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2025年12月29日01:50

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【映画】2025年度 日本映画トップテン

1.国宝
2.平場の月
3.今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は
4.トリツカレ男
5.果てしなきスカーレット
6.劇場版「鬼滅の刃」無限城編 PART I 猗窩座再来
7.みんな、おしゃべり!
8.旅と日々
9.愚か者の身分
10.ふつうの子ども
 
 
2025年の日本映画は『国宝』の大ヒットを筆頭に、質量共に極めて充実した1年という印象だった。
ところがいざトップテンを選ぼうとすると、印象的な作品は思ったよりも少なく「この作品がトップテンに入らないのか!」と嘆くようなこともなかった。どの年に出ても確実に上位に入り、何年後も心に残っているであろう決定的な作品と言えるのは最初の3本だけだ。
 
 
1位は「2025年を代表する映画」と言えばこれしかない『国宝』。ストーリー展開に多少無理な点はあるが、それを差し引いても映画的な魅惑と興奮に満ち溢れた作品。芸術とスペクタクルの見事な融合という点では、10年に1本の映画だろう。この映画が大ヒットしたのは、日本の映画興行にとって大きな希望の光となるはずだ。

2位は今年最大のダークホース『平場の月』。予告編では単なる中年向けのメロドラマにしか見えず、まったく惹かれる部分のなかった作品が、ここまで人生の深い味わいをたたえた名編になっていようとは。人は人生の後半をどのように生き、やがて訪れる死をどのように受け入れるべきなのかというテーマを繊細に描き込んだ傑作。

3位の『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』は、人を恋しく思う気持ちと自意識の問題を、シリアスな視点から、とことん突き詰めた作品。大九明子作品としては、あの『勝手にふるえてろ』も凌ぐ最高傑作だろう。河合優実は相変わらず素晴らしいが、本作のMVPは何と言っても伊東蒼。彼女の長台詞は映画史に残る名シーンだ。

この3本はどれも甲乙付けがたく、深く心に残る作品だ。10年後20年後も2025年の思い出として鮮やかに甦ることだろう。いや、10年後20年後にまだ生きていればの話だが…

4位から6位は、それぞれまったく違うタイプのアニメが並ぶことになった。

『トリツカレ男』は童話のようなタッチで、人の人に対する純粋な思いを描いた作品。くせのある作画だが、内容はこれ以上ないほど真摯なものだ。実は真の主人公はジュゼッペではなく、タタン先生の方ではないかと思うし、そう考えると、さらにドラマの奥行きが増す。また今振り返ると、シンエイ動画の作品だけに、あの名作『河童のクゥと夏休み』に通じるものがあることに気づく。

『果てしなきスカーレット』は、可もあり不可もありな実験的作品だが、その歪さも含めて魅力的。『ハムレット』や『神曲』などのヨーロッパ古典文学を下敷きとし、そのエッセンスを技術の粋をこらしたアニメ映像へと変換した大胆な手法。見て時間が経つと、ストーリーよりも、その映像から喚起されるイメージが強烈に脳裏に焼きついていることに気づく。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 PART I 猗窩座再来』は何をかいわんやの国民的大ヒットシリーズ。『無限列車編』よりもはるかに出来が良い。今やハリウッドを凌いで世界最高峰とも言えるバトルアクションにくわえ、この漫画の大きな特徴である「鬼となった者の哀しみ」をきちんと描いてドラマとしての魅力も高い。

『みんな、おしゃべり!』はろう者とクルド人の対立を軸に、「言語」「コミュニケーション」の問題を多層的に描いた作品。いくらでもシリアスになりうるテーマを、こんなエンタメ色あふれるコメディとして描いたセンスが素晴らしい。どれだけコメディタッチになってもテーマがぶれることはなく、「個人的なことは政治的なこと」という言葉を体現したような作品だと言える。

『旅と日々』は、つげ義春の漫画を三宅唱が映画化した作品。「ほんやら洞のべんさん」に基づく後半は、つげ義春らしいダラッとした時間が流れるのが秀逸で、こういう何でもない場所への旅に出たくなる。しかし全編をスタンダードサイズで撮ったことに違和感があり、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』という大傑作を連発した後の三宅作品としては少々物足りない。

『愚か者の身分』は闇バイトの組織から抜け出そうともがく若者たちの姿を描く。特に何かが傑出しているわけではないが、全てが水準以上の出来で楽しめる。

『ふつうの子ども』は見た当初はかなり上位にいく傑作だと思ったのだが、時間が経つにつれて
なぜか急速に印象が薄れた。自分の子ども時代のあれこれを思い出して懐かしくなったが、今振り返ると、それ以上のものはないような気も。終盤の瀧内公美の登場は、エンタメとしては面白いが、それによってテーマがぼやけてしまった気がする。

『旅と日々』まではいいとして、『愚か者の身分』『ふつうの子ども』が入った時点で「もう少し他に良い作品はなかったっけ?」と首を傾げた。あらためてリストを眺めると、どれもそれなりに面白いのだが、あえてその年のトップテンに入れるのは…という作品が非常に多い。今年は『国宝』の存在によって日本映画の歴史的当たり年という印象が強かっただけに、これは非常に意外だった。そして面白いことに、この現象は外国映画のトップテンで真逆になる。

次点は『夏の砂の上』『JUNK WORLD』など。『JUNK WORLD』は、心情的には10位以内に入れたいのだが、マーヴェルなどのアメコミものですっかり食傷気味になってしまったパラレルワールドもので、ストーリーが無駄に説明的になってしまい、前作『JUNK HEAD』のストレートな面白さに及ばないという点で、やはり辛めの評価をせざるをえない。


個人賞も書いておくと

監督賞 李相日(『国宝』)

脚本賞 向井康介(『平場の月』)

撮影賞 ソフィアン・エル・ファニ(『国宝』)

主演男優賞 吉沢亮(『国宝』)

主演女優賞 井川遥(『平場の月』)

助演男優賞 田中泯(『国宝』)

助演女優賞 伊東蒼(『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』)

新人賞 河合健(『みんな、おしゃべり!』監督)


2026年の最大の期待作は濱口竜介の新作『急に具合が悪くなる』だ。


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