映画「ブリューゲルの動く絵」を観た。
ブリューゲルの絵で「十字架を担うキリスト」というのがある。
こういう絵だ↓
映画の内容は、この絵の解説だ。
ブリューゲルが出てきて「十字架を担うキリスト」を書き始める。
演じているのはルトガー・ハウアー。
映画「ブレイドランナー」のレプリカントのリーダーの人だ。
ずいぶんオジサンになったなあ。
絵の中のトピックが一つずつ実演される。
農作業をする農夫たち。
野外を駆けまわって遊ぶ子供たち。
パンを売り歩く行商人。
犯罪者を車輪に乗っけて柱の上に立てて晒し者にする。
岩峰の上の風車小屋では歯車が回っている。
キリストが十字架を背負い引き回されている。
当時の姿そのままで、人々がなぜこんなことをしているのか、ブリューゲルがどうしてこれらを描いたのか、映画が教えてくれる。
なんといっても映像が美しい。
とくに建物の中のシーンは、すべて光が一方向から入っている。
くっきりと陰影ができていて、印象派より前の絵画のようだ。
映画全体にコントラストが強く、色調が押さえ気味。
どの映像も美術作品が動いているようだ。
CGや画面合成がたくさん使ってあるけど、そういうどこか人工的な雰囲気が、逆にブリューゲルの世界に合っているような気がする。
というようなことで、この映画にはストーリーらしいものがない。
美しい映像が静かに流れていくだけ。
だから後ろと前の観客がぐっすり眠ってしまった。
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