先週のことだ。
会社の建物の周りを掃除していた。
開店前のいつもの仕事だ。
ちなみにわたしの職場は愛知県の郊外だ。
生垣の奥にスズメバチの巣を見つけた。
大きさはハンドボールぐらい。
まだ建設途中のようだ。
それでも凶悪そうなズズメバチどもがたくさんブンブンと飛び回っている。
ハチの被害がでないうちに取り除かなければ。
店の近所に住む蜂採り名人に連絡した。
すぐに駆けつけてくれた。
名人は網網のフルフェイスマスクと厚手のゴム手袋を装着した。
テレビでみる養蜂業者さんの格好だ。
生垣の中に手を伸ばし、簡単に巣をもぎ取った。
ビニール袋に入れて密封する。
見ると無数のスズメバチが蠢いている。
蜂採り名人にお礼をしたほうがいいのかな?
だけど名人は
「いえいえ、こちらこそお礼をさし上げるべきでして。スズメバチは高く売れるんですよ。」
そういえばわたしも食べたことがある。
唐揚げにするとカリカリして美味しいし、佃煮にしても濃厚な味が出る。
他の地方ではどうだか知らないが、愛知県、岐阜県と長野県中南部では昆虫料理というのは普通に珍味として食べられている。
というのが先週のお話。
あれから毎日、出勤するときに生垣を観察していた。
巣があったところを見ると、いつも三匹のスズメバチがとまっている。
昨日も今日も、ちょうど三匹。
蜂取り名人が巣を撤去したとき外出していたやつらだろう。
津波で自宅と家族を流されて自分だけ生き残った人みたいだ。
ちょっと可哀そうな気もする。
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