今、外で売っている「弁当」には、二つのルーツがあります。
1 松花堂や幕の内
松花堂弁当は、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E8%8A%B1%E5%A0%82%E5%BC%81%E5%BD%93
というもっともらしい説明がありますが、形をみると、節季のお重や野点のお重です。
源氏物語にも、光源氏の長男のお祝いに
御乳母、いとはなやかに装束きて、御前のもの、いろいろを尽くした る籠物、桧破籠の心ばへどもを、内にも外にも、もとの心を知らぬ ことなれば、取り散らし、何心もなきを、「いと心苦しうまばゆきわざ なりや」と思す (「柏木」)
大意
御乳母は、とても派手に衣装を着飾って、御前の物、色々な色彩を尽くした籠物、桧破子の趣向の数々を、御簾の中でも外でも、(故実など)本当の事は知らないことなので、とり散らかして、無心にお祝いしているのを、(源氏は)「まことに辛く目を背けたい」とお思いになる。
と、桧破籠という弁当やおかずを詰めたヒノキの経木で作った箱が出てきます。
こういう昔からあるものを、「うちの創業者の発明だ」と、嘘をついて丸パクリする輩が後を絶ちません。私も光源氏に習い「いと心苦しうまばゆきわざ なりや」
そして、幕の内弁当。
わが娘が、歌舞伎台本の翻字のパイオニア、和角仁先生に本物の幕の内をさんざんごちそうになり、レクチャーを伺いました。
まあ、源氏物語の節季のお重や野点のお重の一人用でしょう。
ともに、屋外で食べ、容器は使い捨て出来るもので、品数が多いのが特徴です。
ハレの食事ですから。
もう一つのルーツは
2 労働者の中食
日本最古の駅弁は、宇都宮駅で売られたものでした。
経木に包んだ握り飯二個と沢庵だそうです。
お米というものは、恐ろしい完全食です。タンパクもB群ビタミンも入っています。米だけでもしばらく生きられるそうですから、家のご飯が食べられないとき、数食、お結びだけという食事でしのげるでしょう。
というより何のことはない。朝、コンビニでおにぎりを買い、会社で食べるという普通の日本人の食事です。
…この二つが混交したのが、現在の弁当です。
大学の採点のときに、亀戸の升本のうまい弁当が出ました。そしたら、早稲田の近くの寿司屋は、入試の採点の時に臨時休業しました。二百人前出前だそうです。
そういう流れになったのは、一般に、入試採点が鉄火場だからだそうですね。
まさにボーダレス。
風流も有職故実もありません。知的なものや娯楽が、労働に混じる。だから、うまい弁当と労働が隣り合わせになるし、歌舞伎座だって接待でお客様をお連れする場であるかもしれない。
そんなところが、弁当の実情でしょう。
しかも、食べるものを自分で決められます。「ここんところ、休みがなくて疲れているから、上ロース弁当にから揚げ二個追加でいこう」などと。
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