大人になると、涙は悲しみや悔しさのために流すものだと思いがちになる。
嬉しくて泣く――そんな純粋な感情は、どこか遠くに置いてきたように感じていた。
けれど、人生には、思わず涙がこぼれるほどの喜びが確かにある。
それは派手な出来事ではなく、心の奥にそっと触れてくる瞬間だ。
子どもが生まれたときの「ありがとう」。
結婚式で子どもからもらった「育ててくれてありがとう」。
苦しい時に、ただ寄り添ってくれた人の「大丈夫だよ」。
そんな言葉や優しさに触れた瞬間、胸の奥がふっとほどけて、涙があふれる。
そして最近、ペアスケート“りくりゅう”の引退会見を見て、思わずもらい泣きをした。
二人の歩んできた時間、互いを信じ合う姿、最後の穏やかな笑顔。
そこにあったのは、悲しみではなく、確かな“喜び”と“誇り”の涙だった。
泣けるほどの喜びは、特別な人だけのものではない。
誰かを大切に思い、日々を懸命に生きている人のもとに、静かに訪れる。
大人になった今だからこそ、そんな涙を大切にしたい。
悲しみではなく、悔しさでもなく、
“喜び”で涙がこぼれる瞬間を、これからも素直に受け取れる自分でいたい。
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