花房山(1190m)に登ってきた。
岐阜県揖斐川の源流近くにある山だ。
以下はその記録だ。
3月16日(土)
午後9時、名古屋を出発。
国道22号、21号、417号を走る。
11時30分、「道の駅ふじはし」に着いた。
駐車場にテントを広げ、酒を飲んで寝た。
3月17日(日)
道の駅から10キロほどで藤橋城に着く。
徳山ダムの交付金で作った観光用のお城だ。
そこのすぐ近くに登山口がある。
付近はダムのために立ち退きをした廃村だ。
廃村記念碑や廃寺、民家の敷地跡などがある。
午前7時50分、歩き始める。
雪もなく、道もしっかりしている。
明瞭な尾根筋を登っていく。
迷う心配はない。
1時間ほど登ると積雪が出てきた。
固く凍っている。
雨が降り、水を含み、それが冷えて氷になっているのだ。
アイゼンを装着する。
気持よく登って行くと、700mぐらいで雪が途切れた。
尾根が狭くなり、雪が吹き飛ばされているのだ。
転ぶと滑落して死んでしまう。
危ないからまたアイゼンを外す。
平均台のような、足を一歩置くだけでやっとの切り立ったところを登っていく。
やがて尾根が広がり、また硬い雪が出てきた。
勾配はだんだん急になる。
アイゼンを着けるのも面倒なので、キックステップで登る。
突然稜線が現れた。
きれいな雪稜が伸びている。
雪の橋を歩いて行くと頂上に着いた。
ちょうど正午だった。
誰もいない360度の景色だ。
はるか下に徳山ダムが見える。
奥美濃の山が連なり、その奥には白山がそびえ立っている。
静かで雄大な風景に見とれてしまった。
下山はまたアイゼンを着けて、一気に駆け下りる。
ここまでは、じつに気分が良かった。
でもお昼を過ぎて気温が上がってきた。
花粉が飛び始めた。
よく見ると、この山は杉の植林だらけ。
見渡す限り杉の木だ。
濃厚な花粉攻撃が始まった。
くしゃみを数十回連発した。
目が痒い。
喉が痛い。
気のせいか微熱があるようだ。
頭がふらふらしてきた。
気を抜くと滑落するヤセ尾根を下っていくのだが、それどころじゃない。
早くこの花粉地獄から抜け出したくて、走って降りる。
どこかで座り込んで休憩したい。
でも前後左右すべて眼に入るものは杉の大木だ。
こんなところで立ち止まっていたら死んでしまう。
やっとのことで登山口に戻ったのが午後3時だった。
廃村の記念碑の下に座り込む。
パンを食べてお茶を飲んで、少し落ち着いた。
車を運転して道の駅に戻る。
ここは「藤橋の湯」という温泉施設がある。
身体についた花粉を洗い流し、服を着替えたらさっぱりした。
3月に低山に登るのは自殺行為だった。
もう二度とこのようなことはしない。
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