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2009年10月19日23:12

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即身仏めぐり〜完結編

「本明寺」を出てからしばらく街の中心に向かって走る。
鶴岡市の市街に来た。
交通量も多くて、お店もいっぱいある。
そんな街の真ん中に「南岳寺」がある。
ガスト鶴岡店の裏だ。
お寺の隣ではマンションが建設中だった。

お寺の敷地は半分ぐらい墓地になっていた。
ここは檀家さんもいて裕福なのだろう。
本堂は立派な鉄筋コンクリート建てだ。

「即身仏はこちら」という案内板のほうに行く。
ピンポンを押して扉の中に入る。
20畳ぐらいの部屋に即身仏さんがいた。
空調の効いたきれいな部屋だ。
先客がいて、熱心にお寺の奥様の話を聞いている。

わたしも混じって、お話を聞く。
上品そうな奥様だ。
PTAの副会長などをしていそうな感じの方だ。

ここの即身仏さんは明治時代の新しいものだ。
かなり保存加工がしてあって、内臓や脳は取り出されている。
だけど皮膚や筋肉はよく残っていた。
立派なガラスケースに入れられている。
両サイドには、それなりに高価そうな仏像や、即身仏さんが生前に書いた掛け軸などが展示してある。
博物館の展示室のような雰囲気だった。

ここでも即身仏さんの古着のお守りを売っていた。
300円と安かったから買う。

つぎに向かったのは「海向寺」。
最後の即身仏寺だ。
鶴岡市のとなりの酒田市にある。
車で国道7号線を20分ほど走る。
酒田市内の港の近くにあった。
お寺のすぐ向かいが映画「おくりびと」のロケ地だった。
山崎努が社長をやっている会社の建物だ。
いまでは「おくりびと記念館」になっている。
観光客がたくさん来ている。
だけど「海向寺」を参観している人は一人もいなかった。

ここは日本でただ一つ、2体の即身仏がいるお寺だ。
小さなコンクリート建ての倉庫のようなところに即身仏さんたちはいた。
鉄の扉を開けてもらって中に入る。
さすがに2体ならんでいると壮観だ。
ステレオの迫力である。

建物の壁には訪れた人の感想文なども貼ってあった。
小学生の作文もあって
「即身仏を見てすごいと思いました。」なんて書いてある。

外の廊下にはライシャワー元駐日大使の手紙も展示してあった。
「異なる文化に触れて感動している。」

即身仏さんたちは、たくさんの人たちに拝観されているのだ。

案内してくれたのは理知的な感じの奥様だった。
ご主人の住職さんも勉強家の方のようで、ご夫婦で熱心に即身仏の歴史を研究しておられるようだ。
興味深いお話しをたくさんしていただいた。
湯殿山の即身仏さんたちの相関関係とか、宗教的な意味とか、古文書で見た歴史とか。

車を「海向寺」の駐車場に置かせてもらって、付近を観光した。
ちょっと歩くと港の見える丘があった。
見渡すと出羽三山が見えた。
あの山の向こうから、三日間かけて即身仏めぐりをしてきた。
即身仏も素晴らしかったけど、案内してくれたお寺の人も良い人たちばかりだった。
なかなか楽しかったなあ。

東北旅行はこれで終わったのではない。
この日から一週間近く、まだあちこちをさまよい続けた。
だけど話が長くなるから、いちおうおしまい!

(完)
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