11月20日(水)
今日はネジャン山(763m)に登る。
韓国でいちばん紅葉が美しいところだという。
有名な観光地でもあり、シーズンには韓国中から見物客が押し寄せるという。
もう盛りは過ぎているけど、ちょっとはきれいな景色が見られるだろう。
登山口へは市内バスが出ている。
わたしたちが泊まった旅館のすぐ前がバスの停留所だった。
午前7時55分のバスに乗る。
ちょうど通勤通学の時間で、車内は満員だった。
8時20分、郊外に出て終点に着くころには、ハイカーが少し乗っているだけになった。
たくさんの食堂やおみやげ屋さんや旅館が立ち並んでいる。
紅葉が終わっているからか、歩いている人は少ない。
500mほど歩き、国立公園のゲートで入場料金を払う。
そこからは舗装された遊歩道になっている。
山並みが近づいてきた。
ネジャン山は、一つの山じゃなくて、いくつもの峰が続いた山塊だ。
ネジャン寺という由緒あるお寺がある。
それを取り囲むように、南から西、北へと三方に山脈が伸びている。
つまり馬蹄形の形だ。
東のほうは平地になっている。
わたしたちはその東側から中心に歩いているのだ。
このネジャン山には8つのピークがある。
全部縦走すると7〜8時間ぐらいかかる。
まあそんなに行くと疲れるので、今回はお気楽な計画にした。
南の山に向かってケーブルカーがある。
それで2つめのピークの下まで行ける。
あとは稜線を歩いて、適当なところで下山する。
ということで、ケーブルカー乗り場が見えてきた。
ここも客が少なくてのんびりしている。
9時が始発だというのに、いっこうに出発する気配がない。
やっと9時20分に動き出す。
目の前にはモミジやカラマツなどが山一面に植わっている。
もう葉っぱは落ちてしまっているけど、最盛期はすごい景色なんだろう。
ケーブルカーも順番待ちで長い列ができるそうだ。
終点が420mぐらいのところ。
ここから明瞭な登山道が続いている。
まずは最初のピーク、ヨンジャボン(675m)をめざす。
少し雪が積もっている。
でも道がしっかりしているから歩きやすい。
ゆっくり登って30分ほどで頂上に着いた。
静かで眺めがいい。
同行者の一人は初めての海外登山に感動している。
「年賀状用の写真にしよう!」なんて言っている。
ここからは稜線歩きだ。
登ったり下ったり、樹林帯の登山道を進む。
今日は風もなく温かい。
ときどき積雪の多いところがあって歩きにくいけど、まあ普通のハイキングだ。
丹沢かどこか日本の低山を歩いているような気分だ。
11時、シンソンボン(763m)に登頂。
ネジャン山の最高峰だ。
頂上はコンクリートで固めて広場を作ってある。
北の方には岩稜の山、ソレボンが見える。
韓国っぽい険しさがある美しい山だ。
さらに稜線を歩いて行く。
次のピークがカジボン(717m)、いちばん西にある山だ。
単独行の学生がピークで休んでいた。
英語が上手な男の人だ。
お互いが持ってきたお菓子を交換する。
時刻はもう12時30分だ。
そろそろ下に降りて、ふもとの食堂でビールを飲みたい。
このカジボンからも下山できるけど、ちょっと急な岩場になっている。
もう少し先に行き、次の沢沿いのルートを下山することにした。
次のピーク、ヨンジボン(671m)を越えた。
その次のマンヘボン(676m)の手前に降り口があるはず。
だけどそのような道がなにもない。
いつのまにかマンヘボンの頂上直下まで来てしまった。
これはおかしい。
さらに次の下山道まで行こうか。
でもかなり先にあるし。
ということで、引き返すことにした。
道を探しながら歩いて、発見できなかったらカジボンから下るということで。
じっと下を向いて歩いていると、踏み跡が谷に向かって分かれているのを見つけた。
いちおう下って行けそうだ。
道標も何もないし、細い踏み跡だ。
でも面白そうだから、これを行ってみるか。
最初はかなり急な斜面だった。
滑らないようにゆっくり歩く。
踏み跡は、ときどきよく分からなくなる。
そういうときは適当に下りていく。
やがて藪の中に入る。
草木を振り払って進んでいく。
藪が終わると枯れ沢に出た。
ここからは踏み跡がない。
沢下りをしなければいけない。
どうもここは廃道になっているようだ。
一般のハイカーは立入禁止なのだろう。
でも地形図を見ると、沢を下って行けば大きな林道に出るはず。
そんなにたいした距離じゃないし。
面白いからこのまま行くことにする。
途中でロープを使いたくなるような岩場もあった。
沢に水が出てきて渡渉したりもした。
思わぬ沢歩きで楽しい。
やがて斜面が緩やかになる。
また踏み跡が出てきた。
道がだんだん明瞭になる。
それを辿っていくと、突然大きな登山道に出た。
ネジャン寺に続く道だ。
午後2時45分だった。
あとは遊歩道のような道を歩いてネジャン寺に行く。
少しお寺を見学する。
おみやげ屋食堂街に戻ったのは、もう4時だった。
ポンチャクを歌っていた芸人さんのような人がいた。
いっしょにカラオケしたり踊ったりする。
「日本人はノリがいいねえ」なんて言われてしまった。
屋台でドンドンチュ(麦から作ったどぶろく)を飲みながらパジョン(ネギお好み焼き)を食べる。
バスに乗って、旅館に帰る。
シャワーを浴びて、やっと落ち着いた。
夕食はまた市場へ出かける。
繁華街より安いからだ。
ポシンタンを食べた。
日本語に訳すと犬の肉のスープだ。
鶏肉のようで美味しいから、わたしは好きだ。
でも大きな骨が入っていて、さすがに気持ち悪かった。
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