心が救われる動物物語
3日間の出張を終えて家に帰ると、夫が家中に「猫の目線の高さ」で絵を飾っていた。
正直に言うと、私は少しも怒る気になれなかった。
ことの始まりは、先月、私たちの愛猫フィリックスが亡くなったことだった。
それ以来、兄弟猫のスモーキーはずっと元気がなく、落ち込んでいた。
獣医さんは言った、「猫も人間のように悲しむんですよ」と。
ここ最近のスモーキーは、ほとんどごはんも食べず、いつもベッドの下に隠れていて、
まるで魂を失ったようだった。
長年連れ添った相棒を失い、完全に気力をなくしていた。
私たちは色々と試した。
新しいおもちゃ、違う種類のキャットフード、
さらにはフィリックスが好きだった鳥の動画をテレビで流してみたりもした。
けれど、どれも効果はなかった。
私が出張していた間、夫はどうやら「自分の手でなんとかしよう」と決意したようだ。
彼はある優れたアーティストを見つけて、ペットをテーマにした絵を特別に描いてもらった。
ただ、普通のように人間の目線の高さに飾るのではなく、
すべての絵をスモーキーの視線と同じ高さに、家のあちこちに飾ったのだ。
廊下には、ふかふかの猫ベッドが描かれた一枚。
ごはん皿のそばには、美しい水槽の絵。
リビングには、ヴィンテージカーの上で気ままに寝そべる猫が描かれたとても素敵な一枚。
私が家に入ったとき、スモーキーはまさにその絵をじっと見つめていて、まるで何かを考えているかのようだった。
私はその瞬間、思わず涙が出そうになった。
「ずっと、絵の前をあちこち行ったり来たりしてるんだよ」
夫は少し照れたように言った。
「自分の目線から、美しいものが見えたら……きっと少しは気持ちが変わるかもしれないって思って。」
そして今日、久しぶりにスモーキーを撫でたとき、彼は“ゴロゴロ”と喉を鳴らしてくれた。
絵から絵へとゆっくり歩き回りながら、彼は少しずつ、フィリックスが旅立ってから初めてのように、好奇心に満ちた瞳を見せてくれた。
まるで、少しだけ心がほどけていくように。
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