弁当が古典文学に登場するのは、恐らく鎌倉期です。
御室に、いみじき児のありけるを、いかで誘ひ出して遊ばんと企む法師どもありて、能あるあそび法師どもなどかたらひて、風流の破子やうの物、ねんごろにいとなみ出でて、箱風情の物にしたため入れて、双の岡の便よき所に埋み置きて、紅葉散らしかけなど、思ひ寄らぬさまにして、御所へ参りて、児をそゝのかし出でにけり。『徒然草』五十四
仁和寺にすばらしい稚児いたのを、何とか誘いだして遊ぼうとたくらむ法師たちがいて、芸の達者な歌舞伎音曲を専門とする法師たちなどを仲間に入れて、しゃれた白木の弁当箱のようなものを、丁寧に(念入りに)作り出して、箱のようなものにきちんと整えて入れて、(仁和寺の南にある)双の岡の都合の良い場所に埋めておいて、紅葉を散らしかけなどして、(誰にも)気付かれないようにして、(仁和寺の)御所へ参って、稚児を誘いだしてしまった。
この教科書にも載っている有名な『徒然草』もそうですし、
魚のあはせ、いみじく調へて、つかはしたりければ 『十訓抄』七
魚の料理をおいしく料理し、贈ったところ
の『十訓抄』もそうです。
平安期は弁当を食べても、食事のシーンは下品とされ、その細かな描写は省略されることが多いです。
近世になると、タブーがなくなり、醍醐の花見など、年中行事に頻繁に出てきます。
豊かになったこともあって、食文化が発展しました。
当時は、従者がいたから、その内容が何であっても、どういう詰め方をしてもいいでしょう。
恐らく、花見の時は、いまのお節のように重箱にぎっしり詰めて、女房などが取り分けてくれたのだと思います。
『聞き書き ××の食事』
(××のところに都道府県名が入ります。これは、第一級の民俗学の史料だそうです。昭和初期の食事を、全国のおばあさんに聞き書きをして年中行事の解説とともに再現したものです。)
http://www.ruralnet.or.jp/zensyu/syoku/
に紹介されている節季のご馳走がそうです。
野良に御馳走を持って行くのですが、大皿に煮つけなどが盛られています。昔のことですから、運ぶのも取り分けるのも、嫁や姑、娘などの女性でしょうね。
今は従者がいません。
早い話が、ぼくがどんなに大富豪になっても、住み込みのお手伝いさんや運転手さんは雇わないでしょう。気疲れして面倒そうです。
また、今どきは、夫のところに弁当を届けるなどという、小っ恥ずかしい真似をしてくれる女性などいないでしょうし、昼休みに牛丼でも掻き込んだ方が、互いの幸せというものです。
だから、本人がアタッシュケースやブリーフケースに入れて職場まで持ち運ぶから、
傾いても様になる
傷みにくい(味が落ちにくいも含めて。揚げ物は、疑問です。)
この二つが重要になってきます。
弁当ではありませんが、サザエさんに出てくる酔っ払いは、折り詰めを下げています。
あれは、オカズだったり、饅頭であったり、寿司であったり、内容はいろいろでしょうが、ぎっしり詰めてあることが特徴です。
明治から続いている老舗の寿司屋の持ち帰り握りが、ぎゅうぎゅうに詰まっています。振り回しても形が崩れないだろうと思われるほどです。
客本人が持ち帰るのですから、
家から個人へというライフスタイルの変化ですね。
酒を飲むのも一人。お土産を運ぶのも一人。酔いつぶれて電柱にもたれて、流行歌をうたうのもその御仁の勝手次第。
思えば、
東京で発展した料理、天丼や蕎麦なども、ほとんどがファストフードです。
学校では、明治期以降が近代とされますが、日本の近代は、化政期以降です。
化政期以降、庶民の文化や生活が変化していきました。
さて、弁当の一押しは寿司です。
酢飯に、ガリと海苔の千切り、あれば、かんぴょうとおろしワサビを混ぜる。
弁当箱にぎっしり詰めて、
上に、煮物、酢締め、おぼろ、ニンジン、玉子を散らす。
煮物
スルメイカを切り、醤油、酒、みりんで火を通す。残り汁を煮詰めてトロッとさせて絡める。
イイダコ。同様にするが、胴を抜いて、炭袋を取る。
酢締め
ヒラメやカレイ、煮た海老、サーモンなどを酢にくぐらせる。
おぼろ
すり身を、味醂と少しの醤油で湯煎して炒る(直火だと焦げます)
ニンジン
紅葉の型で抜き、出汁などでゆでる。
玉子
玉子焼き鍋に、玉子、山芋、すり身と砂糖を擂ったものをいっぱいいっぱいまで満たして、オーブンに掛ける。
オーブンがなかったら、普通に火にかけ、上をバーナーで焼く。
私の経験では、海苔をご飯に均等に混ぜるのが、一番、難しかったです。
今は、ほとんど作っていません。
手間暇かかります。寿司屋のランチの方がコスパがいい、塩分が多いなどの理由です。
※ 写真は買ったものです。さすがに、自作するとこうはきれいになりません。
■ふりかけに注意!傷みにくいお弁当の作り方
(クックパッドニュース - 02月06日 08:01)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=195&from=diary&id=5486766
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