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2025年12月29日01:52

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【映画】2025年度 外国映画トップテン

1.バッドランズ
2.教皇選挙
3.愛を耕すひと
4.Flow
5.罪人たち
6.プレデター:バッドランド
7.ワン・バトル・アフター・アナザー
8.アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ
9.手に魂を込め、歩いてみれば
10.かたつむりのメモワール


日本のマーケットでは以前から濃厚だった「邦高洋低」。『国宝』を筆頭とした日本映画のヒット作連発で、その傾向が一段と鮮明になった年だったように思える。

しかし…実に意外なことだが、年間のトップテンを選んでみると、日本映画が「あえて10本を選ぶほどではない」のに対し、外国映画は「まさかこの作品が10位からこぼれるとは!」と愕然とする。当然入ってもおかしくないのに10位以内に入らなかった作品を、見た順番で並べてみると…

トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
ザ・ルーム・ネクスト・ドア
エミリア・ペレス
ブルータリスト
私たちが光と想うすべて
アイム・スティル・ヒア
ストレンジ・ダーリン
ブラックドッグ
フランケンシュタイン(2025)
ハード・トゥルース 母の日に願うこと

何と、余裕でトップ20まで埋まってしまうではないか。つまり2025年に公開された外国映画は、興行的には大きく日本映画の後塵を拝したものの、質的には傑作・秀作揃いだったということだ。


そんな年に『バッドランズ』を1位に選ぶのはいかがなものかと、我ながら思う。このテレンス・マリックのデビュー作は、日本では今回が劇場初公開となるが、製作は52年も前の1973年。テレビ放送や市販ソフトなどで、すでに見ている作品だからだ。当然2025年を代表する作品とは言い難い。
しかしこの作品は、私にとってオールタイムベストにも顔を出すほど好きな作品だ。まだ荒削りではあるが、テレンス・マリックの個性と才能が十分に感じられ、アメリカンニューシネマの終着点とも言える作品になっている。「2025年の」と言うよりも、自分の全人生における重要作品として、やはりこれは1位に上げざるをえなかった。ほぼ同時期に、テレンス・マリック『天国の日々』も4Kレストアでリバイバルされ、この2作を劇場で繰り返し(『バッドランズ』は5回『天国の日々』は4回)見ることができた春は、映画好きとしては忘れがたいほど幸福な、まさしく天国の日々だった。

純然たる新作でトップに立つのは『教皇選挙』。口コミでロングランヒットにもなり、名実共に2025年を代表する外国映画だろう。一見地味な作品のように見えるが、『仁義なき戦い』を思わせるストーリー展開、外連味溢れる映像美、ラストの息を呑むようなドンデン返し、そして最も保守的に見えるローマ法王庁を舞台にしながら2020年代の世界へと放たれる先進的なメッセージ。全てが良く出来すぎるほど良く出来た映画であり、本作がアカデミー賞から冷遇されたのは、そのメッセージの鋭さを逆説的に証明するものだろう。

『愛を耕すひと』は、デンマークの荒野開拓に挑んだ男の姿を描く大河ロマン。これほどの作品が、なぜさほど評判にならなったのか不思議でならない。少年時代に最も映画らしい映画として見ていたのが、まさにこのようなドラマであり、その頃の感覚を久しぶりに味わう事ができた。マッツ・ミケルセンの代表作と言っていいだろう。

『Flow』はアカデミー長編アニメ賞を受賞したラトビアの映画。登場するのは動物たちだけでセリフは一切無し。地球によく似ているが、明らかに今の地球ではない異世界を舞台に繰り広げられるアドベンチャーだ。SFであり神話であり寓話でもある。レイ・ブラッドベリやアーサー・C・クラークの小説をも思わせるイマジネーションの豊かさ。数ある外国のSFアニメの中でも、歴代トップクラスに位置する名作だ。

『罪人たち』は何ともユニークで面白い、ブルース映画とヴァンパイア映画の融合。戦前のデルタブルースに興味のある私のような人間には極上のマニアックムービーだが、これがアメリカで大ヒットし、日本でも映画ファンの間で好評だったというのが不思議。戦前のデルタブルースと教会と悪魔(吸血鬼)の関係など、日本人はもちろん、アメリカ人でもよく知らない人が多いのでは…?

