番外と書いたのは、未完成だからです。
このテーマを意識したのは、医学部受験生の受験指導で、
「私の理想の医療は、患者様の意向に従って、医学的に正しい医療を誠心誠意行うことです」
という小論文の答案が出て、「絶対にダメだ」と言ったがわかってくれない生徒がいたということです。
論になっていない一つの説明として、
「補集合がない」(「私の理想の医療は、患者様の意向に逆らって、医学的に間違った医療をいい加減に行うことです」という意見はあり得ない)
「立案になっていない」
ということができます。
論とは何か。
私の定義ですと、現状を変えるもの。
学部生以下は、現状を変えるものであれば、新しい知見などはなくてもいいでしょう。
ところが、
『基礎からわかる論文の書き方』(講談社現代新書)を読んだら、
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000361477
「主題と対象の混同」
という表現が出てきました。
確かにそうです。
私の「立案」「補集合」は、対象であるがゆえに持つものだと考えていいでしょう。
たとえば、「患者様の意向」は、論の対象ではなく主題です。
対象とは、弱気になった患者が「もう透析を止めてくれ」と言ったら、直ちにそれを患者の意志と考えていいか(どうすれば意志と言えるかという立案の問題)…ということです。
「医学的に正しい」も、おもしろいです。
世界初の全身麻酔を行なった医師は、江戸時代の花岡青洲です。独力で麻酔を開発した人ですが、彼は、チョウセンアサガオなどを配合したしびれ薬を使って、猫、人間…と実験を積み重ねましたが、麻酔がかかる理窟(作用機序というのでしょうか)はわかりませんでした。しかし、非科学的ではありません。そういうことをどう考えるか(科学と科学でないものの違いは何か。補集合の問題)…という問題もあります。
論文の書き方の本は、
木下是雄『理科系の作文技術』が有名です。
それを超える名著が出ました。
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