mixiユーザー(id:6889089)

2009年01月23日20:18

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白鬼の花―1話―

これは私が書いた物語「白鬼の花」です。
まだまだ未熟ですが
もしよろしければ感想お聞かせください。












高い高い山の、奥深くにある洞窟。
そこに、白鬼が暮らしていました。
白鬼は何かを傷つけることが大嫌いな鬼だったので、鬼達から仲間外れにされていました。
鬼の世界では、乱暴であることが偉いとされていたのです。


だから白鬼は、朝から晩まで一人きりで過ごしました。
それが当たり前となっていたので、寂しいとも悲しいとも思わず、気楽にのんびり過ごしていました。





ある日、白鬼は木の実を探しに、洞窟の外に出ました。
白鬼は森でとれる様々な木の実を、好きな時に好きなだけ、おやつに食べるのです。
洞窟のそばには、おいしい木の実がたくさんなっていました。


今日はおいしそうな赤い木の実を見つけました。
洞窟に戻って、ゆっくり食べよう…そう思った時、一匹の野ウサギがキョロキョロしながら、こっちに向かってくることに気がつきました。
白鬼は焦りました。
きっと怖がられると思ったのです。
白鬼はくるっと向きを変えて反対方向に走って逃げようと思いました。
すると野ウサギは、大きな声を上げました。


「あー!白い鬼だ!!」


見つかってしまった…どうしよう……と、戸惑っている白鬼に、続けてこうも言いました。



「雪のようで、とてもきれいだなぁ」


その言葉に、白鬼は思わず振り返りました。
とても驚いたのです。



赤鬼や黄鬼や青鬼はいますが、白い鬼は自分しかいませんでした。
それも理由で、鬼仲間からよく思われていなかったからです。
気持ち悪い白さだ、と言われることはたくさんあっても、きれいだなんて言葉は初めて聞いたのです。


鬼は周りから怖がられることが普通であり
自分の白い色は忌み嫌われるもの。


そう思い込んでいた白鬼には、野ウサギの言葉はあまりにも信じられない言葉でした。
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