次男・平頼任が村山氏を名乗る)が、村山郷（入間川流域）に住んだのがはじまりで、村山貫主と号し源平時代に活躍しました。殿ヶ谷（殿様が住んでいた谷津の意味）の地は、村山党・金子氏の流れと伝わります。『東妻鏡』によると、村山頼直、金子家忠が源義経に従い木曽義仲攻めに加わったとあります。源氏滅亡後村山氏は衰退していきました。戦国期、福正寺の境内あたりに「村山土佐守」が城を構えました。村山土佐守は、滝山城主の北条氏照に仕えていました。円福寺といえば、幕末の振武隊の円福寺駐屯の折、部隊との交渉を引き受けた名主の村山氏は、村山党の後裔とのことです。
http://plaza.rakuten.co.jp/rekisiro/diary/201305250000/
【村山氏の墓】
本堂北側の墓地が主郭跡といわれていて、ここに村山土佐守一族の墓があります。案内板が無いので探すのは結構大変です。
【多羅葉樹】
本堂の前には、「多羅葉樹」（たらようじゅ）の木があります。樹幹83�僉⊆�高12ｍ、樹齢約700年。古来インドなどで、葉裏を写経用の紙代わりとして使ったとされる木で、はがきの名前はここから生まれたともいわれています。
http://cityofwoods.web.fc2.com/tokyowoods/other/tara02.html
【観音堂】
村山城二の郭跡とされる場所に「観音堂」は建っています。舞い降りる鳥の翼のような美しい急勾配の屋根を持っています。堂内に吉川緑峰の天井絵があります。天正18年（1590）に土佐守が寄進したものです。
http://www.geocities.jp/stupacaitya/genson/syoutou/fukusyou5/fukusyou5.html
○「塔頭山地蔵尊(たて山地蔵尊)」(石畑2181)
福正寺の西のＴ字路に階段があり、石碑に「塔頭山」とあります。階段を上ると墓地に囲まれお堂があり、その中に「塔頭山地蔵尊」があります。「たて山地蔵尊」ともいいます。ここ塔頭山は、村山城の出城の役割を担っていたのかもしれません。
○「阿弥陀堂」(石畑1708)
塔頭山地蔵尊の南、集会所の前に小さなコンクリート造りの「阿弥陀堂」があります。金泥を施した寄木造の阿弥陀如来像が祀られ、江戸時代の仏師の墨書銘があるといわれています。隣には庚申塔や石仏などが並んでいます。
○「石畑稲荷神社」(石畑1744)
塔頭山地蔵尊の北西に「石畑稲荷神社」があります。祭神は倉稲魂命（うかのみたまのみこと）。古地図では「おしょういなり」という社名になっています。
http://blog.goo.ne.jp/daimatsuno/e/84d87c21a0f1fd1c7fc29ac91c0b95f1
○「神明神社のケヤキ」(石畑1773)
南に向かうと「神明神社」があります。境内のケヤキは半分の半周5.6ｍが生存していて、他は空洞となっています立派に生きています。樹高8.6ｍ、幹周3.8ｍ、樹齢約1000年。『新編武蔵風土記稿』に「社木に槻（けやき）の大木あり」と記されている由緒あるケヤキで、地域で大切に守られてきました。
http://rihaku.jugem.jp/?eid=216
http://blog.goo.ne.jp/daimatsuno/e/afd18d40e970076c408b658e951fc490
○「御嶽神社」(石畑1848)
神明神社から西に向かうと「御嶽神社」があります。本殿は、一間社、入母屋造、総桧材。彫刻のみごとさで知られます。制作は旧石畑村の棟梁・鈴木広宝で、弘化2年(1845)に完成。天保5年(1834)に書かれた本殿の絵図面も現存しています。
【ケヤキ】
広い御嶽神社の境内に忽然と立っている巨木のケヤキです。樹高17.6ｍ、幹周4.2ｍ、樹齢350年。大正時代からその樹容をほとんど変えていないといいます。
【石畑の山車】
明治初期（約140年前）に地元石畑の大工・吉岡助右衛門が、御嶽神社の欅を使って建造したと伝えられます。一本柱建ての人形山車で、多摩周辺ではほとんど類例のない「中建て方式」という特徴をもっています。地区の祭礼では囃子と共に象徴的な存在として受け継がれています。
http://www.ittenbee-tokyomizuho.jp/entry-info.html?id=27485
http://popup6.tok2.com/home2/akitaavi/jyuu301.htm
○「吉野岳地蔵堂」(石畑1805)
南に向かい青梅街道に出ると「吉野岳地蔵堂」があり、説明板に次の説明があります。
《屋根は、方形造り・銅板葺（昭和49年に鉄板葺が銅板葺となる）総欅造り。地蔵堂は江戸時代（文久3年、1863）の建造、棟札によると、当時、石畑村の名主（戸長）であった吉岡助右衛門が、子女の病気平癒を祈願し大方の寄進をなし、この堂を再建したという。小堂ながら正格な唐様建築で、地蔵堂としては他に見られぬ建物である。殿ヶ谷福正寺観音堂と同形式の仏寺建築で、同じ棟梁門下の作といわれている。堂内には石像地蔵尊（享保4年、1719）が安置され、書川縁峰の筆になる竜の絵がえがかれている。》
地蔵堂の左に祠がありますが、神社、祭神名は不明。祠の右には三つの石像が立ち、左から「馬頭観音」、「庚申塔」、「石橋供養塔」が並んでいます。
http://www.ittenbee-tokyomizuho.jp/entry-info.html?id=27487
http://www.geocities.jp/ikoi98/photo/oume/378.html
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