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2026年02月23日15:39

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アリス・アデールと音楽の旅

CD 1-19:正規録音
CD 20-22:現代音楽
CD 23-25:ライヴ録音
CD 25-29:室内楽
CD 30-34:自宅録音とアーカイヴ

ARTALINNA ATL-C001(34CD)

ピアノづいているこのごろ、マグダ・タリアフェロに続いては、実演をなかなか聴けない幻ともいわれるフランスのピアニスト、アリス・アデールです。

アデールのCDを2枚ほど持っていて、いずれも室内楽を聴く目的で購入したものでした。ひとつはフォーレのピアノ四重奏曲第1番とピアノ五重奏曲第2番、もうひとつはフランクのピアノ五重奏曲とピアノソロ。フォーレはテンポ遅めで弦が主張弱めな印象でしたがピアノは美演、ソロで弾いたフランクの「前奏曲、フーガと変奏曲」がすごくよくて、こんな美しい音楽があったのかと感心しました。それで、アデールの新譜出ないかなと気にかけていたら何年も経ってこれが出た。初回「限定版」に弱いみっちf^^;、ピアノ曲のこれだけまとまったボックスは持っていないし、多少被りもあるけど買っちゃえ!

内容は大きく5種類で、上記のようにまとめられています。1枚目から順に正規録音を聴いており、いま12枚目のバッハ『フーガの技法』まで来たところ。レパートリーには特徴があり、作曲家を並べるとこんな具合。

1枚目:ドビュッシー、メシアン
2-3枚目:シューベルト、ベンダ
4枚目:ベンダ、ドゥシェク、ブリクシ、ヴォジーシェク、モーツァルト
5-6枚目:メシアン
7-9枚目:ドビュッシー
10-11枚目:ラヴェル
12-13枚目:バッハ

アデールはフランス人ですからドビュッシーをはじめとしたフランスものはまあ納得です。メシアンがあることでもわかるように、現代曲も得意。ほかにはモーツァルトとシューベルト。ただしシューベルトはいまのところワルツ集やレントラー集といった小品ばかり。こんなに数書いてたのかと実感できますf^^;。ベンダやドゥシェクなどはボヘミアの古典派作曲家たちで、こちらも小品集。彼らの並びでモーツァルトが入っているのは、同時代のプラハつながりということらしい。メジャーなベートーヴェンやショパンなどは正規にはなく自宅録音に入っています。

アデールの演奏については、過去にフランクを聴いたときに思ったのが、現代的だが情感豊かということでした。テクニックのキレやアゴーギクの巧みさで聴かせるいわゆる名人芸タイプではなさそうです。今回ここまでの印象としてもそれは変わりません。知っている曲が限られていて比較が難しいのですが、音楽が一度解体されて再構築されるような感じもあります。解体・再構築というのは、曲に対する先入観のようなものがリセットされて、新たな響きとなって立ち現れてくるということです。

響き、これが最大かも。ピアノ全体としての響きがとても意識されているようです。トルコ行進曲として有名なモーツァルトのK.331を例に取ると、右手と左手のバランスが基本的に同等で、それぞれを十全に響かせます。伴奏を抑えてメロディーを引き立たせるようなことはしない。落ち着いたテンポも特徴的で、フィナーレではアレグレットのテンポ指示をしっかり守っていて、よく聴かれるような転がる音楽ではありません。これ、実際のトルコの軍楽隊のテンポだと思いました。このテンポによって、ジャランという前打音のトルコ風味が効果的に引き立っています。

こうしたアプローチで弾かれたドビュッシーの『映像』などは、印象派というよりも音響派?というくらい鳴っていて、こんなに響きに満たされるような演奏を初めて聴きました。より効果的なのは、バッハの『フーガの技法』かも。ここでは単一の流れからして充実しており、各声部との絡み具合もまた見事です。バッハのピアノ演奏を疑問視する向きもありますが、これだけ豊かな響きを獲得していると、もうそれだけでいいじゃないかという気がしてきます。

響きの重視は、もしかすると弾いているピアノにも表れているかもしれません。ブックレットによると、11枚目のラヴェルまではスタインウェイを弾いていたのが、バッハではファツィオリ、ブラームスではベヒシュタイン、エルサンやアルベニスではペトロフ、ラフマニノフではエラールを選んでいます。まだバッハの途中までしか聴けてないので、ひきつづき聴く中でなにかわかったらまたエントリするかも。とかいって、現代曲で挫折したりして……、そのときはゴメンちゃい(爆)。
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