風呂あがりのこと。
脱衣所に干してあるトレーナーを触り、乾いていると感じたのでそのまま着てリビングへ。
すると、私の姿を見た妻が即座に眉をひそめた。
「それ、干してからまだ全然時間たってないよ。着替えて」
「いや、乾いとるよ。触って確認したし」と食い下がる私に、妻は一刀両断。
「あんたの手の感覚がおかしいんやない?」
触ってもいないのに、この断定。
どうやらわが家には、目視と時間感覚で水分量を見極める「プロの乾燥検閲官」がいるらしい。
結局、私は「未乾燥の現行犯」としてあえなく御用。渋々とタンスへ向かった。
妻は「完全に乾いてから派」。私は「いけそうならOK派」。
このわずかな差が、まだ寒いリビングに更なる静かな冷気を生む。
夫婦の平和のためには、着る前に妻の“最終検閲”をパスしてからというのが正解らしい。
「せめて一度くらいは触ってから判定してくれても」という言葉を飲み込み、今日も私は、パリパリに乾いた服を着ている。
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