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2026年06月12日21:03

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日本のことが好きな中国人しか、泊めません

はじまりの物語

「日本のことが好きな中国人しか、泊めません」
アパホテルの社長が放ったその一言は、瞬く間に海を越え、世界中で激しい賛否の嵐を巻き起こした。
当時、日本のホテル業界は頭を抱えていた。
一部の観光客による深夜の騒音や、備品の破損といったマナー問題に、現場は疲弊していたのだ。
しかし、そんな逆風などどこ吹く風、アパホテルだけは不思議と快進撃を続けていた。
その裏には、決して揺らぐことのない一本の筋の通った「物語」があった。

事の発端は2017年。
ある中国人宿泊客が、客室に置かれた一冊の書籍に目を留めたことから始まる。
それはアパグループ代表が自ら筆を執った、日本の近現代史に関する本だった。
この発見は、中国のSNSを通じて爆発的に拡散された。
「絶対にアパホテルには泊まるな」。
その怒号はネットの中だけにとどまらず、旅行会社による取引停止、さらには中国政府からの書籍撤去要求という、国家レベルの巨大な圧力となってホテルに襲いかかった。

通常の企業であれば、即座に謝罪し、本を回収していただろう。
しかし、社長は一切ひるまなかった。
謝罪を拒否し、毅然としてこう言い放ったのである。
「特定の国を批判する意図はありません。ただ、歴史を知ってもらうことが目的です。日本には言論の自由があります。いかなる圧力にも屈することはありません」
そのあまりにも堂々とした態度は、世界を驚愕させた。
だが、この大胆不敵な対応の裏には、実は極めて冷静な経営の計算があった。

当時、アパホテルの宿泊客全体に占める中国人の割合は、わずか5%に過ぎなかった。
社長が真に大切にすべきだと定めていたのは、その5%ではなく、静かで快適な環境を求める日本人客や、日本の文化を愛しリスペクトしてくれる他国のリピーターたちだったのだ。
さらに彼女は、こうも発信している。
「お客様とスタッフは対等な関係です。過剰なサービスは必要ありません」。
「お客様は神様」という日本の常識を覆すこのメッセージもまた、多くの共感を呼んだ。
結果はどうだったか。

目先の中国人客は去った。
しかし、それ以上に「アパホテルの姿勢」に共鳴した人々が、国内外から押し寄せたのだ。
「あそこなら静かに過ごせる」「信念のある企業を応援したい」。
そうした質の高い客層が増加し、業績は下がるどころか、さらなる成長を遂げたのである。
目先の利益や理不尽な圧力に媚びず、自らの信念を貫き通す。
そのブレない姿勢こそが、最大のピンチを最高のチャンスへと変えたのだった。
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