『プレデター:バッドランド』は今年の意外なダークホースだ。『ブレデター』の第1作目が作られたのは、今から38年前の1987年。もはや使い古されたシリーズの枠組みで、こんなにも面白い作品が生まれてくると誰が想像しただろうか。古典的なSFアドベンチャーであり、貴種流離譚であり、バディムービーであり、友を得たことで新たな価値観に目覚めた主人公が頑迷な旧体制を打ち壊すドラマでもある。ところどころご都合主義な点があるのはご愛敬だが、ハリウッド製エンタテインメントとしては今年随一の作品だった。

『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、アーティスティックな作風に傾いていたポール・トーマス・アンダーソンが、かつてないほど分かりやすいエンタメアクションに振り切った作品。終盤の、まったく派手さはないのに緊迫感に溢れたカーチェイスシーンは映画史に残るもので、マニアが熱狂するのもよく分かる。
とは言え、世評を見ていると、本年度のベストとかアカデミー作品賞最有力とか、いくら何でも過大評価では?という気がするのも確か。確かに極めて「映画的」であり、演出や撮影や編集などの技術は驚くべきものがあるが、物語としてそこまで強く心を動かされるものはない。表現の手法と内容がアンバランスという点からすれば、年間順位としては、このくらいが妥当ではなかろうか。

前作『ウェイ・オブ・ウォーター』がひたすら冗長だったのでほとんど期待していなかった『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が、意外なほど面白かった。良くも悪くも「桁外れの視覚効果と演出力で描かれたB級SFアクション」のような世界になっている。何と言ってもクォリッチ大佐とヴァランがエロい関係になるのが可笑しくて可笑しくて… 全体的なバランスはともかく、個人的な偏愛度では1作目よりもこちらの方が好き。

『手に魂を込め、歩いてみれば』は、戦禍の真っ只中にあるガザ地区に住む女性ジャーナリストとイラン出身の女性映画監督の、スマホを通じた交流を描くドキュメンタリー。スマホの画面という極端に限定された情報からガザの惨状が伝わると同時に、そのような形でしかガザと接触を持てない観客の立場をも異化する秀逸な作品。

『かたつむりのメモワール』は、アダム・エリオットが『メアリー&マックス』以来15年ぶりに完成させたクレイアニメ。前作同様、孤独な人間の苦悩と救済を、ユーモアとグロテスクさの入り交じった表現で描く。『メアリー&マックス』に比べると、物語もヴィジュアルも少し地味で損をしている部分はあるが、ドラマとしての奥深さは変わらない。コンピューターで簡単に映像が作れる時代に、あえて異常な手間がかかるクレイアニメにこだわる姿勢が、そのまま表現の強度となっている。

次点の作品群も語りたいか切りがないのでやめておく。なぜこれらの作品が10以内に入らないのか、あらためて不思議に思うしかない。



個人賞は

監督賞 ポール・トーマス・アンダーソン(『ワン・バトル・アフター・アナザー』)

脚本賞 ピーター・ストローハン(『教皇選挙』)

撮影賞 ラスムス・ビデベック(『愛を耕すひと』)

主演男優賞 マッツ・ミケルセン(『愛を耕すひと』)

主演女優賞 カルラ・ソフィア・ガスコン(『エミリア・ペレス』)

助演男優賞 ショーン・ペン(『ワン・バトル・アフター・アナザー』)

助演女優賞 アマンダ・コリン(『愛を耕すひと』)

新人賞 チェイス・インフィニティ(『ワン・バトル・アフター・アナザー』出演)


こちらは順位と関係無く、『愛を耕すひと』と『ワン・バトル・アフター・アナザー』の寡占状態になっているのが我ながら面白い。


来年は、テレンス・マリックの集大成となりそうなイエス・キリスト伝『The Way of the Wind』がいよいよ公開される。『シン・レッド・ライン』『二ュー・ワールド』『バッドランズ』に次いで4度目の年間ベストとなるか?

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