「農村振興副業奨勵 村の榮光」1925頃・東京シネマ商会・白黒/染色/調色/染調色35mm18fps無声(不完全)。監脚:大洞元吾。原:山中省二。撮:白井茂。出:大久保博、西口吉之助、夏川静江、望月みどり、田中久雄、高橋竹夫、土田純。。題名の通り農村での農畜産以外に郷土特産等の副業を奨励啓蒙した作品。
村から見える富士山が愛国勤勉の象徴的に描かれ、でも実は景観と日差しに合わせて各方向から撮影しているのが分かります。ロケのメインに成るのは御殿場だと思われます。主人公が徴兵配属されるのは歩兵第一聯隊で、ロケは実際に市ヶ谷周辺で行われているのが景観から分かります。
『ルノーFT-17』戦車や『十四年式十糎加農』砲等が登場しますが在り物映像です。建設当初のオリジナル状態の東京駅にも注目。登場する列車は三等車のみで、東海道線(現御殿場線)各駅停車かどうかは分かりません。
「愛國美談 君が代」1928・東亜キネマ・白黒/染色35mm18fps無声。監:根津新:原脚:佃血秋。撮:上村貞夫。出:高田稔、石川秀道、青木繁、月岡正美、玉島愛造、環晴夫、上村節子。。日露戦争に出征する召集兵士達を中心に報国の心構えを啓蒙する作品。駅は『湘南軌道(廃線)』、ロケ地もその周辺と推定。
両作上映後、主任研究員大澤浄氏の司会で、復元ニュープリント化を担当したIMAGICAの益森利博氏と伊藤諒司氏による『染色』と『調色』作業の技術解説と作業映像の紹介がありました。染色はモノクロフィルム全体を染料で色付けするもの、調色は化学的に非透明部の色調を変化させる技術です。
「沓掛時次郎」1929・日活京都・白黒35(16)mm18fps無声。監:辻吉朗。原:長谷川伸(新国劇戯曲:雑誌『騒人』)。脚:如月敏。撮:谷本精史。美:角井嘉一郎、橋本末吉、岡本梅吉、岡本喜一郎。出:大河内傳次郎、葛木香一、酒井米子、磯川元春。主題歌『沓掛小唄』曲:奥山貞、歌:吉川崎豊、曽我直子。
その後8回に渡ってリメイクされる人気作の最初の映画化。所謂、侠客股旅物で役者絵からそのまま飛び出して来たような大河内傳次郎の姿が見物。ロケは実際に熊谷宿の北西部、利根川と広瀬川が合流する八基村(現深谷市中瀬)周辺と推定。
「突貫小僧(マーヴェルグラフ版)」1929・松竹蒲田・白黒35mm(16mm)24fps無声(21分)。監:小津安二郎。原:野津忠二(野田高梧+池田忠雄+大久保忠素+小津安二郎)。脚:池田忠雄。撮:野村昊。出:斎藤達雄・青木富夫・坂本武。。NFAJでは別に『パテーベビー短縮版(9.5mm14分)』も保存。
双方上映の為に35mmにブローアップされてますが元々は家庭用市販版です。それでも充分面白過ぎるので劇場用全長版の発見が期待されます。ロケ地は蒲田と横浜だそうで、歴史記録としても一級品。当然の事ながら後の人気子役『突貫小僧』はまだ芸名に成っておらず本名の青木富夫の名で出演しています。
「大乗の國」1940・東寶國策映画協會・白黒35mm。監:藤本修一郎。原:山中厚嗣。脚:田中純一郎。構成:圓谷英二。撮:平野好美、�盧簍�光、矢田喬一、山中實。美:武藤契舟、音:飯田信夫。。文化映画の併映を義務化した『文化法』に基づき製作され、敗戦時に秘匿保存された為にGHQに没収されなかった作品。
国教を神道とする国策下にあって、日本で発展した『大乗仏教』について方便により宗教より文化側面を強調し『廃仏毀釈は誤解に基づく間違いであった』として古来から神道と仏教の並列が何故可能だったか?を解き明かします。インドでのシャカの誕生に始まり、日本に伝わり大乗となる歴史、各宗派の登場と紹介、
仏教美術等についてドキュメンタリーの王道とも云うべき基本構成が素晴らしい。またロケにおいてまだ全く観光客がおらず、傷みも無い各寺院やその庭園など歴史記録としても一級品です。一方、八紘一宇の国策により大乗仏教の逆輸出ともいうべき側面も描かれ、『北京覚生女子中等学校』が創立された際の映像では、
名誉校長の大谷智子(元皇族女王:東本願寺裏方如智禅尼:光華女子学園総裁)氏も登場(大陸では列強によるキリスト教強要の反動から歓迎する向きもあった)。仏教の世界に展開とする映像では満鉄の『亜細亜号』映像が使われるなどベタな演出も。ラストは明治天皇による敵を憐れむ御製を引用、確信犯的演出だと思われます。
https://www.nfaj.go.jp/film-program/hakkutsu202604/
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